2024年10月18日 NHK
イスラエル軍はパレスチナのガザ地区南部で16日に行った軍事作戦で、イスラム組織ハマスのシンワル最高幹部を殺害したと17日、発表しました。
シンワル最高幹部は、前の最高幹部がことし7月に訪問先のイランで殺害されたことを受けてハマスのトップとなり、イスラエル軍は去年10月のハマスによる奇襲攻撃の首謀者だとしていました。
イスラエルのガラント国防相は声明を出し、「イスラエルは、卑劣な殺人者でありテロリストであるヤヒヤ・シンワルを排除し、正義をもたらした。ガザ地区に災いと死をもたらし、人々を苦しめた男に終わりが来た」とした上で、ハマスに対して人質全員を解放し、降伏するよう呼びかけました。
シンワル最高幹部とは
イスラム組織ハマスのヤヒヤ・シンワル最高幹部は、ハマスの軍事部門の創設者の1人で、長年、ガザ地区でハマスの活動を率いてきました。イスラエル軍はシンワル最高幹部を去年10月のハマスによる大規模な奇襲攻撃の首謀者だとして軍事作戦での主要な殺害目標に掲げてきました。
複数の欧米メディアなどによりますと、シンワル最高幹部は、1962年にガザ地区南部のハンユニスの難民キャンプで生まれ、その後、1987年に発足したハマスに加わり、軍事部門のカッサム旅団の創設に関わりました。
殺人や誘拐の罪で1989年にイスラエルの刑務所に収容されますが、2011年にイスラエル兵1人の解放と引き換えに1000人あまりのパレスチナ人受刑者が釈放された際に、シンワル最高幹部も釈放されました。
2015年にはアメリカ政府が国際テロリストに指定しています。
ことし7月にハマスのハニーヤ最高幹部が訪問先のイランで殺害されたことを受け、その後任としてハマスのトップに選ばれていました。
支援団体「人質全員の解放を」
シンワル最高幹部の殺害を受け、家族が人質としてハマスに拘束されている人たちの支援団体は声明を発表し「イスラエルがこれまで直面した最大の虐殺を首謀し、数千人の殺害と数百人の拉致に責任のあるシンワルを排除した軍を称賛する」とした上で、「私たちは、ガザ地区でハマスに今も捕らわれている101人の安否を深く懸念している。イスラエル政府や各国の指導者に、人質全員の解放に関する即時合意を追求し、この軍事的成果を外交的成果につなげるよう求める」としました。
ネタニヤフ首相「人質全員が戻るまで戦い続ける」
シンワル最高幹部の殺害を受けてイスラエルのネタニヤフ首相がビデオ声明を発表し、「きょう、私たちは恨みを晴らした。悪に打撃を与えたが、われわれの任務はまだ完了していない」と述べました。その上で、家族が人質としてハマスに拘束されている人たちに対し、「これは今回の戦いでとても重要な瞬間だ。われわれはあなたたちの愛する人たち全員が戻るまで、全力で戦い続ける」と述べました。
ガザ地区での戦闘の経緯
パレスチナのガザ地区でのイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘は去年10月7日のハマスの奇襲攻撃をきっかけに始まりました。ハマスがイスラエルに対して大規模なロケット攻撃のほか越境攻撃を仕掛け、およそ1200人を殺害したほか、人質としておよそ250人をガザ地区に連れ去りました。
イスラエル軍はハマスの壊滅と人質の解放を目指してその日のうちにガザ地区での軍事作戦に乗り出します。
そして、当時、ガザ地区のトップだったシンワル最高幹部を奇襲攻撃の首謀者だとしてハマスの壊滅に向けた主要な殺害目標に掲げました。
イスラエル軍はガザ地区への激しい空爆と地上作戦を続け、ハマスの幹部や指揮官を相次いで殺害し、ことし7月の空爆で軍事部門であるカッサム旅団のデイフ司令官を殺害したと発表していました。
また、7月31日にはハニーヤ最高幹部が訪問先のイランで殺害され、ハマスやイランはイスラエルによる攻撃だとして非難していました。
さらにイスラエル軍は9月、南部のラファを拠点としていたハマスの4つの大隊すべてを壊滅させたと主張し、成果を強調していました。
一方、停戦の見通しが立たない中、ガザ地区での犠牲者は増え続け、現地の保健当局は17日、これまでの死者は4万2438人にのぼったと発表しています。