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永い言い訳 西川美和 著


脳内問答の語調がまるで自分の頭の中のようで、どきどきした。
おもしろい会話が、いっぱいあったな。「じゃ、キスだけしましょう」「いたしません」のくだりなどは、太宰治の「人間失格」のよう。
わたしは男性が女性を脅威と感じるときの気持ちがわからないけれど、この人はそれを書けるのだからすごい。性別も時代も超える想像力みたいなものがはたらいている。

女たちのこの態度をぼくは知っている。どうせ役立たずだと思ってるんだろ。あなたが余計な提案さえしなければ、物事はもっとシンプルで、まともだったのよ。何もかも、ややこしくするのはいつもあなたで、割りを食うのはいつもあたし。口に出さないだけ優しいと思ってよ、と言いたいんだろ。

って、4歳の女の子の態度を見て中年男が思ってる(笑)。


わたしは先に映画を見てからこの小説を読んだのだけど、少年の心の描写に何度も涙が出てしまいました。行動と感情をまっすぐにつなぐことのできないことを遺伝のように語るのは、それは呪いだ。がんばれ!負けるな! そんな思いが浮かんで、完全にもっていかれてるわたし。



そもそも最初から、両足首をつかまれたくらい、もっていかれていた。
鉄人・衣笠を形容するこの表現によって。


 コクのある野生味


子どもの頃プロ野球チップスを買うと、いつも衣笠選手が出てくるような気がしていたことがあった。どれだけ人気なのだ。どれだけの比率で入っているのだと思っていた。たまにほかの選手が出てくると、ポテトチップスの味まで薄く感じるくらい、コクがあった。あったあった!
小説の内容は、こわい。ものすごくエグい部分をどんどん詳らかにしていくから、どきどきする。なのに、この「コク」という表現ひとつをきっかけに、ほかの描写も見てみたくなる。魔女がこしらえたスープをひと口飲まされたような気分で、コクに完全にやられている。化学調味料のような中毒性がある。
── ん? それは、わたしの心がよごれているから? わたしの心の味覚がやられているから?
心がピュアでオーガニックな妻は、夫に「こうしたい」という希望を伝えなくても、仲良くできたり天使のような子を持てたりするのだろうか。そんな思いがよぎって、ついでのように自分を責める。そしてすぐに「そういうことじゃあ、なかったでしょうよ」と我に返る。
大きな月がどこまでも追いかけてくるみたいな小説だった。


Kindle

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文藝春秋 (2016-09-16)


▼紙の本

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西川 美和
文藝春秋 (2016-08-04)




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