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今に生きる斎藤隆夫の軍需産業批判演説 ―不都合な歴史事実は高市政権では隠蔽される?

今に生きる斎藤隆夫軍需産業批判演説 ―不都合な歴史事実は高市政権では隠蔽される?

 

宮田律 2025/12/29

 

 

 衆議院議員斎藤隆夫(さいとう・たかお:1870~1949年)は、1940年2月、帝国議会でいわゆる「反軍演説」を行い、議会から追放された。その演説の議事録の3分の2は当時の衆議院議長の判断で削除された。石破茂前首相は、「戦後80年所感」で斎藤演説に触れ、その議事録の復活を指示したが、高市政権では削除されたままになっていると東京新聞が12月28日付で報じた。
 11月7日の衆院予算委で、立憲民主党長妻昭厚生労働相高市首相に全文復活させるつもりがあるかと質問したが、首相は「立法府における議事録の扱いは、首相としてコメントすることは差し控える」と語った。この政権では不都合なことは「差し控える」「思うことはない」などの表現で逃げる傾向にある。


 10月10日に発表された石破前首相の「戦後80年所感」は、日本がなぜあの戦争を避けられなかったのかという問題意識で語られている。その議会の問題として石破氏は斎藤演説に触れながら下のように述べた。
〔議会の問題〕
「本来は軍に対する統制を果たすべき議会も、その機能を失っていきます。
その最たる例が、斎藤隆夫衆議院議員の除名問題でした。斎藤議員は1940年2月2日の衆議院本会議において、戦争の泥沼化を批判し、戦争の目的について政府を厳しく追及しました。いわゆる反軍演説です。陸軍は、演説は陸軍を侮辱するものだとこれに激しく反発し、斎藤議員の辞職を要求、これに多くの議員は同調し、賛成296票、反対7票の圧倒的多数で斎藤議員は除名されました。これは議会の中で議員としての役割を果たそうとした稀有(けう)な例でしたが、当時の議事録は今もその3分の2が削除されたままとなっています。」


 この問題を現在に当てはめるならば、自衛隊を米国の戦争に参加させるようにしたのは、「自民党、与党の問題」になるだろうか。2015年に成立した平和安保法制は戦前の議会のように、議員たち(特に与党)に反対する勇気がなかったから成立したと思う。私が知る限りでは平和安保法制に堂々と反対の声を上げた与党議員は村上誠一郎氏ぐらいだった。村上議員は「安倍政権の閣僚は簡単にリスクという言葉を使うが、いいかげんな法律で派遣されるかもしれない自衛官の身を考えているのか。自衛官が集まらなくなったら、徴兵制につながる恐れだってある。憲法にどう向き合うのか。国民が自分のこととしてよく考え、判断しなければならない問題だ。正論を訴え、国民に分かってもらうのが私の使命だ。」と語っていたが、まさに説得力のある、正しいことを明瞭に訴える発言だった。
 安倍元首相が内閣法制局長官に据えた横畠裕介氏は、「昔、青いバラはなかったが、その後開発された。バラがきれいだと思っていた人なら、青いバラもきれいだと思うことがある」などと述べ、2000年代の小泉政権まで集団的自衛権憲法違反だとしてきた政府の解釈を変え、集団的自衛権を「合憲」としてしまった。横畠氏はその後2020年に、論功行賞のように国家公安委員会委員に就任したが、節を曲げても権力者に従う横畠氏の姿は実に卑しく、醜く見えた。


 現在の高市政権でも同様なことが起こっている。防衛費倍増に批判の声を上げる与党議員の声は聞こえてこない。防衛費の大幅増額は、国債発行や増税の可能性、歳出改革の必要性から、将来世代への負担増(ツケ)として懸念されるのは当然だ。
斎藤隆夫の演説は「反軍」とされるが、下のように、当時、軍部主導の「支那事変」がダラダラと進行する中で、徴兵に駆り出される上に軍事費の増額で苦しむ国民への同情と、他方で莫大な利益を上げる軍需産業への批判をにじませていた。今の日本政治にも言い得る内容だ。
「例えば戦争に対する所の国民の犠牲であります。いずれの時にあたりましても戦時に当たって国民の犠牲は、決して公平なるものではないのであります。即ち一方においては戦場において生命を犠牲に供する、或いは戦傷を負う、しからざるまでも悪戦苦闘してあらゆる苦艱に耐える百万、二百万の軍隊がある。またたとえ戦場の外におりましても、戦時経済の打撃を受けて、これまでの職業を失って社会の裏面に蹴落とされる者もどれだけあるか分からない。しかるに一方を見まするというと、この戦時経済の波に乗って所謂殷賑(いんしん)産業なるものが勃興する。或いは「インフレーション」の影響を受けて一攫千金はおろか、実に莫大なる暴利を獲得して、目に余る所の生活状態を曝け出す者もどれだけあるか分からない。(拍手)戦時に当たってはやむを得ないことではありますけれども、政府の局にある者は出来得る限りこの不公平を調節せねばならぬのであります」


 防衛費が膨らみ、国民の負担が増す中で三菱重工三菱電機川崎重工業、NEC、IHI、富士通などの防衛産業は著しい好況を迎えている。ちなみに三菱重工業の2024年3月期の「防衛・宇宙事業」の受注高は1兆8、781億円(前期比3.4倍)と過去最高になった。防衛費に関する決定など国会で十分な議論が尽くされないまま決められ、斎藤隆夫が言うように、防衛産業が「暴利」を獲得する一方で、日本の経済格差は、非正規雇用の拡大、高齢化、賃金停滞などを背景に深刻化し、相対的貧困率G7の中では最悪の水準となっている。現在は、斎藤隆夫演説の1940年にタイムスリップしたような状態だ。

 




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