育休界隈の怨嗟反応はいつになっても燻っている。
記事によると、育休期間満了直後に退職をすることを「育休もらい逃げ」と呼称するらしい。育休者が職場にいる人間の立場から、育休者のスタンスを批判するニュアンスがビシビシと感じる言葉選びである。
そもそも育休者を批判する立場の人間が「与えた」育休でもないくせに、「もらい逃げ」とは随分上からの表現ですなぁ。強いて言うなら国が与えている。お前じゃないよ。でも批判する当人の感覚的には、なんとなく欠員の穴を埋めさせられて割を食っている気持ちでいるんだから、そう言いたくなるのもわからないではない。
ただ、いつも間違えちゃいけないのは、そんなカツカツの人員で現場を回させている経営陣が絶対的に悪いということだ。離脱しようとする人間を咎めるのはお門違いも甚だしい。人が取れないとか採算が合わないとかもっともらしい理由を並べるが、それをどうにかするのが経営陣の仕事である。それをどうにもできないのならば経営手腕が未熟で経営者を名乗る資格がないというだけのことだ。
経営者というのは言い訳が許されない。どんな不可抗力、不運の結果もすべて責任を取らなければならない。そのリスクと引き換えに高い報酬を得ているのだ。報酬はしっかりせしめておきながら、人員不足で現場がまわらないことを育休者が復帰せずに辞めるからだと責任を押しつけるのは、お前こそ「報酬もらい逃げ」だと批判しなければならない。
職場のメンバーも、育休後に退職する人を批判する前に、本当にその育休者が戻りたくなる環境を整えようと万策尽くしたのか我が身を振り返るべきだし、万策尽くしてなお離職を選んだ同僚に対しては気前よく送り出してやればいい。なぜならば、その職場にとどまり続けているのも、あなた自身の判断だからである。育休者の補てんがされない、負荷が増えた、見返りが少ない。それが不満で耐えられないなら、まずあなた自身が退職を検討したほうがいい。自分が浴びている不利益は、その職場にとどまると判断したことにすべての原因があって、その職場を離脱した人が原因ではない。そこをすり替えてはいけないのだ。
育休取得する方は、いったん職場から離れたことを契機に、復帰を当然視せずに自分のキャリアを俯瞰したほうがよい。職場のなかにいると惰性が働いて、自分が本当にやりたかったことでない仕事にまみれていることに違和感を持たなくなってしまう。せっかく解けた洗脳を自ら慌ててかけ直しに出向かなくてもよいではないか。どの選択が自分のためになるのか、しがらみなく検討できるまたとないチャンスである。「もらい逃げ」を唱える人間は洗脳されてるんだなと切り捨ててよろしい。自分の人生なのだから主導権を他人に易々と握られてはいけない。