国連安保理、イスラエル擁護の米国が孤立 各国はガザ制圧計画「正当化できない」と非難
2025/8/11 産経新聞
【ニューヨーク=本間英士】パレスチナ自治区ガザ情勢を巡る国連安全保障理事会の議論で、イスラエルを支持する米国の孤立が顕著になっている。安保理は10日、ガザ北部ガザ市の制圧計画を決めたイスラエルへの対応を協議する緊急会合を開催し、英仏中露を含めたほぼ全ての参加国がイスラエルの決定を批判。一方、米国は「(イスラム原理主義組織ハマスから)自国を守る権利を支持する」として、イスラエル擁護の姿勢を改めて鮮明にした。
安保理では拒否権を持つ常任理事国の米国がイスラエル擁護を続けており、ガザ情勢で一致した対応を取れていない。今回の緊急会合はパレスチナが要請し、15カ国のうち米国以外の全理事国の支持で開催した。
パレスチナのマンスール国連大使は、イスラエルが「国連憲章も国際法も安保理決議も気にしていない」とした上で、同国のガザ市制圧計画が「さらなる破壊と苦しみをもたらし、われわれを地上から抹消しようとしている」と主張。私たちはそれを許さないし、あなたたちも許すべきではない」と訴えた。
参加各国もパレスチナを支持し、英国のカリウキ国連次席大使はイスラエルの決定を「誤りであり、直ちに再考するよう求める」と主張。食料を得ようとした多くの民間人が命を落とし、乳幼児が飢餓に苦しんでいるとして、「非人道的行為は正当化できない」と述べた。フランスのダルマディカリ国連次席大使もイスラエルに対し「最も強い言葉で非難する」とした。
ロシアのポリャンスキー国連次席大使は「かつてホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)を経験した人々が今はパレスチナ人をゲットー(隔離居住区)に閉じ込めている。歴史の教訓がいかに早く忘れられるかを示している」と非難。「イスラエルに対してガザでの完全な行動の自由を与えている」として、米国への批判も展開した。
一方、イスラエル支持を貫いてきた米国は今回も擁護の姿勢を崩していない。米国のシェイ国連臨時代理大使は、今回の緊急会合を「非生産的」だと評した上で、「ハマスが人質とガザ全域を解放すれば紛争は今日にでも終わる」と主張。「驚くべきことに安保理のメンバーはハマスに圧力をかけるどころか、イスラエルや米国に関する噓を広めて戦争を長引かせている」として、イスラエルを非難する理事国を批判した。
イスラエルのミラー国連次席大使はガザ市の制圧計画について「(ハマスの)恐怖支配からの解放だ」と強調し、「これは征服ではない。ガザを恒久的に占領する計画も意図もない」と反論。「(国際社会が)圧力をかけるべき相手はイスラエルではなくハマスだ」と呼びかけた。