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恋愛体質じゃない人の心と体の居場所

少し前のことになりますが、ヨガクラス前の雑談で「いまの感覚や視座を持って若い頃の進路選択の場にいられたら・・・」なんて話をしました。

若い頃の決断って、人格の土壌を耕している最中にそれを追い越すように状況が進んでいく。そんな気がしたものです。

 

自分のエネルギーの捧げかたに躊躇して「何のために」なんて立ち止まると自我に絡みとられてしまう。

 

   *   *   *

 

さて。

今日は「恋愛」の話です。

進路と同じように恋愛をキーにした行動にも似た側面があって、昔の人の生き方を描いた物語を観ると、自分はこの時代に生まれたらしんどかっただろうか、それとも、案外テンプレにさっさと乗って自我を滅したかな・・・、と想像します。

「お見合いとかデートとか、避けて生きられないのだろうか」という気持ちは絶対あったと思う。

 

 

小津安二郎監督『麦秋』の紀子/谷崎潤一郎細雪』の雪子

このままでは水位が上がってどんどん呼吸しずらくなると思いながら、自分の心に正直に立ち泳ぎで結婚適齢期を過ごした女性の話が好きです。

 

小津安二郎監督の映画『麦秋』(1951年)の28歳の主人公・紀子は、ほんの一瞬の偶然を見逃さない、精神的に運動神経のある女性でした。

 

四姉妹を描いた谷崎潤一郎の小説『細雪』(1943年)の三女で雪子は超恋愛体質の妹がいて、上から下からものすごいプレッシャーに晒されギリギリの精神状態で、かわいそう。

 

 

クィア・シネマという本で解説されていた『麦秋』の紀子

わたしはこの映画の、28歳の主人公・紀子と女学校時代からの親友アヤの関係が大好き。

紀子の上司である佐竹という男性が、紀子本人のいない場所で、紀子の親友アヤにジョークを交えながら心のプライバシーを探る場面があります。

この場面で、アヤはかなり進んだ対応をします。

 

クィア・シネマ」では、このように分析されていました。

 ジョークをわかろうとしないことは、それ自体が「女性をサカナにして」男同士の絆を深めようとするホモソーシャリティへの抵抗

(連累の客観論──原節子クィアなジョーク より)

 

 

クィア・シネマ・スタディーズで解説される『細雪』の雪子

細雪』は、かなりおかしな結末で有名です。

クィア・シネマ」の著者が編者としてまとめた本の「崩壊へと横辷りする世界」という章で、出雲まろうさんが以下のように書いています。

 

(『細雪』のこの結末は、)

雪子が最初からちっとも、ぜんぜん、まったく、異性にも恋愛にも関心がなかったということの、お見合いも周囲の人任せに従うものの内心はまったく縁談のことなど念頭にないようでもあったということの、その時代には名づけ得ぬことへの身体的な発露であるかもしれず、今日ならば雪子のような性格はクィアあるいはアセクシャルと呼べるかもしれない。谷崎自身も「最初から雪子のこの在り方について単純でないものを感じて」おり、したがって語り口としては雪子に「あまりスポットを当てないで、周囲に人々をめぐらせ背景を沈ませることなく、而も際立つやうに浮き上がらせたい」と話していた、と云う。

谷崎潤一郎が、片付けてはいけないものを無理に片付けずに書いたって、最高じゃないか!

 

 

女優・原節子へのインプットはどんなものだったのか

この本を見つけたきっかけは、原節子さんが超絶メンタル不安定な女性を怪演する映画を観たからでした。

『わが青春に悔なし』(1946年)という作品で、今だったら吉高由里子さんや趣里さんが上手に演じそうな、あのレベルでコントロール不可能な女性を原節子さんが演じていました。

 

こういう役をやれちゃう人だったの?! と驚くと同時に

 

 

  小津映画での紀子の設定には

  やっぱり明確なコンセプトがあるんだ!

 

 

と思い、これらの本を見つけました。

 

異性恋愛学習推進という、ものすごい時代

クィア・シネマ・スタディーズには、島耕二監督版の映画『細雪』(1959年)について解説があり、この脚本では、雪子が婚約者の死というトラウマを乗り越えて結婚する話に改変されているそうです。

その時代背景の解説もありました。

敗戦後の日本娯楽映画がある時期まで今井正監督『青い山脈』(1949年)に代表されるような民主主義の啓蒙とともに積極的な異性恋愛行動を推奨するメッセンジャーを担っていたこと、その異性恋愛学習推進の方向性はCIE民間情報教育局)による検閲廃止後もますます内面化されていった一面をこの作品に観ることができるだろう。

クィア・シネマ・スタディーズ「崩壊へと横辷りする世界」出雲まろう より)

なんとわたしの親世代はGHQCIE仕込み!

ホイチョイ・プロダクションズがトレンディに恋愛ドラマを量産した時代(=わたしの受けたインプットの時代)よりも、えげつない。

恋愛感情の刷り込みの歴史を知るきっかけになりました。

 

  *   *   *

 

今日は「社会から煽られる恋愛感情」について書きました。

あの漠然とした焦りって、しんどかったよね・・・。

 

なんてことを前世の出来事のように語れちゃうのが、中年期のいいところ。

社会からのプレッシャーという肥料が効かなくなると、「あれってホルモンと虚栄心の仕業だったのね!」とわかる w

まーなんにしても、明るく話せるといいよね。




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