本の話です。
わたしはここ数年であまり目に負担をかけたくないと思うようになり、「良い本を選ぼう」という気持ちが少しずつ強くなっています。
40代50代という年齢は、作家も社会の負担を背負う板挟みの期間であるがゆえに、題材は濃く重く冴えています。
自分もその年代に読むわけだから、あまりどうでもいいものは読みたくない。
今年は年始から「いつか読もう」と思っていた『細雪』に取り掛かり、ほかにも良い本に出会うことができました。
トピックにすると5つありました。
1:細雪 谷崎潤一郎
昨年の12月に兵庫県芦屋の「谷崎潤一郎記念館」へ行ったのをきっかけに、やっと重い腰を上げて『細雪』を読み終えました。
それ以外の谷崎潤一郎作品の有名なものは読んでしまって、最後に長編の大作を残していました。
『細雪』はいろんな角度でファンが多い作品で、そのあとに映画も2つ観て、職場の人や関西出身の友人、追いかけるように同じ小説を読んでくれた友人と話が弾みました。
来年はそれをテーマにしたフラメンコの舞台を観に行く予定です。
ずっと細雪の話ばかりしていたので、「細雪といえばうちこさん! と頭に浮かんでお誘いした」と、友人から声をかけてもらえたのでした。
話の筋やエピソードをわかっている人だと誘いやすいもんね。思い浮かべてもらえてうれしい。名作は人を繋ぎます。
2:映画に関する本と、高峰秀子さんの本
今年は映画に関する本を多く読みました。
黒澤監督の映画のスクリプターだった野上照代さんのエッセイのほか、GWにインドのコルカタへ行く前にサタジット・レイ監督の本を読んだら、レイ監督が日本映画にかなり多く言及していました。めっちゃ観ててびっくり。
秋からは、1950年の映画『細雪』で四女を演じた高峰秀子さんの本も読みました。
高峰さんのエッセイは以前からおもしろいと聞いていたので、いよいよ手を出すタイミングがきました。読んでみたらすごかった!
3:古賀及子さんのエッセイ
今年の発見はなんといっても、古賀及子さんの文章でした。
うまい文章家はこの世にたくさんいるけれど、違う次元。
これを書いている現在は12月に出た最新刊を読んでいます。読みながらすでに二度ほど鼻からコーヒーが出そうになりました。
4:プルタルコスの格言
今年の前半に、他県でヨガ講師をされている2名の方から「プルタルコス読んでます。おもしろいーーー!」と反響がありました。
西洋哲学とヨガの哲学(健康観)の共通点を爆笑しながら読ませてくれるテキストの発見に、魂も腹筋も震えたことでしょう。
ヨガの哲学を学ぶのが苦手な人は、プルタルコスを読めばいい。そう断言できる本を見つけたのが今年の大収穫でした。
5:英ガーディアン紙が選ぶ「死ぬまでに読むべき」必読小説1000冊
このリストに注目したのは、サタジット・レイ監督の映画『家と世界』の原作小説が入っているのを知ったのがきっかけ。
日本人作家では遠藤周作『沈黙』、村上春樹『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』のように直球で有名なものが選ばれていて、当然谷崎潤一郎作品もありました。
あったのですが・・・
選ばれた作品はマキオカ・シスターズ(『細雪』はこの名前で有名)ではなく、よりによって、どういうわけか『瘋癲老人日記』。
そんなことってあるかよ!!!
と、このリストに猛烈に興味が湧きました。
なぜ、どうして足フェチ変態オジイチャンの話を選ぶのか。そこへ行く前に春琴とか卍とか、まだいくらでもあっただろうに。なぜそこへいきなり行った。いきなりたどり着けてしまうのだガーディアン。
その選球眼と頭がおかしすぎて、信用したくなりました。
あとで理由を探ったらオランダで映画化された作品があり、その影響かもしれません。中国の小説の中から『西遊記』が選ばれているのは、BBCで人気の夏目雅子&マチャアキ版『Monkey』の影響じゃないか。三国志も魯迅も入ってないなんて意外すぎる。
そんなこんなで、今年から上記のリストを参考に海外小説を読むようになりました。
こういう偏愛をしれっと含むものって、おもしろいんですよね。
▼今年はガーディアンのリストの中から以下を読みました
特に冬は乾燥で目はショボショボするのだけど(切実 w)、来年もよい本を読んでいきたいと思っています。
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今週のお題「読んでよかった・書いてよかった2024」
