死刑執行当日告知 違憲か訴えた裁判 地裁に差し戻し 大阪高裁
2025年3月17日 NHK
死刑を執行することを、その当日に本人に告知する現在の運用をめぐって、2人の死刑囚が憲法に違反すると訴えた裁判で、2審の大阪高等裁判所は、訴えを不適法だとして退けた1審の判決を取り消して、大阪地方裁判所で審理をやり直すよう命じました。
国や訴えによりますと、死刑囚に対する死刑執行の告知については法律で定められた規定はなく、現在は、「当日より前に告知した場合、心情の安定を著しく害する」などとして執行の1、2時間前に告知しています。
これについて2人の死刑囚は、執行に不服を申し立てることができず、適正な手続きを保障した憲法に違反するなどと主張して、国に対し、当日の告知による執行を受け入れる義務がないことの確認や、賠償を求める訴えを起こしました。
1審の大阪地方裁判所は去年4月、「死刑の執行方法が憲法に違反するかどうかは、刑事裁判の手続きで争うべきだ」として、訴えを不適法だとして退けたため、死刑囚側が控訴していました。
17日の判決で、大阪高等裁判所の黒野功久裁判長は、「仮に現在の運用が憲法に違反するのであれば、前日までに告知して適法に執行することはできる」と指摘しました。
そのうえで「当日に告知される死刑の執行を受け入れる義務があるかどうか、裁判で判断することは適切で、さらに審理を尽くす必要がある」として、1審の判決を取り消し、大阪地方裁判所で審理をやり直すよう命じました。
一方、賠償を求める訴えは1審に続いて退けました。
死刑囚の弁護団「スタートラインに立った」
判決のあと死刑囚の弁護団が会見を開き、この中で植田豊弁護士は、「差し戻しの判断は、『当日告知と執行の是非について、司法がきっちりと答えを出すべきだ』という高裁の決意の表れで、これから審理されるスタートラインに立った」と評価しました。そのうえで、裁判で結論が出るまでは、現在の運用での刑の執行を止めるよう訴えました。
法務省矯正局「判決内容を精査し適切に対応」
判決について法務省矯正局は「判決の内容を精査し、適切に対応してまいりたい」とコメントしています。