多分にネタバレを含みます。まぁすでに見た人が読むんだろうけど。
松本若菜見たさで見始めたドラマが昨日、最終回を迎えた。
現実ではなかなかあり得ない設定や展開に対するツッコミの多々ある内容ではあったが、フィクションと割り切ればとても満足の内容だった。
リアリティがそんなに大事なら是枝監督の映画でも見ればいい。とってもリアルな代わりに、夢も希望も救いも教訓もない。ただただ後味が悪い。それが本当の現実なのだ。
最終的には、宏樹と美羽は復縁した。宏樹と血のつながりのないことが判明した、栞と三人で暮らすことを選んだ。
紆余曲折合った挙句、お互いへの信頼と愛情が回復したのだ。
私は、この結末を支持する。
これから降りかかるであろう幾多の困難、例えば栞にいつかすべての真実を伝えなければならないであろうこと、仮に第二子に恵まれたとしてその兄弟関係、どうしたってぬぐえない罪悪感や気まずさから逃げずに、直視して、手を取り合って乗り越えていくことを選んだ。一度も裏切ったことのない相手との信頼関係より、一度裏切りがあった後の信頼関係のほうがかえって強くなることもある、という理屈はとても理解できる。裏切りの原因が自分に責任があること、そして相手の立場になったときに裏切りの行為を選ぶことについて共感できること、そこを腹蔵なく分かち合えたなら、脚色のない等身大の互いの姿をそこに認めることができる。醜さも含めてさらけ出してくれたことに、信頼が生まれる。その勇気を見せてくれたことを、いとおしく思う。そのような感情の機微は、なんとなくわかる気がする。
結果論ではあるが、宏樹と血のつながっていない栞が産まれることが、宏樹と美羽が復縁する唯一の策だった。
その点がとてもよくできたシナリオだと思った。
宏樹は美羽にモラハラを続けていた。そして愛情の通わないレイプをした。穢された美羽は深く傷つき、その穢れを雪ぐため冬月の純粋な愛を求め、穢れを上書きした。
もし栞が産まれなかったら(堕胎も含む)、宏樹が改心する機会が訪れず、早晩宏樹と美羽の関係は破綻していた。
もし栞が宏樹の子どもならば、レイプされたときの子どもであるという暗い影が美羽にずっとつきまとい、かりに宏樹が以降のシナリオの通り改心しても美羽の傷は癒えなかったと思う。
では宏樹が呑気にも栞との血のつながりがないことに気が付かなかったとしても、宏樹が改心したことにより今度は美羽の罪悪感が上回り、耐えられなかった。
美羽の精神のバランスをとるためには、宏樹はレイプ魔のまま、栞にも無関心で、ATMのままで居続けることが必要だった。仮面夫婦のまま、まさに「托卵」状態でレイプとモラハラの復讐を成立させたうえで、実質一人で育てる必要があった。
しかし宏樹が改心した以上、バランスが崩壊した。もはやバランスを取り戻すにはお互いの罪を認め合って分かち合う、という究極的に難しい選択をするしかなかった。
そういう結論から逆算すると、おせっかいでしかないように見えた真琴(栞と宏樹に血のつながりがないことを根拠もなく疑い、吹聴した)と、二人の関係を妨害しようとした莉紗(冬月の死を偽装したことで間接的に美羽が栞を産む決断を後押しした)は、宏樹と美羽のキューピットだったのだ。本人たちにそのつもりはなくとも。
夫婦関係は、なにかしら乗り越えがたいものを乗り越えていくしかない局面がある。
結婚相手に対する幻想を完全に捨てなきゃならない場面がある。
そこを割り切れないで理想にこだわっていると、結局誰ともうまくやっていけない。
結婚とはそういうものだと思う。
栞の気持ちはどうなるのだ、という意見もあるだろうけど、思春期は悩むかもしれないが、30歳あたりを超えて人生経験をいろいろ積めば、まあ人生そういうこともあるよねと達観できるようになるさ。自分だったらむしろそんなことがあっても乗り越えた父母を人間として尊敬し、その子として誇らしく思うかもしれない。
結論。
設定こそぶっ飛んでいても、じゃあ結局夫婦関係ってどうするものなのか、ということの答えを出すために苦悶するところには、リアリティを強く感じる作品だった。ごちそうさまでした。
余談。
じゃあ自分の結婚生活はどうなんだと問われたら、妻がどこの男と恋仲になっていようがまじでどうでもいい。
むしろ、お盛んなだけ元気でよろしい。取られた、という感覚もないし、自分に魅力がないのか、と憤ることもない。
俺のものでもないし、自分に魅力がないのもわかっているから。
妻の機嫌が良く、こちらに累が及にさえしなければ、どんな手段を講じてくれても構わない。
耐えられないとすれば、借金返済を肩代わりすること、相手方にも家族があって訴えられること、もう一人子どもを育てる(しかも自分の子でない)ことくらいかな。
とにかく、自分に干渉してつべこべ言ってくる時間が少しでも減ればいいと思っている。