令和6年の3月1日に戸籍法改正が施行されてとても助かった。
精神面の相続放棄はポジティブ・シンキングで日々浄化してゆけばよいけれど、物質面の相続放棄は期限があり、要件を知らされてから3ヶ月以内に遂行しければならない。
デン、デン、 デンデン
デン、デン、 デンデン
頭の中で音楽が鳴る。
このミッションをポッシブルにしてくれるのが、マイナンバーカードと戸籍法改正とコンビニ交付のコンボだ。今年の3月から遠隔で請求できる証明の種類が増えた。
ミッション通達はまず長子にくる。実態が家父長制でも性別に関係なく戸籍に登場した順にくる。被相続人に住所を知らせず安全に暮らしてきたわたしの全毛穴が開く。
なんじゃこりゃあああああ!!! と、エア優作が手を震わせ叫ぶ。相手がもうこの世にいないとわかっていても、瞬時に逃走反応が起こる。
事情を鑑みず長子に連絡がくることで起こるデリケートな問題は当然あちこちにあるようで、公的機関の担当者がていねいに説明をしてくれた。
「この件で取扱われる情報は他のどの機関とも繋がっていません。安心して手続きを進めてください」という説明の中で、今年の3月から法律が変わったことを教えてもらった。
この世はけっこうやさしい。
やさしい気持ちは連鎖する。
なれないあたしとあなたの間にこんなにわがままいいですか? を可能にする。
わたしのなかの優作が落ち着いたタイミングで次子へ連絡をし、業務分担をした。同じことをするならまとめて片付けてしまおうというわけだ。
これらの連携すべてにパーソナルなコンピュータが必要で、わたしはこういう時にパソコンを持っていない場合を想像する癖がある。
電話で教わった通りにウェブサイトを探しPDFをダウンロードし、次子とメールで連携する。これら一連のあれこれをコンピュータ端末が助けてくれた。いろんな「便利」にしがみついていないと「便利」を享受できないことを知るたびに、いつも少し胸が痛む。
この面倒な作業の合間に公式伝記『スティーブ・ジョブズ』を読んでいた。
スティーブ・ジョブズは30歳を過ぎてから血縁の家族とつながりを得ている。そういう話だと全く思っていなかったから驚いた。
スティーブ・ジョブズは癇癪持ちでかなり口が悪かったそうだ。くそったれ! とよく口にしている。その言葉は仲間にも容赦なく向けられ、映画の中でもファッキュウというフレーズが何度も吐き捨てられていた。
なんじゃこりゃあああ! と心の中で本気で叫んだ後だったから、スカッと慰められた。
(この話は身近なフィクションです)
