安倍元首相銃撃事件 第14回公判
2025/12/4 NHK
被告が遺族に初めて謝罪
奈良市で安倍元総理大臣を銃撃したとして殺人などの罪に問われている山上徹也被告は、4日に開かれた14回目の裁判で、「安倍元総理のご家族には何の恨みもありませんし、殺害したことで3年半、つらい思いをしたのは間違いない。自分に弁解の余地はない。非常に申し訳ないと思っています」と述べ、遺族に初めて謝罪しました。
3年前、奈良市で参議院選挙の応援演説中だった安倍元総理大臣を手製の銃で銃撃して殺害した罪に問われている山上徹也被告(45)は、ことし10月の初公判で事実関係について認め、刑の重さが主な争点となっています。
4日、奈良地方裁判所で14回目の裁判が開かれ、予定されている最後の被告人質問が行われました。
3日に初めて裁判に出席した安倍元総理大臣の妻、安倍昭恵さんは4日は出席しませんでした。
山上被告は弁護士からの質問で、「安倍昭恵さんをはじめとして、安倍元総理のご家族には何の恨みもありませんし、殺害したことで3年半、つらい思いをしたのは間違いないと思うし、肉親が亡くなるのは、私も経験している。自分に弁解の余地はない。非常に申し訳ないと思っています」と述べ、遺族に初めて謝罪しました。
事件の目的を改めて聞かれると、「兄を代表とする自分の家族やほかの被害者の報復、そういったものだ。兄が亡くならなければ起こらなかったと思う」と話しました。
裁判官からの質問に対し、「安倍元総理は影響力がある方だ。選挙中のほかの襲撃事件など、模倣犯を生んだことや、陰謀論も、自分の行ったことに原因がある。その点を含め、責任は重いと思う」と述べました。
また、「安倍元総理が殺害されなければならなかったのは、間違いだったと思う」と述べました。
宗教2世の問題に注目が集まったことや旧統一教会への解散命令など、事件後の社会の動きを予測していたかという弁護士の質問に対しては、「予測できないが、そうなったのは私としてはありがたい」と述べ、旧統一教会への影響については、「世の中にとってもあるべき姿ではないか」と話しました。
検察官から「事件を起こしてよかったと思っているのか」と聞かれると、「少なくとも私や教会の被害者にとって、そういう面もあったと思うが、全体的にはいろいろなことが関わっていると思うので、一概には言えない」と答えました。裁判は、今月18日に検察の求刑や弁護側の最終弁論などが行われ審理を終える予定です。
==裁判 詳報==
《被告人質問》遺族に初めて謝罪「非常に申し訳ない」
山上被告は裁判で「安倍昭恵さんをはじめとして、安倍元総理のご家族には何の恨みもありませんし、殺害したことで3年半、つらい思いをしたのは間違いないと思うし、肉親が亡くなるのは、私も経験している。非常に申し訳ないと思っています」と述べ、遺族に初めて謝罪しました。
“安倍元首相の政治信条 支持していた”
安倍元総理大臣の政治信条などを支持していたのかと聞かれ、山上被告は「はい」と答えました。その後、2021年ごろに安倍元総理大臣が旧統一教会の関連団体に寄せたビデオメッセージを見た時について、「支持していた政治家に裏切られた気持ちはあったか」と聞かれると、「裏切られたというよりは、諦めに近い」と話しました。
「蓄積したものが すべてこの時に爆発した」
山上被告は、旧統一教会への襲撃をいつ決断したのか聞かれ、兄が自殺してしばらくしてからだったと述べました。弁護士が「当時、母親が電話で『兄が亡くなって、献金したおかげで天国に行けた』と話したが、そのことに強い怒りを感じたか」と質問すると、被告は「はい」と答えました。
人生で最大の怒りか聞かれると、「蓄積したものが、すべてこの時に爆発した」と述べました。
“事件を起こしてよかったか一概には言えない”
検察官から「事件を起こしてよかったと思うか」と聞かれると、山上被告は「少なくとも私や教会の被害者にとって、そういう面もあったと思うが、全体的にはいろいろなことが関わっていると思うので、一概には言えない」と答えました。“事件後の社会の動き 私としてはありがたい”
山上被告は裁判で、宗教2世の問題に注目が集まったことや旧統一教会への解散命令など、事件後の社会の動きを予測していたか弁護士から聞かれると、「予測できないが、そうなったのは私としてはありがたい」と述べました。旧統一教会への影響については、「世の中にとってもあるべき姿ではないか」と話しました。
事件の目的は「自分の家族やほかの被害者の報復」
弁護士から事件の目的を改めて聞かれると、山上被告は「兄を代表とする自分の家族やほかの被害者の報復、そういったものだ。兄が亡くならなければ起こらなかったと思う」と話しました。母親への現在の気持ち「静かに どこかで過ごしてもらえれば」
裁判官から母親に対する現在の気持ちについて聞かれると、山上被告は「母個人に対しては、私としては静かに、どこかで過ごしてもらえれば、それがいいのではないかと思う」と述べました。その後、裁判長から「あなたは関わらないということか」と聞かれると、「現時点ではなんともわかりません」と答えました。
「安倍元首相 殺害されなければならなかったのは 間違いだった」
山上被告は裁判官からの質問に対し、「安倍元総理は影響力がある方だ。選挙中のほかの襲撃事件など、模倣犯を生んだことや、陰謀論も、自分の行ったことに原因がある。その点を含め、責任は重いと思う」と述べました。また、「安倍元総理が殺害されなければならなかったのは、間違いだったと思う」と述べました。
山上被告 精神鑑定をした医師に「結果は神のみぞ知る」
4日は、山上被告の精神鑑定をした医師への証人尋問が行われました。医師は被告に「精神障害は認められない」としたうえで、被告と当時交わしたやりとりについて説明しました。
このうち、安倍元総理大臣を銃撃の対象にした理由について、被告は「教会関係者に銃を乱射すると、僕が悪いことになる。だから安倍さんにした」と話したということです。
思いとどまらなかったのかという質問には「迷ったが、何もせずに帰るとみじめなものになる」と話し、事件によってどういうことが起こると思っていたか聞かれると「結果は神のみぞ知る。なにも予測が立たない」と答えたということです。
被害者がどうなると思っていたかについては、「被害者がどうなるかはわからない。ただ、教会がしてきたことが明るみに出ると思った。ここまで事が大きくなるかはわからなかった」と話したということです。
医師は、被告について偶然に意味を見いだす傾向があるとして、「こうした傾向については、教会と無関係とは言えない」と述べました。
また、被告が当時、「教会のせいで不本意な人生だった。滅ぼすための人生であれば無意味ではなかった」とか、「誇りを持てる仕事をしていなかった。不自由がなかったら、実行しなかったかもしれない」などと話していたと説明し、動機への考察として「プライドの高さ、人生への不全感があった」と述べました。
