キー・ホイ・クァンがオスカーを手にした。
そのニュースを聞いたとき、8歳と6歳の娘たちのリアクションは「ふーん」だった。テレビの中で知らないおじさんが喜んでいる。まあ、そりゃ「ふーん」だろう。
グーニーズやインディ・ジョーンズに出てたあの子やよ、と説明した途端「ふーん」は「ウソやろぉ!?」に塗り替えられた。娘たちがそれらを観たのはほんの1、2年前である。ずっと昔の映画だと頭では分かっていても、つい最近感情移入しまくりで観たあの少年がこのおじさんだという事実がピンとこなかったらしい。
「なんか私今バックトゥザ・フューチャーの主人公になったみたい」とテレビを眺めながら長女がしみじみと呟いた。なるほど。うまいことを言う。
我々世代は「長年の空白期間を乗り越えて俳優に復帰」というドラマ性につい注目してしまうけれど、娘たちにはその空白期間が実感できない。かっこいい同世代の冒険ボーイという点からオスカー受賞おじさんの点に、一気に飛んでしまっている。データ嬉しい結果でよかったな〜などと、完全にクラスメイトと接するノリで親より年上のおじさんに向かって声をかけている。
ハリソン・フォードには別にそこまでのリアクションはなかった。「同世代」と「おじさん」は別物だが、「若めのおじさん」と「おじいさん」は子どもにとってさほど差がないのかもしれない。特にハリソン・フォードはシュッとした感じのまま年を重ねているし。
ある一定の年齢より上の大人に対して、まだ想像の中でその人生を把握することができないというのもあるだろう。中学生がめちゃくちゃ大人に感じるお年頃である。
逆に私はトム・ホランドをいつまで親戚の小さな子のように感じ続けるのだろうか。高校生くらいのイメージで時が止まっているため、毎年毎年年齢を聞くたびあーれっさもう26かね、などと田舎のおばちゃんリアクションをキメてしまう。まあ26とか全然若いのだが、トム・ホランドが40超えても同じことを言ってしまう予感がする。
よその子の成長は早い、とよく言うが、まさにそれだ。この前ハイハイしていたはずの近所の子が自転車を乗り回しながらどうもお久しぶりです、などとハキハキ挨拶なんかしてくる。自分がコールドスリープから目覚めたばかりの人間に思えてくるほど、よその子の成長は早い。
おじさんおばさん俳優がおじいさんおばあさん役を渋く演じるようになった、というのにはまるで感じない感情である。しみじみと年月経ったもんなぁ、とかあの頃私も若かったなー、あの頃あれ観てこんなこと真似したなぁ、とかそんな感傷は湧いてもタイムスリップ感はない。
更に年月を重ねて老人になったらまた感じ方が変わるのだろうか。百歳になっても新しい映画を観てあーだこーだ言えるなら幸いである。
とにかくキー・ホイ・クァン、おめでとう。