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the pillowsは何がalternativeだったのか

the pillowsが解散した。

とてもとても残念だ。自分の愛するバンドが解散してゆく年齢に、自分もなってきたのだなぁということを嫌でも実感させられる。

ネトっとした喪失感がまとわりついたまま、ブログで感情を発散することもできずにいた。しかし、今日一人カラオケで90分the pillows縛りで歌ってきて、少しだけ心がほぐれ、現実を受け止められるようになってきた。きっとデンモクの2月の履歴を見れば30曲くらい連続でthe pillowsの曲を乱射した痕跡が全国各地で見られるはずだ。BUSTERSにはそういう偏執的な性質がある。



前にもブログで書いた気がするが、私がthe pillowsにハマったのは、ミスチルとの対バンライブがきっかけだ。当時ミスチル信者だった私は、現人神たる桜井和寿をZeppなんていう小さい箱でお目にかかる機会は人生で二度とないと思った。そんな思いで目を血走らせて申し込んだ札幌公演。なんと私は最前列のチケットを入手してしまう。(これで私は人生のすべての運を使い果たした。それから二度といいことはなかった)

公演当日。マイクを通さない生声が聞こえる距離。手を伸ばせば簡単に触れられてしまう距離。そんな近さでミスチルを拝めることだけを心待ちにしていた私を嘲笑うように、「前座」として現れたthe pillowsは会場を食らい尽くした。

サワオがステージに現れた瞬間、私は彼の纏うオーラに脳天を衝かれた。え、待って、めちゃセクシーなんだけど。一目惚れ、とはこういう事かもしれない。男に「惚れる」という感情を抱いたのは後にも先にもこのときしかない。それくらいサワオはカッコよかった。

当日歌われた曲は全て、あらかじめ予習してきて知っている曲だったけど、CDに収録されている音源とは全くの別物だった。魂が揺さぶられる感覚とでも呼ぶべきか。申し訳ないけどその後に出てきたミスチルは、良くも悪くも優等生で、CD音源と一切違わない完璧な曲を届けてくれたように感じた。ドームで聴くのもライブハウスで聴くのも同じクオリティ。それはそれですごいことなんだけど、「この箱」でしか聴けない特別感を味わわせてくれたのはthe pillowsだったのだ。それから私は買い集められる範囲で彼らの過去作を買い漁り、ライブに通った。どのライブも、CD音源では味わえない迫力と感動があった。ライブハウスという特殊な空間に最適化されたロックバンドだった。


the pillowsはよくオルタナティヴ・ロックと評されることがある。私は英語話者じゃないのでalternativeという単語のニュアンスがよくわからない。辞書的な意味は「二者択一の」「もう一つの」。オルタナティヴ・ロックの意味は「商業主義的でない」こと。それぞれの言葉の意味するところが遠くて、the pillowsのどの部分を捉えてそのような枠組みに当てはめられていたのかよくわからなかった。少なくとも当人たちが「私達はオルタナティヴ・ロックをやっています」なんてわざわざ名乗るわけもないし、少ないながらも何かとタイアップした曲もあったわけで全く商業的でないというわけでもない。そのモヤモヤが、彼らが解散した今になってようやくわかった気がする。

前述したように、彼らの魅力が最大化するのはライブハウスだった。芸人で言うところの劇場番長みたいなもんで、テレビのバラエティにはあまり出ないが、ひたすら寄席の漫才で笑いを量産する。the pillowsはそういうバンドだった。音楽番組で司会とトークして大衆の人気を勝ち取るような器用さがなく、愚直に音楽活動だけと向き合ってきたのだ。大衆ウケするアイドル的人気か、それとも自分たちの音楽性の飽くなき追求か。その「二者択一」のうち、後者の道をあえて選ぶ姿を「オルタナティヴ」と呼ぶのだろう。でも、ロックンロールってそもそもそういうものじゃないか?大衆ウケする時点でロックじゃない。亜流だからこそロックなんだ。そんな矜持も彼らからは感じていた。

ロックンロールであるためには、大衆ウケを狙わない。でも売れるということは大衆ウケすることだ。ロックンロール性の純度を高めると食べていけない。売れたいのに、売れたくない。そんなロックンロール性の抱える致命的な宿命の中で、彼らは35年もの長い年月闘ってきたのだ。


「でも、そんな俺たちだから、お前らは勇気をもらうんだろ?ロックってのは、そういう周りの色に馴染めない出来損ないのためにあるんだよ」

サワオはそうやってひねくれた笑顔を見せて、歯を食いしばってロックスターで有り続けてくれた。

本当に、大変な生き様だったと思う。



35年間、お疲れ様でした。私は死ぬまでBUSTERSです。




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