本音のコラム 前川喜平
2024/12/8
市民を撃たない軍隊
韓国の尹大統領による非常戒厳が一晩で潰えたのは、韓国の市民と国会議員の迅速かつ断固とした行動の結果だが、戒厳軍が市民を撃たなかった結果でもある。
在韓のジャーナリスト徐台教氏のXによれば、戒厳軍の司令官は、国会議事堂の議員を追い出す任務があったが、抗命してそれを行わなかったという。
除氏が紹介する朝鮮日報の記事によれば、戒厳軍兵士は「本気になれば10分から15分で制圧できたが、やらなかった」と語った。
「軍の『協力しない意志』が存在したことが明らか」で、それは「過去に流した市民の血がなせる業」だ、と除氏は書いている。
尹大統領の暴挙は、しかし人ごとではない。憲法に緊急事態条項がなくても、自衛隊法上首相には自衛隊に治安出動を命じる権限がある。
1960年安保闘争の際には当時の岸信介首相がそれを発動しようとした。
尹大統領のように思いあがった首相が、対抗勢力をテロリストなどと決めつけて自衛隊を出動させる危険は、今の日本にもある。
心配なのは、右翼論客と結び付き、靖国神社への集団参拝を繰り返す自衛隊の旧日本軍への回帰の兆候だ。
旧日本軍は市民を守らなかった。守ろうとしたのは天皇を戴く「國體」だ。
「國體」を守るために市民を撃つ、などということを自衛隊が決してしない、という保証はない。
(現代教育行政研究会代表)