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(再読)あるヨギの自叙伝 パラマハンサ・ヨガナンダ 著

まるで辞書のように厚いヨガの本を再読しました。

1946年にアメリカで出版され世界的ベストセラーとなった書物です。

 

18年前に一度読んだことがありました。

当時はまだペーパーバック版が出ておらず、高価な本をヨガの先輩が貸してくれました。

ヨガで心がスッキリすることを実感する毎日の中で、内面の変化に興味が向き始めた頃のことです。

特別な本を貸してもらった気がして、いい意味でそれがプレッシャーとなり、読むことができたのでした。

 

昨年(2024年)この本のペーパーバック版を自分用に購入し、3ヶ月かけて一度通して読み、今年あらためてそのときに付箋を貼った箇所を読み直しました。

そうしたら、18年前にはわからなかったことが見えてきました。

わたしも年齢を重ね、別の目線でも読めるようになりました。

 

今回はこの本の存在そのものを読む視点が加わりました。

当時のアメリカ人向けの読み物として大成功した理由が見えてきました。

語りの文章にすると長くなるので、ここからは箇条書き+コメントの形で紹介します。

 

こういう書物が待たれていた時代背景

 

キリストの教えをインストールされた状態でありながら、東洋に対する被害者・加害者として愛国心が揺らぎ苦しむ心。そういう状態にある人に、この本は救いの書に見えたんじゃないでしょうか。

 

 

聖書との紐付け

  • エピソードがキリストの聖書の物語・言葉と細かく紐付けられている(ここが最大の特徴)
  • アメリカや西洋文化、権威への多様な視点(ジーザス・ムーブメントと好相性)
  • 後半で世界初公開のグル・ババジ が、「ババジ ・ヨギ・キリスト」として紹介される
  • 断食や飢えへの言及が多く、それが悲観的でない(斬新に映る)

 

 

権威・経験不信の時代に合うオカルト調

  • 予知夢のエピソードがちょいちょい入っている
  • 引き寄せのようなエピソードがちょいちょい入っている
  • シンクロニシティのエピソードがちょいちょい入っている
  • テレポーテーションのエピソードまである

 

 

虚弱コンプレックスとヨガの希望

  • 病気や虚弱が治る、信じたい気持ちの受け皿になる話がある
  • 心身を強くするクリヤ・ヨガという秘伝がほのめかされる
  • 研鑽して鈍さがなくなればカルマの干渉を受けないと思わせてくれる

 

 

主人公はツッコミどころの多い少年

  • 自我の強いおぼっちゃまがキャラの濃すぎる人物に次々出会っていく
  • もし自分が親ならスパルタなヨットスクールへ入れたくなるような子
  • 子は子なりに、インド式家父長制とうまくいかない家族関係の中で苦しんでいる
  • 前半は「この支配からの 卒業~♪」と歌っているかのようなムード
  • 成功者となってから詰め込み教育への批判をしている

 

のちにペット愛のエピソードが入ったりして、「あいつはやんちゃだったけど、やっぱりピュアで強い光を奥に持ってたんだよね・・・」という、やや金八先生的な世界でもあります。

初回の読書では前半のこの感じを忘れていました。

 

 

承認欲求の塊みたいな少年のサクセス・ストーリー

  • 特別な出会いで運命の大車輪を回した男の子の物語
  • グルに出会うことで通常では得られない悟りの道へ
  • 僧院の長となってから偉人との交流録が充実する
  • そこにリアルな歴史的偉人が混ざる(ガンディー、タゴールなど)

 

少年・青年時代の思いっきり何度も中二病! みたいな感じが、物語をおもしろく読ませてくれます。

 

 

この本のすごいところ

  • 「何を言うかよりも誰が言うか」だということがわかる
  • 「何を聞いたかよりもどんなテンションで聞いたか」だということがわかる
  • その上で「何を聞いたか」が ”大量に” “細かく” 書かれている
  • 注釈にかけた工数が偉業(キリスト教の聖書との細かな紐付けがとにかくすごい)

 

キリスト教の聖書とヨガの紐付けは主人公の師(スリ・ユクテスワ)が先にやっており、思想の伝達という点で構想年月が二代に渡っているとも言える。

そのくらい骨太の大作です。

 

 

師弟モノとして圧倒的におもしろい人間相関関係

  • 人生訓のオンパレード。登場するいろんなジャンルの聖者のキャラが全部濃い
  • 師のスリ・ユクテスワが幸田文のようなバランス感覚
  • スリ・ユクテスワはちゃんと大学を卒業しろという(堅実)
  • スリ・ユクテスワの師であるラリヒ・マハサヤ師は公務員勤務を終えている(堅実)
  • ラリヒ・マハサヤ師はもともと主人公の両親の師

 

師・グルと家族の関係性がユニークです。

気性に不安定さのある少年の内面吐露と、スリ・ユクテスワ師の説法のバランスがいいんですよね・・・。

この師が現実と神秘の世界の調整弁のような役割を果たしています。

神秘と奇跡を欲するモードで読んでいると「ババジ 」の存在とその伝道者の物語に目がいき、両親の物語を忘れてしまう。そのくらい中盤で盛り上がります。

あらためて家族の物語として読むと、親の考えをうまく受け入れられない主人公が、温かくユーモラスな師によって心が解きほぐされ、大学を卒業し、父親に不義理な結果にならない道を行く話です。

 

  *   *   *

 

──やはり箇条書きでも長くなりました。

いまわたしは世界の民間人の感情に出会いやすい時代を生きていて、トランプ2.0時代のアメリカから聞こえてくるキリスト教の保守的価値観への反応を、ニュースから知ることができます。

これまで歴史上の出来事として見ていた反戦運動ジーザス・ムーブメントが身近に感じられる、そんな今の感想です。

 

▼ハードカバー版

 

▼ペーパーバック版(ハードカバーよりは少し軽いですが大きさはあまり変わりません)




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