今度は『JAWAN/ジャワーン』を観てまいりました。
いやあこれ凄かったですよ。
予想の遥かに上を行く内容!
ただのアクションエンタメかと思いきや、主人公の復讐劇だけでなくインドの政治問題にも切り込むストーリーとなっておりまして、なんというかもうお腹いっぱいな3時間でございました。
インド映画ですからねえ、当然の如く尺は3時間ですよ。
インド塗れの180分。
さて、これはもう間違いなく何も調べずに観た方が楽しめる映画なのですけれども、このウサオジのブログはもう面白かったところを全部ぶちまける勢いで書きますので、これから観る予定の人はもう読まなくてよろしい。
おしまい。
さあ、というわけで、ここから好き放題めったやたらに書いてまいりましょう。
まず本作で何よりも驚かされたのは、主演シャー・ルク・カーンが演じているのは1人だけではない、というところですねえ。
オープニングシーンでシャー・ルク・カーン演じる謎の男がミイラ男よろしく全身を包帯で覆った姿で敵を蹴散らしたと思いきや、いきなり時間が30年ほど飛んで現代のインド都市部を走る地下鉄でシャー・ルク・カーン演じる男がまたもや包帯で今度は顔だけ隠して登場するのですけれども、これが同じ人物だと思ってしまったわけですよ。
最初は「さすがに30年後だから似ているだけで別の男か?」と思ったりもしましたが、しかし見た目が絶妙にオッサンだから「いや、これはただの30年後の姿か」と納得してしまいましたけれども、やっぱり違いましたねえ。
包帯繋がりで登場しましたがまったくの別人。
いや、まったくの別人というよりは実は親子だったりするのですけれども、これにはまんまと一杯食わされましたよ。
この叙述トリックのような構成は実に面白かった。
それで、このシャー・ルク・カーン演じる親子なのですけれども、中盤で遂にご対面するわけですけれども、ということはつまりどういうことか分かりますか。
つまり、シャー・ルク・カーンがシャー・ルク・カーンと共演しているわけでして、もはや意味が分からない。
ひとつの画面に同じ男が演じる人物が2人いますから、もうめちゃくちゃですよ。
しかも凄いのは服装だったりメイクだったりで2人がそれぞれまったく別の人間として個性がしっかり分けられているのでございます。
そしてこれはアクション映画ですから、無論戦う。
ひとつの画面で2人のシャー・ルク・カーンが同時に戦うという偉業を成し遂げるわけですよ。
いやあ、これは物凄いものを観てしまいました。
そしてストーリーについてですけれども、これはシャー・ルク・カーン演じる親子、ヴィクラム・ラトール(父親)とアーザード(息子)が悪辣な武器商人カリと戦う復讐劇なのでございます。
なぜ復讐劇かと言いますと、カリはヴィクラム・ラトールにとっては妻を殺し自分を殺そうとした相手、アーザードにとっては父親の仇であるとともに仲間が犯罪者になってしまった事件の黒幕というわけなのでございますよ。
そしてこのアクションエンタメ要素むんむんの復讐劇と並行してインドの政治問題を風刺するという大技をやってのけるのでして、これはなかなか複雑でスケールの大きい内容でございました。
序盤の地下鉄のシーンでは地下鉄の乗客を人質にハイジャックすると見せかけて、実はそこに乗り合わせた武器商人カリの娘を利用してカリが不正に蓄えた4000億ルピーをせしめ、その4000億ルピーを貧しい農民の借金返済に充てると共に、農業政策の問題を農業大臣に突き付ける。
そして今度は別のシーンでは、公立病院の設備を充実させたと大ぼらを吹く保健大臣を拉致して医療政策の不正を明らかにすると共に公立病院の設備を本当に充実させることを政府に迫るわけですよ。
と、そんな政治のお話だけでもインパクト大なわけですけれども、そしてそういった汚職の裏には実はカリが一枚噛んでいるという設定でして、そういうわけで政治問題と復讐劇が繋がってくるんですねえ。
そしていよいよクライマックスでは、遂にはアーザードは大統領にある要求を突きつけると共にインド国民に重大なメッセージを投げかけ、そして親子でカリとの決戦に臨むのでしてもう怒涛の展開でございますよ。
にしても、その国民へのメッセージで「あなたがたは何をするにも頭を悩ませて考えるのに、たった5時間しか効果の続かない蚊取り線香を買うのにすら頭を使い考えて買う一方で、5年続く政府を決めるときは何も考えずに選ぶ。」というメッセージが出たときは物凄いことを言うもんだと思いましたねえ。
そして続けて「票を求める人間が、自分の生活を良くしてくれるかよく考えて投票しろ」と要求を突きつけるのですよ。
政府の汚職を指摘するだけでなく、そんな政府の惨状を見逃す国民に対しても指摘をするという思い切ったメッセージを放つ衝撃作でございました。
というわけでして、とりあえず内容が内容なだけに1度の鑑賞では理解しきれなかったので、もう3回も観てしまいました。
そしてそれだけでなく、まだまだ他にも見所はありまして、ところどころに差し込まれる小粋なユーモアあふれる会話なんかも良かったですねえ。
ヴィクラム・ラトールが敵の大男を見上げて「バーフバリ?」と言って両手を合わせて拝んだり、ヴィクラム・ラトールとアーザード親子をムファサとシンバになぞらえたりなど、気の利いたネタが豊富でございました。
いやあ、実に面白い映画だった。
これは上映がまだ続くなら4回目も観たいと思えるような映画でございますねえ。
ちなみに、シャー・ルク・カーン演じる2人の主人公の名前が明らかになったときに真っ先思ったのは「こいつらのどっちかの名前がジャワーンじゃないのかい!」でしたけれども、どうもジャワーンというのは字幕を見る限り「兵士」という意味の単語らしいのでございました。
なぜタイトルが「兵士」なのか、それは観てのお楽しみでございます。
ともあれ、ジャワーンさんは登場しませんでした。
おしまい。
