生の意味 加藤三郎
蛍光灯と
白い壁のかがやきに
酔いどれたように
眠っている
おまえの静かな寝顔を
おれは見ている
忘れよう 忘れようとして
郷里に残して来た
妻や子のこと
音信不通になっているものの安否
何度もおまえはくり返し
語った
ほほこけた口びるを動かして
先生さまや
看護婦さまたちに
ようしてもらって
ありがたい
もったいないほど ありがたい
なみだでるほど ありがたい
いいどごろで おれも
生き過ぎでしまった と
おまえは
四十年も背負い続けてきた
その重みにいま
別れを告げようとしている。