変化の真の原動力は、市民の政治・社会参加である
ピケティ
一部の研究者は戦争やペストの大流行といった悲劇的な出来事が平等を生み出すと主張するが、私はその見方に与しない。現にフランス革命について言えば、戦争は革命を妨げた。また多くの国で、第一次世界大戦と第二次世界大戦は平等の進展にほとんど影響を与えなかった。結局のところ、平等の実現は制度構築と機会の創出に懸かっているのである。たとえばスウェーデンでは、二つの世界大戦は平等の進展にはほとんど寄与しなかったが、政治や社会への参画が状況を変えた。アメリカでは、公共政策の実行で重要な役割を果たしたのは、第一次世界大戦よりも一九三〇年代の経済危機だった。これから述べるように、変化の真の原動力となったのは、参政権をはじめとする市民の政治・社会参加であり、また制度を構築し機会を創出する国家の能力であった。
(『自然、文化、そして不平等』 2023年 トマ・ピケティ 村井章子訳)