
2025年11月公開
原案、脚本、監督:内田英治
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あらすじ:夫が借金を残したまま行方不明になった。小学生の姉と幼稚園児の弟を育てるシングルマザーとなった夏希は日々生活費に困窮していた。ある日、薬物の売人が襲撃されたところに出くわしたが、夏希は気絶している売人から薬物を盗んでしまう。それを売って1万円を得るのだが、その地域を仕切る組織に知られて暴行を受けた。そこを格闘家の多摩恵に助けられたのだが、金に困窮している夏希を見かねて薬物売買を提案する。そこから彼らの生活は変化していくのだが。
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予告で北川景子が「泣きたいんはこっちや」と号泣していた場面は序盤にあります。私もその序盤で泣いてしまいました。ここで終わってほしかったです。
何しろ、北川景子が演じるお母さんがめちゃくちゃようできてる人なんですわ。小学生の娘もようできてるええ子なんですわ。弟はちょっとアレやけど。周りも夏希お母さんに気を遣うくらいにええ人ですからね。なので、ここで映画が終わって幸せになってほしかったです。ただただこの親子の幸せを祈るだけです。
やっぱり貧乏は悪ですわ。不幸ですわ。金があっても幸せとは限らないけど、貧乏は間違いなく不幸ですわ。
だけど、そんな夏希が薬物の売人になってしまうんですねえ。なんやかんやあって売る量を増やしたいと言った夏希に組織のボスが「他人を不幸にしてまで自分の子供を育てたいんだろ。そんな母ちゃんいねえよな」って。この場面はちょっと痺れましたな。すっごくよくできたお母さんでも間違いを犯してしまうし、自分のやったことがどんな影響を与えているのかわかっていないわけで、それに対する皮肉をぶつけるわけですよね。
ところが……ここからはネタバレになるのでまだ見ていない方は読まないでほしいです。
終盤は謎の超展開となりました。
元刑事の探偵が少女の母から依頼を受けて行動を調べていたのですが、少女は薬物を買っていてなんやかんやあって死にましたね。探偵が母に再度会いに行って、拳銃を提供するんですよ。
ここで、はっ!? ってなりました。
意味わかんないです。私にとっては超展開です。少女の母が売人に復讐したくなる気持ちはわかります。それは当然です。だけど、その母に拳銃を渡すのが意味わからんですよ。
少女死亡の直後に探偵は組織のボスに「警察が本気出すぞ」と言っておきながら少女の母の復讐を支援する意味がわからんです。しかも拳銃を渡したとき「変なことは考えていませんよね」と言いました。復讐を検討している人に復讐相手の居場所と拳銃を渡したあとで言うセリフではございませんよ。
拳銃を渡した場面から本作が突然ファンタジーに方向転換したような気がします。急にどうした! ってなりました。
さて、クライマックスの謎について、私の考察です。
拳銃の発砲音を聴いた夏希と弟ですが、弟が「運動会や」と発言しました。これがヒントだとすると拳銃は空砲だったのではないでしょうか。なので、死んだ少女の母に拳銃を向けられそうになった小学生姉は無事帰宅してきたのでしょう。
さらに、発砲はおそらく少女の母が自殺しようとしたのではないかと考えます。これが探偵の「変なことを考えていませんよね」につながると思うわけです。
ただし、組織にボコられた多摩恵がピンピンして夏希の前に現れたことも謎でして、そうなると夏希、多摩恵と姉弟は死んでいる……楽園で4人いっしょになったとも考えられるわけです。
監督によりますと、クライマックスの謎はヒントが作中にあるそうなので繰り返し見れば解明されるのでしょう。
……最後に、関西から移住してきた親子が暮らす東京、というわけで、小学生姉がいじめられる場面がありました。そのとき、「おまえの関西弁が気持ち悪い」とおっしゃっていましたね。ほいじゃったらのう、言わしてもらうけどのう、おまえらの東京弁がキショいんじゃ。生理的に受け付けんのじゃ。こっちは日々耳に入ってくる東京弁を我慢しとるんじゃ、ボケェ。
いくらフィクションとはいえ作中で東京の人がこんなことを言っていたらこちらとしましては頭に来ますわよ。