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好敵手はなんぼあってもいい

今日は3ヶ月ぶりにスーツに身を包み、お客さんのもとに訪問をしてきた。お相手はとても癖のある性格だが、いつも仕事のインスピレーションをもらえる人。私が社会人になって作り上げた成果物はたいてい彼との対話から着想したものだった。

私は営業から離れて広報や商品開発の立場になっているのだが、「たまには来ないか」とDMが来たので顔を出してきた。

お互いの近況を共有し、いま彼が構想しているプロジェクトの話を聞かせてもらう。その構想は自分がこの会社でサービスとして提供したいなと考えていたアイディアの種を膨らませたもので、私の想定する一歩先まで描かれていた。こんなプロジェクトをコンサルを使わずに自前でやられたら、我々の商売は成り立たない。率直に言って、私は彼の頭脳に嫉妬した。できればその構想は私が考え出して、こちらからの提案で「商売」にしたかった。

私は、自分の進めている事業の進捗管理に忙殺されていることを言い訳にして、アイディアを練るのを怠っていた。しかし、彼とてたくさんの役割を抱えて時間も精神的余裕も十分にない中で、実現可能性の見通しが立てられるくらいまで構想を練り上げていたのだ。等しく与えられた時間の中で、彼に一歩先を行かれた事実を素直に認めなくてはならない。

私は後塵を拝する形で、ぜひその構想に一枚噛ませてほしいと頭を下げた。アイディアを提供することはできなかったが、彼のアイディアの実現を促進させるために貢献できることはまだまだある。ならばいっそ触媒となって使われてしまおうと考えたのだ。彼は満足げに快諾したあと、こうつぶやいた。
「あんどうが新規事業を社内で始めて調子に乗ってるんで、見返してやろうと思ってね」

そこで初めて彼も彼なりに私をある程度ライバルとして意識していることを知った。二十も年の離れた、顧客と営業という立場でありながら、なぜか張り合って切磋琢磨している。ずいぶん不思議な関係だなと、可笑しさが込み上げてきた。


しっかり触発されてオフィスに戻った私は、興奮醒めやらぬ間にと、ずっと塩漬けにしていた新しい研修のカリキュラムを2時間かけて仕上げた。

「今度はこれを提案したら彼の鼻を明かすことができるだろうな」と、ほくそ笑みながら楽しく作業をすることができた。

最近は仕事が停滞気味だったけど、彼に会って仕事が一気に捗った。自分が効率よく駆動するメカニズムは他者との張り合いであるというなんともみっともない現実を眺めている。




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