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子供たちとの対話 考えてごらん J.クリシュナムルティ/藤仲孝司 (翻訳)

若い頃はさっぱり話がわかる気がしなかったクリシュナムルティ

ヨガを始めた頃のわたしはわかりやすくエネルギーに火をつけてくれる言葉を好んでいました。それに対してクリシュナムルティはむしろ水を差す、諦念が行きすぎた厭世的な印象を持っていました。

いろんなことを力で獲得しに行くことを要請される社会と自分を見つめてからでないとハマれない。そんな感じ。

 

 

クリシュナムルティは心底リラックスしているところにしか智慧はないよ、と教えてくれます。無駄な力みへの自覚を重ねることで見える微細なところを、ちょっとシニカルに言語化しています。

子供向けの話し方ですが、「大人になるとこうなります」という言い方をしている部分が何度かあり、こんなことを言ってくれるおじいちゃんには昨今なかなか出会えません。

 

私たちのほとんどは生存できないことを恐れていて、「親の言うとおりにしなければ、この社会に合わせなければ、私はどうなるだろう」と思うのです。私たちは怯えているので、言われたとおりにします。そして、そこには愛がなく、矛盾ばかりがあるのです。そして、この内なる矛盾が、破壊的な野心をもたらす要因のひとつです。

(「野心」より)

この本はインドの学校で子供、若者、親、教師たちと集って話したQA形式の問答なのだそう。

日本の予定調和の教育に慣れていると、こんなこと質問するんだ・・・、という問いもまた新鮮です。質問自体が、とっても正直。

 

 

わたしが唸った簡潔なQAを、特選でひとつ紹介します。

Q:なぜ内気になるのでしょう?

A:無名であるとは、生においてとてつもないことでしょう──有名でも偉大でもなく、あまり学問もなく、ものすごい改革者や革命家でもなく、ただ何者でもなくいるわけです。そして、本当にそのように感じるとき、ふいに大勢の詮索好きな人々に囲まれると、引っ込み思案が生じます。それだけのことなのです。

 

どれが子供からの質問でどれが大人からの質問かなんて関係ない。

なんでそうなるのかを、そのまま実況するように答えています。

「ありのままでいいんだよ」という耳当たりじゃない。「ありのままが怖いんだよね?」と、もう一段階先がある前提で話しています。聴き手を信用してる。

 

 

この本の表紙に、小さな文字でこう書いてありました。

 なぜ君たちはそんなに黙っているの?

 なぜ私と話し合わないの?

 どんなに下手でも、自分の考えと

 感情を表現することは重要ですよ。

 なぜなら、それは “君” にとって

 大きな意味を持つからです。

 

“君” に強調点が打たれています。

 

クリシュナムルティは「その質問は自分自身の中から本当に出てきたものですか?」と子供に問います。社会や親の意見を自分の意見にしないように。

子供を純粋愚かな前提として扱っていないのでした。

 

子供たちとの対話: 考えてごらん (mind books)

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