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家族旅行には行かない

今年の年末年始も、家族で出かける予定を立てなかった。費用が高い、混雑している、大掃除で忙しい、等いろいろ理由を並べているが、本当のところは妻と遠出をすることが億劫である、というこの一点に尽きる。

妻は絶望的にストレス耐性が低く、非日常の環境に置かれて少しでも自分の思ったとおりにならないことがあるとすぐに機嫌を損ねる。ちょっと高い店に行ったり、高いものを買ったりすると小言を言う。かと言ってどこにでもあるようなチェーン店に入ろうものなら「せっかくの旅行なのに」と言うし、じゃあ自分で決めてよと従属的な態度を取ると「ちゃんとエスコートしてよ、男らしくない」となる。妻が気に入りそうな選択を、あたかも自分が気に入っていて、そうしたいかのように装い続け、いつ地雷を踏み抜きやしないかとヒヤヒヤする緊張感に晒され続けて、自分が楽しむところではない。そんなことに大枚を叩く気持ちにどうしてもなれない。旅行に行くにしても選択肢と目的の限定された動物園やプールのようなところじゃないと私がストレスに耐えられない。

そんなわけで、実家の北海道にはもうかれこれ8年帰ってない。周囲からは「年末は帰省で?」と問われるたびに少し気まずい思いをする。「雪で飛行機が止まると大変なので」とか、適当な言い訳で逃げる。夏は言い訳の内容が「台風に直撃すると大変で」にすり替わる。そうして大型連休に帰省しない言い訳の永久ループを繰り返している。妻からは「家族と旅行に行きたいとかそういう自分の願望はないのか、何が楽しくて生きてるのか」と怪訝な表情を浮かべられるが、それには呆けた顔をして意志のないゴム人形のような態度でやり過ごしている。退屈な人間と思われても一向に構わない。自分が何を考えているのか分かってもらいたいと全く思わない。ただただ機械的に起床し、機械的に食事を準備し、機械的に子どもの世話をし、機械的に仕事に向かい、機械的に就寝する、そういう、人生に目的のない人間として私は完成した。

フェイスブックを眺めていると連休のたびに家族旅行に行く友人の投稿を見かける。よくそんなに金があるな、というより、よくそんなに家族仲睦まじくいられるな、ということの驚きのほうが多い。自分はいま一億あっても家族旅行には行かない。旅行に行けるお金より旅行に行きたいと思える人間関係のほうが実は得難いということに友人は一生気づかない。そしてそんなことは気づかないで死んだほうがマシだ。

子どもにとっては家族の思い出がなくてかわいそうなのかもしれない。ただ下手に遠出して両親がずっと喧嘩している地獄の二泊三日より、深刻な対立に至る前に期待できる日帰りのお出かけのほうがずいぶんマシだろう。子どもたちは幸い、映画を見たりマイクラをやったりシルバニアをやったりで忙しそうだ。家族旅行がないことくらい、それほど違和感ではないのかもしれない。まあ旅行なんて自分の金で行ったほうが百倍楽しいし印象にも残る。世界の楽しさを直接体験させるより、世界は楽しいことがありそうだと期待させ、機が熟したら自分で飛び込むことができるようにインプットをすることに注力したい。




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