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幽霊たち ポール・オースター著/柴田元幸(翻訳)

人の言葉にしても文章にしても、被害妄想の書き付けでしかないものを目にしてしまうことって、ある。
知らない人の思い込みによるコメントって、なんであんなに気持ち悪いのだろう。

 

この小説はとても不思議で、部品はそういう気持ち悪いものでできているのに、ぜんぜん嫌な気持ちになりません。
なんの効力かわからない。意味も回収されない。
だけど、つい話に付き合ってしまう。最後まで付き合っても、べつに嫌じゃない。

 

最後まで読んでからもう一度序盤を読み始めたら、絶妙な間隔で静かに光るライトが置かれた夜道を歩いているような感じで、期待させすぎず、とりあえず先に進むように誘導されていて、文章のホスピタリティがすごいことに気づいてしまいます。
探偵小説風の始まりで、ほのめかしが大袈裟じゃなく、かといってさりげなさを装うでもない。

 

 知識は緩慢にしかやって来ない。そしていよいよやって来たときには、しばしば大きな個人的犠牲を伴うのである。

探偵の経験値も人生の経験値も、きっとそう。
こういうちょっとした予告のようなフレーズが、まあどうにも、いちいちおしゃれ。

 


主人公は背景につらい生い立ちがあるようで、たまに漠然とフラッシュバックを起こしています。
それでも都会で仕事をして、なんとか生きている。内心父のように思っていた先輩とは現在では暮らしぶりが対極のようになり、長い手紙を書いてみても、返ってくる返事はまるで裏切られたような気持ちになる呑気なコメントで、自分がからっぽになってしまったような思いを抱いています。

 

 俺は一人ぼっちなんだ、と彼は思う。もう頼れる人間なんか誰もいないんだ。

 

だからといってどこまでも引きこもるでもなく、仕事はする。とことん暗いけど悪魔的ではないし、生きていくって、そうなのよねって感じがする。
シンプルに、寂しいし心細い。

 

この物語に劇的なことが起こらずに済んでいるのは、主人公がとことん暗いことを考えながらも悲観に陶酔しすぎなからで、この絶妙な揺れがクセになります。自然に停滞して自然に浮上して戻ってくる。
おもしろいなぁ。なんでこんないい雰囲気のまま最後まで引っ張れるのだろう。

 

 

 

 

余談:不思議な誤植のような何か

この本は自分の買った本に誤植がある気がして、図書館でも借りて確認しました。

 

図書館で借りた方の本には、わたしの手元にある本で抜け落ちていた箇所が印刷されていました。

 

 

片方は完全に抜け落ちていて、片方はうっすら残っている感じ。
なにこれ。不思議。

 

そのどちらも、ひらがなの「ない」という二文字なんですよね・・・
タイトルが『幽霊たち』という本なので、泡坂妻夫さんのヨギガンジーのような仕掛け小説なのかと思っちゃった。




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