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トランプ氏演説の特異性   宇野重規

トランプ氏演説の特異性  宇野重規東京大学教授)

 

2025/1/26 東京新聞

 


 「米国の黄金時代が今、始まる」。ドナルド・トランプ大統領の就任演説は高らかにそう告げる。米国は繁栄し、安全は確保され、世界にうらやまれる国となる。自己礼賛と独善に満ちたその内容は、まさにトランプ節の全開である。
 米国大統領の就任演説というと、建国の歴史を振り返り、宗教的理念を掲げ、国民の団結を訴える格調の高い内容を想起するが、トランプ大統領の演説はそれとはまったく異なる。
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 「ドリル、ベイビー、ドリル(掘って掘って掘りまくれ!)」。気候変動に取り組むパリ協定から再離脱する大統領令に署名した大統領は、化石燃料の掘削拡大をこのように訴える。その英語は平易だが、品位に欠ける。いかにもトランプ氏らしいが、それが彼の強みでもある。
 米国の大統領就任演説というと、宗教的内容をどのように含むかに注目が集まる。オバマ元大統領はキリスト教だけでなく、イスラム教やヒンズー教を含む、多様な信仰を持つ人々に訴えた。バイデン前大統領は、キリスト教の聖人アウグスティヌスの言葉を引用した。しかしながら、トランプ大統領は、慣例に従わず、あえて聖書に手を置かずに宣誓したことでも話題を呼んでいる。
 演説中でも宗教への言及は数少なかった。わずかに目についたのは、ペンシルベニアでの銃撃事件についてであろうか。自分が凶弾を免れたのは神の加護によるものだというトランプ大統領は「私は神によって、米国を再び偉大にするために救われた」と強調する。ある意味で、トランプ大統領にとって、偉大なのは自分だけであり、神とは自らの偉大さを正当化するための存在に過ぎないのかもしれない。宗教保守勢力を支持基盤とするだけになおさら、彼の宗教観が気になるところである。
 たしかにトランプ大統領もまた、多様性の国である米国の団結と一体性を説く。マーチン・ルーサー・キング牧師の名前にも言及する。しかし、彼が黒人とヒスパニックに向けて発言するのは、その人々がトランプ氏に投票したという文脈においてである。彼が団結を訴えるのは、あくまで自らを支持する米国民であり、大統領選で敵対した人々を包摂しようとする姿勢は見られない。そのトランプ大統領は、南部国境に国家非常事態を宣言し、不法移民の多くが「刑務所や精神科病院から来た」という差別的な言動さえ躊躇しない。
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 就任演説で気になるのはそれだけではない。トランプ大統領が政府の検閲を停止し、「米国に言論の自由を取り戻す」というのは何を指すのか。それは自らの支持者の自由であって、むしろ批判者を黙らせ、差別的な発言を野放しにするものではないのか。性別を「男性と女性だけにする」資格や権利が彼にあるのか。メキシコ湾を「アメリカ湾」と呼び、あえて領土拡大の覇権主義を含意する「マニフェスト・デスティニ(明白な使命)」に言及したのは、いかなる意図に基づくのか。
 私たちは今後、このようなトランプ大統領の政権と向き合っていかなければならない。単に冷笑したり、首をすくめて揶揄したり、あるいは日本との関係だけに関心を絞るのではなく、この特異な大統領の言動の背後にある要因を一つ一つ確認していく必要がある。

 




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