10代の頃に「いつかこういうことをやるチャンスがあったらやりたい」と漠然と思っていたことを、30年以上過ぎてから思いがけずやりました。
中学生時代に歩いて行ける場所にツタヤのビデオレンタルができ、外国の古いサスペンス映画にハマりかけて挫折したことがありました。ヒッチコック監督の『サイコ』『鳥』を観て、こえええぇぇぇぇー!と見事に縮み上がり、ほんの少しでやめました。
たしか『白い恐怖』も借りた気がするのだけど、意味がわからなかったんじゃないかな・・・。
ウィリアム・ワイラー監督の『コレクター』などは、なんとなくおしゃれな江戸川乱歩みたいだな、と思って観ることができたのだけど、ヒッチコックは怖すぎてまだハマれませんでした。
今回観た『レベッカ』は、少し前に観た映画『ガス燈』の批評を読んでいたときに類似性のある映画としていくつかの記事に登場していて気になって観てみました。
やっとわたしの耐性と経験が追いついた
いやぁ〜、すごかった!!!
とにかく話がおもしろいのです。
特に終盤の40分は、耳に微細な掃除機を差し込んで脳内の粉塵がぜんぶスーッと抜かれたような気持ちよさ!
とんでもない爽快感です。こんな感覚は初めてです。
こりゃあ、中学生ではわからない。中年になってから観てよかった。加齢バンザイ。経験は宝。
わたしはこういう現象を「加徳」と言いたい。
大人の厨二病の活かし方って、こういう映画を楽しめることよね☆
合理的な選択からの破滅の道
中途半端な人間の態度の気持ち悪さって、普段の生活で頻繁にあるものだけど、理由が説明されることなんてまずないし、説明しようがないからこそ、中途半端な態度が取れるというもの。
その背景は、生まれつき性根の悪い人もいれば、いじめられてそうなった人もいれば、合理的な戦略として呼吸をするようにそれを選択し続けてきた人もいる。
いちばん恐ろしいのは、合理的な選択としてのその空気が満たす範囲と時間を広げようとする人。
それは破滅の道でもあって、その恐ろしさがギュッと詰まっていました。
原作が、そもそもすごい。
(あまりに話がおもしろいので原作を読みたくなって書店で見たら、なんと上下巻。映画で観てよかった)
音楽の要約効果の有能さ
この物語は、主人公夫婦の妻のほうに名前がなくて、その人には「伴侶」や「新妻」という役割だけがあります。後妻の名前は一度も出てこないのに、家の名前や屋敷の名前だけがやたら出てきて、前妻の名前もやたら出てくる。
後妻がその屋敷の暇な人の世界に交わった途端に病んでしまう様子は、まるでフランクフルトに連れていかれたハイジのような状態なのだけど、この環境の変化の描き方がまあ見事。
何がいいって、元々の話がそもそもおもしろいのに加えて、音楽がいいんですよね・・・。
音楽が理解を促してくれる。
これはアルプスの少女ハイジのような自然回帰とハッピーエンドのシナリオではなく、大人の物語なんですよと、随時意識の中に刷り込まれるのが音楽の効果。
絶妙に集中力の流れをサポートしてくれます。
ローレンス・オリヴィエってすごいのね
今は原作を読む体力がないのでひとまず映画を二度観たら、夫役のローレンス・オリヴィエの演技がいかに上手かがよくわかりました。
名前の文字列の印象でてっきり新妻役の俳優の名前かと思ってたら違った。外国の人の名前ってこういうことたまにあるよね。
前妻に仕えていたダンヴァース夫人役の女優さんが木暮三千代さんにそっくりなのも気になりました。あの役には、ああいう目や鼻の形がピッタリだわ。
これ日本でリメイクして欲しかったなぁ。
・・・と思ってたら、
ミュージカル見つけちゃった・・・。観たいわこれ。
* * *
『ガス燈』からの流れで観たのだけど、若い健康な女性がグルーミングされていく話のように見えながら、それだけじゃなかった。
静かに描かれる男の友情が、すごく上品でよかった。
男と女の友情が、さらによかった。
ええもん見さしてもらいました。