【個人の見解】
親子で楽しめる・・・・・・☆☆☆☆☆
暴力・残酷描写がない・・・☆☆☆☆
性的・刺激的な描写がない・☆☆☆☆☆
娯楽性・・・・・・・・・・☆☆☆☆
満足度・・・・・・・・・・☆☆☆☆☆
学習・教訓的要素・・・・・☆☆☆☆☆
総合・・・・・・・・・・・☆☆☆☆☆
今日は、『ヴァイオレット・エバーガーデン』をご紹介いたします。以前公開した記事の修正版になります。
作品の主な構成としては、4年間にわたる戦争が終わり、戦場で「武器」として育成され、戦う兵器として扱われてきた少女「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」(以下ヴァイオレット)が、戦いの中で両手を失い、義手を付けて生活を始めるとことから物語は始まります。
その後、彼女は自動手記人形という手紙の代筆担当として郵便社で働くことになります。彼女は上官であり彼女に忘れられない一言を伝えて、戦場ではぐれ、生死不明になった「ギルベルト少佐」(以下ギルベルト)が忘れられません。
なぜなら最後に彼女が少佐から聞かされた言葉の意味。その意味を知るために彼女の心はさまよい続けているからなのです。
『ヴァイオレット・エバーガーデン』には、ひたすら純粋な人への哀惜・恋慕・慕情が混ざり合ったような世界観が根底に流れていて、純粋な文学作品のようなアニメーションに仕上がっています。
物語はテレビ版を経て劇場版へと続いていくことになります。
©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会
さて、最後の劇場版に至り、この物語の一番のポイントは、ギルベルトが生きていたということだと思います。
そして彼はなぜヴァイオレットの前に姿を現さなかったのか、ということです。
テレビシリーズでは、ギルベルトの生死は不明のままでしたが、劇場版では、ギルベルト生存が明らかになり、ヴァイオレットは彼に会いに行きます。
ギルベルトもヴァイオレット同様、多くの傷を負いながらも、生きていたのです。戦後は各地を放浪して、最終的には寂しい島にたどり着きます。
ギルベルトは偽名を使いその島で教師として生活していることが明らかになります。
そして・・・ヴァイオレットと再会しても、ギルベルトはヴァイオレットに心を開こうとしません。
この島で静かに暮らしていたのも、彼自身戦争で心も体も傷ついていたこと。なかでも、ヴァイオレットを戦場で酷使し、一生残る傷を負わせてしまったことを悔いていたのだと思います。
島で、ヴァイオレットはギルベルトの家を訪れますが、彼に会うことは叶いませんでした。しかし、ヴァイオレットの手紙を読んだギルベルトは、ヴァイオレットが島を去った直後に港に向かいます。
最後のシーンは、是非とも劇場版をご覧いただきたいのですが、ヴァイオレットは、テレビ版でギルベルトがヴァイオレットに言った言葉『愛している』の意味が分かったのでしょうか。
彼女はひたすらギルベルトの言葉の意味を追いながら、戦後の混乱を手紙の代筆を生業として生きてきました。
多くの人々の気持ちを汲んでかけがえのない手紙を書くことで、彼女は成長していったのだと思います。
人の言葉の意味は、残されたものにとっては珠玉の言葉として残る場合もあります。それは残された人を励ます場合もあれば、つらい記憶としていつまでも心に深い傷を残し続ける場合もあります。
この作品は、京都アニメーションの事件の影響が作品製作面においても、暗い影を投げかけているように思えます。
この物語の戦争の終結後の世界で、ヴァイオレットが経験してきたことは、事件後の京都アニメーションの人々が置かれた状況に重なってしまいます。
アニメーションの素晴らしい所は、虚構の世界が現実の世界では経験できない世界を見る人に提供できるからだと思います。
虚構と現実のアンマッチを楽しんでいただくことが、ある意味最大の魅力なのだと思います。このような高揚感で逆に被害妄想に発展したり、現実世界の出来事とアニメの世界の区別ができなくなり、見境なく人を傷つけるようなことは絶対あってはならないと思います。
戦争もそうだと思います。いつか終結するときは来ると思いますが、多くの人に体の傷、心の傷を残すことになると思います。
そして、残された言葉によって、頑張る人もいればいつまでもその言葉に縛られる人もいると思います。
私自身、末期の病気の妻の言葉をかけがえのないものとして、今を生きています。
そしていつか来る別れの時がくれば、残された彼女の言葉に縛られて生きていくことになると思います。でも、準備の時間が与えられるだけでも幸せなのかもしれません。
国と国の戦争は、最終的には個人の生活に大きな影響を及ぼします。ただでさえ、庶民にとっては生きづらい世の中で、解決しなければならないことが多いのに、余計な心配や苦悩を個人に与えます。
自然災害は時としてどうにもならないかもしれませんが、戦争に関してはそろそろ人間は、教訓としてなんとかしなければ、存在そのものが問われる状況になってきています。
この作品は、テレビ版から劇場版まですべてみていただくと、ハッピーエンドに終わるようでいて、見る人によって深く心に刺さる要素をたくさん有していると思います。
ただ、そうはいってもすばらしい作品であることに変わりはないのですから、作品そのものを素直に楽しんでいただければと思います。
