「コスプレおばさん」発言、“気分が悪くなる”と…。
「私は差別をしていない」正当化する杉田水脈(57)は、なぜ自民党で「重宝」されるのか
《参院選立候補》自民党 杉田水脈
文春オンライン 2025/03/19
https://bunshun.jp/articles/-/77657?page=1
石破首相の商品券問題が紛糾しているが、杉田水脈氏についておさらいしておきたい。とても大事なことだからだ。
杉田水脈氏の問題の言動。
自民党は夏の参院選の公認候補として杉田前衆院議員を発表した。
特筆しておきたいのは杉田氏擁立をスクープしたのは北海道新聞だったことだ。
アイヌ差別をしてきた人物を問い続ける地元紙の問題意識と憤りをひしひしと感じた。
杉田氏はXで「私は今回の選挙戦を『マスコミ報道との戦い』と位置付けています」とポストしたが、報道側は選挙に出る人物の資質についてひるむことなく提供し続けられるのか注目だ。
杉田氏は2016年、国連の会議に参加した際、「チマ・チョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場」「同じ空気を吸っているだけでも気分が悪くなる」などとブログに投稿。
23年に札幌法務局と法務省が人権侵犯と認定した。
他にも同性カップルを念頭に「『生産性』がない」と新潮45に寄稿するなど問題の言動は数多くある(新潮45はそのあと廃刊となった)。
人権侵犯について杉田氏は「私は執行を猶予すると書かれた文章をいただいており、報道各社の方々が人権侵犯認定を受けたとおっしゃるのはちょっと誤りである」と9日に記者団に語った。
しかし東京新聞が法務省に確認したところ、担当者は「あくまで一般論」とした上で、「告発などの措置が猶予されているだけで人権侵犯の認定自体は消えておらず、事実としてある」。
これがすべてなのである。
TBSラジオも同様の取材、確認をしている。
そもそも人権侵犯の認定をされるような人物が国会議員であったことが衝撃なのだ。
だが自民党はこの夏も公認候補として担ぐ。
これが現在進行中の衝撃だ。
杉田氏はどうして自民党で「重宝」されるようになったのか?
『宗教右派とフェミニズム』(ポリタスTV編、山口智美/斉藤正美、青弓社)に経緯が詳しいので要約して抜粋する。
・杉田氏は複数政党を渡り歩きながら右派に支持される政治活動をおこなってきた。
ポイントは「慰安婦」問題の否定だった。
・2012年12月に杉田氏は衆議院選で日本維新の会から初当選すると、翌年に維新の議員とともにアメリカのグレンデール市を訪問し、「平和の少女像」の撤去を要求。
国会でも少女像について質問し、右派のあいだで注目を浴びた。
・2014年に次世代の党から出馬すると落選。
浪人中は「慰安婦」問題をめぐる右派の「歴史戦」活動に積極的に関わった。
※「歴史戦」とは産経新聞が2014年に始めた連載企画のタイトルがもと。中国や韓国、及び「朝日新聞」をはじめとする日本の左派が日本を貶めるために、「慰安婦」問題や徴用工問題、南京事件など歴史認識問題に関して不当に攻撃を仕掛けていて、それに対抗するために戦わなければならないとする。
それを「歴史戦」と称した。
・杉田氏は精力的に「歴史戦」活動を行い、2017年10月に自民党の公認候補として衆院選比例ブロックに出馬し、当選。
いかがだろうか。
注目すべきは2017年に自民党の目に留まり、比例中国ブロックの単独1位で立候補という厚遇を手に入れたことだ。
人権侵犯と認定されたあとに正当化する動画をSNSに投稿。
この時に何があったのか?
翌年に毎日新聞が書いている(2018年8月2日)。
《ジャーナリストの桜井よしこ氏が昨年9月、ネット上の番組の対談で「安倍さんが『杉田さんはすばらしい』と言うので萩生田さん(光一党幹事長代行)が一生懸命にお誘いした」と語った。》
かくして自民党議員となった杉田氏。
2022年の安倍氏銃撃事件をきっかけに旧統一教会問題がクローズアップされたが『宗教右派とフェミニズム』は次の視点を振り返る。
《統一教会が2000年代はじめに特に盛んになった、フェミニズムや男女共同参画への反動(バックラッシュ)の動きの中の中心的な団体だったことに触れるメディアはほぼ皆無だった。》
ここで「バックラッシュ」という言葉が出てきた。
杉田氏は人権侵犯と認定されたあとに言動を正当化する動画をSNSに投稿した。
曰く「逆差別、エセ、それに伴う利権、差別を利用して日本をおとしめる人たちがいる。差別がなくなっては困る人たちと戦ってきた。私は差別をしていない」。
これに対してヘイトスピーチやレイシズム(人種差別)の問題に詳しい社会学者の明戸隆浩・大阪公立大准教授は、「逆差別」「利権」といった言葉は、差別を是正する政策が進んだ後、バックラッシュとしてよくみられると述べている。
日本でも「在日特権」「同和利権」などという言い方で、差別に使われてきた歴史があると(朝日新聞2023年11月1日)。
そのうえでこう述べる。
《利権や特権など存在しない。にもかかわらず、「マイノリティーが差別を主張することで不当な利益を得ている」と訴え、マジョリティーの不満をあおる。現代における差別扇動の典型的な表現だ》
“差別を取り戻す“のが自民党なのか。
さて、今回どうなんだ?
と感じるのは石破首相だ。
杉田氏の差別発言について石破氏は過去にどう言っていたか。以下だ。
「全く正しいことだとは思わないし、多様な意見があるのだからいいんだという自由民主党であっていいと私は思わないですね。これでどれほど傷ついた人がいるだろうか」(2018年、安倍氏と総裁選を戦った際に)
12日の日刊スポーツコラム「政界地獄耳」が掘り起こしていた。
石破氏は杉田氏を重用する安倍氏を批判していた。
今回自民党が杉田氏を擁立した背景には安倍派元幹部らの要請があったという。
首相は消極的だったが最終的には押し切られたと。
そんな石破氏に「政界地獄耳」は呆れていた。
《「総裁だからといってなんでも思い通りにならない」と言うが、このくらい思い通りにするべきだった。》
たしかに石破氏は何のために総理総裁になったのか。
“差別を取り戻す“のが自民党なのか。
杉田氏の擁立を決めた背景には一部保守層が支持しているからというが「一部ではない保守層」は声を上げるべきだろう。
このままだと差別を支持するのが保守層だと思われてしまう。
そうではないはずだ。
人間の尊厳を守ることは保守も革新もリベラルも立場は同じはず。
評論家の古谷経衡氏は《差別発言を続ける杉田氏に、国会議員の席を与えた自民党の罪は重い。
日本の名誉を傷つけており、これ以上公認を与えるべきではない》と2年前の記事で言っている。
日本はまったく悪くないという思いからか、歴史修正主義やバックラッシュ発言を過激化することで杉田氏は一部から重宝された。
しかしそれらは結局「日本の名誉を傷つけている」と断言されている。
杉田氏は裏金問題でも処分を受けている。
石破さん本当にこのままでよいのですか。
再考すべきでは?
もし参院選まで首相でいられるなら、ですが。
文春オンライン
2025/03/19