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人間には12の感覚がある 動物たちに学ぶセンス・オブ・ワンダー ジャッキー・ヒギンズ著/夏目大 (翻訳)

ちょっと読みにくい。でも、おもしろい! なんとか最後まで読めました。

途中から少し退屈な紅白歌合戦を見ているような気持ちになっていたのですが、大トリがなんとも身近な、スーパーの鮮魚コーナーでも目にするマダコなんですよね・・・。

ずっと名前を聞いたことがない韓国グループが続いた後に聖子ちゃん出てきた! くらいの勢いで盛り上がり、感動してしまうオチでした。

 

この本は冒頭から「白って200色あんねん」と同じノリで「感覚って33種類あんねん」で始まります。そこから12種類の生き物の持っている身体機能を掘り下げ、同時に「感覚とは。意識とは」という哲学的な問いにつながる研究エピソードが続きます。

 

わたしは安住さんのラジオ「日曜天国」に登場するいろんな生物研究者さんのお話が大好きなのですが、クモや鳥についてはこれは聞いたことあるぞ……と思うお話もありました。

 

ヨガやバランス系の運動をする人には、チーターの平衡感覚、子供の頃ヘレン・ケラーの物語に感動した人にはモグラの触覚と犬の嗅覚の話がおもしろいんじゃないかな。

各章が「生物&感覚」という構成になっていたので、各章ごとの感想を書きます。

(分厚い本なので、感想も長いです)

 

 

1章:モンハナシャコと色覚

カラフルな甲殻類のモハンナシャコに超速視覚(すごく早いパンチを繰り出す)が紹介されていました。

人間はモハンナシャコの4分の1の光受容体しか持たないのですが、脳がそれを補うことでモハンナシャコよりもはるかに豊かな色世界を体験しているのだそう。

この先の4章で「私たちは脳でものを見ているのであって目で見ているのではない」というポール・バリキタ氏(生物工学者)の有名な言葉が引用されているのですが、第1章の時点でワクワクしました。

 

 

2章:ヒナデメニギス(魚)と暗所での視覚

光の届かない深海の世界の話でした。

長い時間暗い部屋で研究をしていた解剖学教授のハンス=ヨヒアム・ワーグナーという方の「光を扱いたいと思うのなら、光を思い通りに操りたいと思うなら、暗い場所にいる必要があります」という言葉が印象に残りました。

 

 

3章:カラフトフクロウと聴覚

聴覚は他の感覚に対して脆弱で、加齢とともに老人性難聴がどれだけ増えるかという話に身が縮まりました。

 

 

4章:ホシバナモグラと触覚

鼻先に花の形をした鼻がついたモグラが存在していることにまず驚きました。

人間の指先くらいしかないその小さな鼻に、人間の手のひら以上の神経線維が存在しているのだそう。

 

この章で刺青研究者の福士政一さんを知り、それまで海外の最新情報を読んでいる気分だったのに、急に谷崎潤一郎の世界に連れて行かれるギャップが不気味(笑)。

人間の皮膚の重さは、全体重の約16%とのこと。昔太っていて今痩せているという人はどのくらいになるのだろう? と気になりました。

人間の手の触覚の感覚受容器の数は大きい手でも小さい手でも同じなので、小さい手の人の方が感覚の密度が高くなるのも興味深い話でした。

 

この章では目隠しをして視力のない状態で過ごした人が二日目には幻覚を見るようになった実験も紹介されており、研究者のこのコメントがまるでヨガの教えのようでした。

「脳は物語を作ります。画像も作り出すことができるんです。脳は絶えず私たちをもてあそんでいると言ってもいいでしょう」

 

 

5章:ナミチスイコウモリと快感・痛み・慈悲の感覚

吸血コウモリが実はめちゃくちゃ利他的な行動をすることが紹介されていました。

この章では大真面目にパキスタンの都市伝説のようなもの(無痛感覚の人)が紹介されていて、大丈夫かいな・・・と思っていたら、巻末の註釈で「やっぱり怪しい話だ」という趣旨の補記がありました。

 

 

6章:ピライーバ(ナマズ)と味覚

味覚は過大評価されている(ほとんどは嗅覚)という話のところで、子供の頃にバニラエッセンスを舐めたら苦くて驚いた時のことを思い出しました。

「幻味」の話は日本人の場合は「うめぼし」というマントラひとつで幻味を作れる人が多いので、わざわざ大発見のように書くことでもないな、と思いながら読みました。

ロブスターは脚に味覚があり、ナマズは全身に味覚があるんですって。

 

 

7章:ブラッドハウンド(犬)と嗅覚

かつて人間の嗅覚を貧弱だと決めつけたのがフロイトだというのが本文では実名なしで回りくどく書かれており、フロイトは嗅覚減退症だったのではないかという話が註釈に書かれていました。(なんで本文にそう書かないのでしょう。信者が多いから?)

 

 

8章:オオクジャクヤママユ(蛾)とフェロモン

フェロモンという言葉の語源が「興奮を運ぶ」という意味で、「興奮させる」の方はホルモン(hormon)と同じ語源であることを知りました。

オオクジャクヤママユが翻弄される異性からのホルモンの力は凄まじく、カルト宗教以上の恐怖です。

 

養蜂家のための手引書には、“傷ついたミツバチが発する、いわゆる「ランケ臭」が、他の怒れるハチたちを引きつけ、刺す行為へと駆り立てる” という記述があるそうで、警戒や恐怖を知らせるフェロモンは動物界ではかなり以前から観察されているそうです。

 

 

9章:チーターと平衡感覚

バランスへの対応は内耳(ハードウェア)よりも、脳(ソフトウェア)が重要だという視点で語られる以下の要素は、ヨガをしていると身体的に納得することばかりでした。

 

  • 脳は他の感覚情報も組み合わせることで空間内での身体の位置を把握する
  • 上記で重要な役割を果たすのは「目」
  • 頭が動く時に眼窩の筋肉の動きを調整して眼球を安定させる反射がある(前庭動眼反射)
  • 身体の動きに合わせて自動的に首の位置を調整する「前庭頸反射」もある
  • めまいを引き起こすのは結局のところ耳ではなく、脳・脳は左右両側の三つの半規管、二つの耳石器の活性化パターンを総合して、起こっている動きと空間内での身体の位置・存在を知る
  • うなずくと内耳の前半器官が活性化し、後半器官が沈黙する
  • 首をかしげる(左右)のことでも同様のことが起こる

 

10章:ゴミグモと時間感覚

蜘蛛が毎晩ゼロから巣を作り直している話があり、日曜天国で聞いていた通りでした。

 

 

11章:オオソリハシシギ(渡り鳥)と方向感覚

子供の頃から不思議に思っていた、渡り鳥の方向感覚の話です。

太陽や星に頼らずに移動できる感覚(まるで体内にコンパス)は磁覚といって、地球の磁場の5万分の1の強さの磁場にも反応するレベルなのだそう。

 

 

12章:真蛸の身体感覚

飼育係が見ていない時にこっそり逃げ出すタコの話から始まり、つかみが面白すぎです。

そして、なんとタコの腕は(脚は?)自己受容感覚と脳の接続に関与せずに仕事ができる。頭部があろうがなかろうが、腕は同じように動くことがわかっているそうです。

安室ちゃんがいなくてもグループでヒットを飛ばせたMAXと言ったらわかるでしょうか。

タコは運動制御の負荷を脳から切り離す独自の進化をした生き物で、視覚を利用することで腕に一貫性のある動きをさせることもできるそうです。

そしてここから、こんな結論に至っています。

 

 タコが教えてくれるのは、私たち人間は脳と身体を切り離すことができない。

 

なんと哲学的なまとめでしょう!

このほか、人間には筋紡錘(マッスル・スピンドル)だけでなく靭帯や腱にも自己受容感覚があるという話もこの章で語られていました。

 

 

原注のページで知ったヘレン・ケラーの動画

格別に触覚が鋭い人だったそうです。

 

   *   *   *

 

この本全体を通して気になったのは、何度も登場する「自己受容体」という言葉の存在でした。

心理学用語なのか、近頃「自己受容」という言葉を耳にするのですが、生物について語る場面で用いられる「自己受容体」という言葉のほうが、実生活の上で理解しやすいです。

身体の位置や運動感覚を感知する筋紡錘や腱の受容体は、「自分は今日はこの辺で体位をキープするのが限界を超えない最適な地点」という算出情報をくれます。

これが、ありのままの今日の調子や加齢、体重の受容につながる。

 

この本は感覚についての知識と合わせて、「受容体があるかないか」という自己の捉え方も教えてくれました。

 




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