妻の母が年明けから入院している。
腸炎の一種で、ほぼ絶食状態で点滴生活を1週間ほど続けていた。
幸いにして容体は徐々に回復し、今朝の検査結果次第では退院できるかも、という話を昨夜義母から聞いていた。そのため、もともと立てていた予定をやりくりして、退院の介助ができるようにスタンバっていた。
お昼近くになって、義母から妻のもとに電話がかかってきた。主治医から、今日は退院できないと告げられたとのことだった。
私はまあそういうこともあるか、と思っていたのだが、妻の受け止めは違った。妻は電話で義母にまくしたてた。
「こっちは1日待機してたんだから、退院確定するまで連絡しないでくれる?もっと病院にも正確な説明をするように言ったのか?」
70を超えてほぼ食事も取れてない老人に対して、そんな口の利き方があるだろうか。論調としては、とにかく要望は簡潔に、情報は正確に、交渉は的確に、という話なのだが、そんなことを病床の人間に期待するほうがどうかしている。
案の定、義母が「そんなひどいこと言わないで」と電話口で嘆いている音声が聞こえた。それでも妻は自分の母への口撃を止めず、「だったらこうすればよかった」「
ああすることもできた」と後出しで何でも言える、「ああ言えばこう言う」の無限ループに義母を巻き込んでいた。そこは折れてやれよ。病床の人間なのだから、曖昧な言い方になったり、憶測や願望交じりのことを言ったり、弱気になったり遠慮して遠回しな言い方になることもあるだろうに。
あまりにも義母が不憫だったので、あとで個別LINEでフォローを入れておいた。「気が立ってるみたいですが気にしないでください。病院もそこまで丁寧に情報くれるわけないので妻の言い分はひどいと思います。まずは回復優先で。買い出しやサポートが必要なことは私に行ってください。予定の都合はつくので。」義母からはありがとうのスタンプ1つ、返信があった。
義母は普段から娘たちの世話をよく焼いてくれている。
習い事の送迎もたくさん担当してくれるし、私の出張のときは泊まりをさせてくれたりもする。正直、妻よりも母の仕事を担ってくれている。普段から世話になりっぱなしなので、こういう時くらいいつもの恩返しでサポートするのが家族だろうと思うのだが、妻は使えるときは使い倒して、お荷物になったら冷然と切り捨てるようだ。あんたほんとろくな死に方しないよ。
義母にとっての子どもが担う役割を、なんやかんや私が担っている感じ。介護になったら私がいろいろと世話を焼くことになるのかもしれない。自分ももちろんフルタイムの仕事があるので暇ではない。仕事の成果を出すうえではかなりのビハインドだ。だがこのことをキャリアの足枷と考えず、この家庭での役割発揮も含めて自分のキャリアと捉えることが大切なことだと思う。会社から評価されなくても人間的に正しいということはごまんとある。私はビジネスパーソンである前にパーソンでありたい。