年末年始の連休が終わる頃にはネタがないネタがないとばかり言っておりましたけれども、実は1本映画を観ていたのですよ。
それが『カルキ 2898-AD』でございます。
いやあ、これが想像以上に壮大なスケールのSFアクション映画でして、なかなか自分の中で消化しきるのが難しくて感想を書くのをここまで引っ張ってしまいました。
本作のようなスケールこそ、「インド級」のスケールと呼ぶべきでしょう。
「これこそがインドだ!」と世界中に轟かすような内容でございました。
主な舞台はタイトルにもある2898年のインドなのですけれども、しかし話の始まりはその6000年前の神話の時代。
マハーバーラタに描かれたクルクシェートラの大戦争において、アシュヴァッターマンという男が神の力を纏った武器を敵方の一族の胎児に向けて放つという恐ろしいにもほどがあることをしでかすわけでして、それをヴィシュヌ神の化身たるクリシュナに咎められて不死になる呪いをかけられるのでございます。
しかし呪いをかける一方でその罪を償う方法も伝えるわけでして、それは後世にヴィシュヌ神が化身として再び生まれる際に、無事にこの世に生まれることができるように守り抜くこと。
要するに、胎児殺しの罪を胎児を守ることで償えというわけでございます。
ちなみに、タイトルに付けられている「カルキ」とは、その後世に生まれるとされる化身の名前でして、世の不正義を正す存在でございます。
そして時代は飛んで2898年、世界は戦争でほぼ滅び、最後に残されたカーシーという町はコンプレックスという名の要塞の支配者スプリーム・ヤスキンによって支配されており、スプリーム・ヤスキンが「プロジェクトK」という謎の計画のために妊婦を使った人体実験をしているわけでして、それがために神の化身カルキを宿した妊婦の女性が追われる身となるのでございます。
それでアシュヴァッターマンはその女性をヤスキンの手から守るために戦うわけですけれども、しかし多額の賞金がかけられたその女性を賞金稼ぎのバイラヴァという男も狙っているのでして、アシュヴァッターマンvsヤスキンvsバイラヴァというような三つ巴の戦いが始まるのでございます。
というのが、大体の内容ですねえ。
はるか昔の神話の時代のお話をずっと未来のSFの世界に繋げるという規格外の発想が、もうインド全開。
インドむんむんですよ、インドむんむん。
6000年の時を越えるのはさすがに越えすぎているでしょう。
神話のお話をベースにそこから映画独自の極大スケールのストーリーに発展させているわけでして、この逞しすぎる発想力には終始圧倒されるばかりでございます。
これこそインドならではの映画!
もはやインドを煮詰めたような映画といっても過言ではない。
とにかく話のスケールの大きさだけでもうお腹いっぱいですよ。
これはもう今年一番スケールのでかい映画じゃないですか、まだ今年始まったばっかりですしなんだったら今年初の映画がこれなんですけど、もう使っちゃっても良いような気がします、「今年一番」を。
とかなんとか言っていたら、また夏頃にさらなる規格外のスケールのインド映画が出るかもしれませんが、これを超えるとなったらもう相当以上の相当をぶつけないといけませんから、よっぽどでしょう。
しかしなんてったってインドですから、もしかすると本当にもしかするかもしれないのが恐ろしいところでございます。
というわけでして、私としてはとにかく大盛り上がりの本作の物語だったのですけれども、というのもやはり、軽くでもマハーバーラタの内容を知っていたのが良かったですねえ。
幸運にもこの前、インド映画でたびたびネタが引用されることもあってインド神話に興味が出てきてマハーバーラタを読んでいたのですけれども、これに助けられました。
今回は割とマハーバーラタの要素が話のコアになってるので、多少知っていたことでがっちり楽したのですよ。
これを知らなかったら、アシュヴァッターマンがどうとか言われてもあまり理解できず、このお話の面白さを半分も体感できなかったことでしょう。
ちなみに、私はこれでマハーバーラタを読みました。
マハーバーラタの主要な部分がうまいことまとめられていて良い感じでございます。
そもそもマハーバーラタって全部読もうと思ったらどえらく長いらしいですから、こういうので概要を掴んでおくのが取っ掛かりとしては良いような気がします。
ちなみに、私はこのシリーズのラーマーヤナの方も読んでいるのですけれども、これも今後インド映画を観ていく上できっと生きてくるでしょう。
ともあれ、本作に限ってはマハーバーラタだけ読んでおけばよろしい。
ところで、本作は最初は1本完結の作品かと思っていたのですけれども、実はそうではなく続編がある作りになっておりまして、ここからいよいよ黒幕のスプリーム・ヤスキンが本格的に登場してくるかと予想されますし、本作では敵対する関係だったアシュヴァッターマンとバイラヴァの関係についても次回作ではどうなっていくのかと期待が高まります。
アシュヴァッターマンとバイラヴァの2人にも神話上の絡みが出てきて、面白くなってきたんですよねえ。
また、スプリーム・ヤスキンの正体についても気になるところでございます。
いやあ、これは年始早々に余りにも面白すぎるものを観てしまいました。
こんなのを観たら他の映画がしょぼく感じてしまうかもしれない。
おしまい。
