社説/高市政権の財政健全化 「経済成長」依存に期待と危うさ
2026/2/19 日刊工業新聞
第2次高市早苗内閣が18日発足した。成長重視の経済政策を大胆に進めて「強い経済」を実現し、経済成長に伴う税収増で財政の持続可能性につなげるシナリオを描く。官民が国内投資を加速し、成長型経済への移行が後押しされると期待したい。ただ成長に過度に依存した財政健全化には危うさが残る。「高市1強」で野党にブレーキ役が存在しない中、金融市場が監視役となって積極財政に警鐘を鳴らすのか、行方を注視したい。
高市首相は、成長投資や危機管理投資などの「国内投資」を大胆に推進し、国内の供給力強化と経済成長の実現を目指すという。国内投資を促す施策は多年度・別枠で予算措置する仕組みを新たに導入し、民間企業が投資計画を立てやすいよう予見可能にする方針だ。AI(人工知能)・半導体など戦略17分野への投資が促され、産業界の国際競争力が高まれば、過度な円安の是正効果も期待できよう。
一方、政府の財政健全化目標が後退する懸念を拭えない。高市首相は国・地方の基礎的財政収支の黒字化を単年度でなく複数年度で達成を目指す方針で、債務残高の対国内総生産(GDP)比率の安定的な引き下げを重視する。成長すれば債務比率が下がることを理由に、歳出の自由度を高めたい思惑が覗く。
ただ期待通りの税収を確保できるかは不透明で、歳出圧力ばかりが強まれば円安・債券安を促しかねない。高市政権には市場に評価される確かな財政健全化目標を掲げてもらいたい。
高市政権が検討する食料品の消費減税や、安全保障政策の抜本強化に伴う防衛費増額も財源確保は容易ではない。消費税は貴重な社会保障財源で5兆円規模の代替財源が欠かせない。トランプ米政権は国家防衛戦略で同盟国にGDP比5%に防衛費を増額するよう求める。2025年末に廃止したガソリン税旧暫定税率も財源に課題を残す。
中でも物価高対策の消費減税は、消費喚起によりむしろ物価を押し上げるとの指摘もある。政権は財政健全化と同時に、政策が矛盾する可能性についても慎重な議論を重ねてほしい。
