先日、おばさんになってからの視点ってこういうことかと思う出来事がありました。
姪や甥が生まれたという話ではなく、中年に本腰が入るという意味でのおばさんです。
わたしは年に数回、海外に住む友人に読み終えた本を小包で送っています。
いつ到着するかかわからない船便で送るので、送ったことを忘れた頃に「届いた」とメッセージがきます。送った本がどれだったかも忘れている、立派なおばさんです。
先日、届いた本のひとつを読みだしたら止まらなくなってすぐに読み終えたので、その本を肴におしゃべりがしたいと友人からメッセージがあり、ビデオチャットをしました。
とっぷり2時間話しました。
その本はラブストーリーなので、細かな点で大いに意見が割れました。おばさん同士でも経験してきたあれこれが違う。ゆえに、失敗からの学びの方向性も割れます。
と同時に、おばさんだからこそ自然に沸き上がる話もあり、それはわたしたちがもう「女子」ではないからこそ楽しめるのでした。
女性の場合は25歳、29歳、35歳、40歳あたりでしょうか。その頃に強く気にする人は気にする、恋愛や結婚や出産に対するプレッシャー。さまざまな決断と忍耐、そして失態。
その振り返りができるのは、時間薬がじゅうぶん効いてからです。
* * *
お酒を飲まないわたしたちの肴になったその物語は、同級生や友人が次々結婚していく中で静かに妄想世界へと爆走していく人物の内面と、それとは裏腹に完全に空回りしている外的行動を描いたものでした。
本の内容の話をしながら、わたしは友人が大学の卒論テーマでストーカーの心理について扱ったという話を初めて聞き、ちょっとぉ~、なによぉ~、初耳じゃないの~、とその概要を聞かせてもらいました。
半年前にも少し似た話をしました。同じ本を読んだ別の人とBookClubで話したときに「この本は自分が20代の頃に読んだら、怖さと気持ち悪さでもっと不快だっただろう」と言っている人がいました。
この物語は、ストーキングをされる側の恐怖が立ち上がっちゃって読むのがしんどくなる人も、まあいるだろうと思う内容です。だけど主人公は他人に襲いかかるようなことはしない、精神的に誠実な人だとわかっているから読後感が悪くない。文章の力で純真と執着の境界をつまびらかにした名作です。
話を先日のビデオチャットでの話題に戻します。
最後のほうで、友人がこんなことを言っていました。
「これさ、親御さん心配だよね」
これが自分の子供だったら、ほどよい距離感で見守れるか。
独身のおばさんたちの妄想育児がはじまりました。そこに女子はいません。これはラブストーリーというより、もっとなにか重要なアジェンダが含まれている。人間の尊厳に触れるなにかが。
そんなことまで話していたら、あっという間に2時間が過ぎていました。
夜更かしは翌日に響くので滅多にしないのですけれど。
▼名作です
