10年前に読んで以来ずっと頭の片隅にあった『坑夫』という小説の景色に近い場所まで出掛けてきました。
群馬県のJR桐生駅から「わたらせ渓谷鐵道」の1日フリーパスを買って、終点の駅まで行って帰ってきました。
夏目漱石の『坑夫』は、ヨガの哲学の中にある概念が夏目漱石の言葉でいくつも登場する作品で、ヨガの本は読めなくてもこの小説だけ読めばいいよと、そんなふうにおすすめできるくらいのヨガ小説です。
夏目漱石の小説の中でこの作品は唯一、他の人の経験をもとに書かれた小説です。
銅山で過酷な労働と人間関係を経験した人の話が入っています。
その人物を元々お坊ちゃんだったという設定にして、アムロ・レイが父さんにもぶたれたことないのに! とのたまう時の精神状態でキャラ設定をし、脳内思考を上品な日本語でひたすら綴っていく。
他の小説にはないフィジカル描写も魅力的な作品で、とにかく読んでいて身体がしんどくなる、その過酷な環境や景色がずっと気になっていました。
車中から見る、過去のいろんなことを感じさせる景色


こういう景色が続く30秒くらいの乗車時間がありました。
タイムトリップ感がすごくて、群馬は東京からそんなに遠くないのに歴史の中に飛び込んだような車窓でした。
終点の間藤駅(まとう)

終点の間藤駅です。

ここから先はありません。


昔行った場所じゃなくて、つい先日の、2026年の旅です。
コダックのエモく撮れるというレトロカメラを持って旅に出ていました。
線路沿いを歩く

停車時間が20分くらいあったので、少し歩いてみました。

足尾銅山鉱毒事件は子供の頃に社会科の教科書に載っていたので、名前だけ覚えていました。
間藤駅を降りたら、古河鉱業の古い建物が残っていました。




何年前の建物なんだろう。
中国人捕虜・朝鮮人捕虜が働かされていたエリアの地図


こういうのって、現地まで来ないと位置を知るきっかけがないものです。
通洞駅という駅の西側にそのエリアがあり、その駅に足尾歴史館があります。(今回は行きませんでした)
あとでGoogle Mapで調べたら慰霊塔の場所として確認することができました。
* * *
電車の中から数駅続く足尾エリアの長さとスケール感が、そのまま日本の近代化を支えた過酷な労働のスケール感でもある。
昭和までしか生きた経験がないので、ここから明治時代までは脳内で映像化できないのだけど、やっと来れた感がありました。