数年前に何かのメルマガでこの本の女性たちの会話がおもしろいと書かれていて、その頃古本屋で見つけて買っておいたのを最近になって読み終えました。
この物語は中年女性6名が20年ぶりに同窓会のようにランチをすべく集まろうとして、2人は介護やボスからの仕事のダメ出しで当日ドタキャン。
集まった4人で各自の近況報告を始めるところから本当は人生をどうしたいかという話へ進んでいくのだけど、この会話がどれも身につまされるというか、集まれた人たちも実はうまくいっていないことを気にしないようにして頑張っている。
人からああしろこうしろと言われることに疲れた!
(言われていないけれども役割をそう仕向けられる事に疲れた!)
そんな本音と共に章が進んでいきます。
わたしは各章の冒頭にある、アメリカの本にありがちな “著名人の言葉の引用” が新鮮で、サブカルチャー本のように楽しみました。
キャサリン・ヘップバーンの言葉
昨年からキャサリン・ヘップバーンのことが気になっていたので、彼女の言葉が複数回登場したことが読み続けるモチベーションになりました。
引用されていたのはこんな言葉でした。
「女性のみなさん。お金とセックス・アピールのどちらが欲しいと言われたら、お金をとりなさい。なぜなら、年をとったらお金があなたのセックス・アピールになるからです」
(はじめに「時代と共に自分も変わる」より)
「すべてのルールに従っていたら、楽しいことをすべて経験しそこなう」
(第3章の冒頭 より)
今年はキャサリン・ヘップバーンの映画を観てみることにしよう!
ソフィー・タッカーの言葉
20世紀前半の歌手・コメディアンを、この本をきっかけに初めて知りました。
ソフィー・タッカー(1886年– 1966年)の有名な舞台上の発言・ジョークが紹介されていました。
女性に必要なのは、
誕生から18歳まではいい両親、
18歳から35歳まではいいルックス、
35歳から55歳まではいい性格。
55歳から先はいいお金が必要だ。
バックミンスター・フラーの言葉
アメリカの思想家・デザイナー・建築家・詩人のバックミンスター・フラー(1895年 - 1983年)の言葉も印象に残りました。
この人物は裕福度の定義を以下のように言っています。
その人がこれから先、生き延びることのできる日数
ことさらに健康のこともお金のことも謳わずに、「生き延びる」と書く。
安全な国で暮らせていることも含めての裕福度なんだな・・・。
いちばんリアルに刺さった言葉
付箋を貼った言葉の中でいちばん「それ!」と思ったのは、著者のキムさんによる以下の言葉でした。
ガラスの天井や収入に限りがあることに対しては、多くの女性が長い間戦い続けているが、そのどちらも投資の世界には存在しない。
(第5章のまとめ より)
現代の投資は証券会社のウェブアカウントさえ持てれば、これほど平等なものはないと感じます。
この本は20年前(2007年)の本です。その頃はまだ今ほど証券会社のウェブサイトでさくさく資産を動かす時代ではなかったけれど、勝間和代さんは20年前に同じことを言っていたそうで、この本を同時期に読んだという人が教えてくれました。
いっぽうで、第11章で「専門家と呼ばれる人たちによって使われている言葉が主な原因で、自分は頭のよさが足りないと思っていた」という話が出てくる場面では、自分もそうだったなと思いました。
この本は女性がお金の話について消極的になるメンタルのあれこれが洗いざらい書かれていて、正直、「アメリカの女性も日本人と同じように、身近な男性との関係で波風を立てないためにここまで自我を滅するのか・・・」と意外でした。
アメリカと日本の違い
この本は具体的な投資の指南も含まれているのですが、日本とかなり状況が違います。
特に以下の3点が決定的に違っていました。
- 日本の場合は「現金や貯金+株・投資信託」の方が安全・一般的だけど、アメリカの場合は借り入れをして不動産・賃貸物件を持ち、そこから「物件+ローンでの現金収入」が普通の投資の感覚であること。
- それにあたって、モーゲージブローカー、ビジネスブローカーから融資を受けるという慣習がアメリカでは一般的であること。
- 共同出資の投資クラブ(コミュニティ)に入るという文化があること。
著者のキムさんは3については注意喚起もわりと強めにされていて、第16章で「みんなで集まったらたくさんのことを学べると思う」と言って勉強の場に別の友人を連れてこようとする人に、著者がきっぱりこう答える場面もあります。
「本当に学びたいと思っている人だけが集まるようにすること。ただ友達と一緒に時間を過ごしたいだけの人は、来ないほうがいいわ」
思い込みの溶かし方がユニーク
この本はお金の話をきっかけに興味深いことが書かれていました。
著者は「男性は自分が強く見えることや賢く見える・成功して見えることに関心がありすぎて買い急いだり、損切りができないことがある」と言っていて、以下の部分はまるでヨガの話かと思う内容でした。
一般的に、投資と聞くと、人はチャンスやリスクを取ることを考える。だが、本当のところ、投資は人々が思っている以上に「心の知能」に関係している。心の知能とは、ある状況にぶつかった時、感情的になりすぎずに客観的に考える能力だ。
(第15章 女性が優秀な投資家になれる理由 より)
過去の失敗にこだわって記憶の燃料投下を激しくしつこくやっていると、投資でもうまくいかない。
* * *
この本はカバーの裏の推薦文も20年前のもので、こう書かれていました。
「この本はすべての女性にとっての必読書だ。今の時代は、これまでのどんな時代にもまして、女性がお金のことに強くなる必要がある」
(ドナルド・トランプ/アメリカの不動産王)
買ったあとで気づいて、ああ、だからこの本はわたしが重い腰を上げて新NISAに手をつける気持ちの燃料になり得たのか……と、妙な答え合わせのような読書時間でした。