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 「石破茂氏の美学」

 「石破茂氏の美学」

読売新聞編集委員 伊藤俊行

 

 

 書店には関連本が並び、「今、角栄がいたら」といった夢想が飛び交う「角栄ブーム」は、現在の政治に対する不信や不満の裏返しなのだろう。(2016年)4月18日放送のBS日テレ「深層NEWS」に出演した石破茂地方創生相も、田中角栄・元首相の薫陶を受けた政治家の1人として、思い出を語った。

 銀行員だった25歳の時に元首相と2人で写った写真とともに、元首相から「政治家になれる機会は10年に1度、あるかないかだ。自分もいつまでも権力を持っているわけではない。派閥も永遠ではない」と政界入りを半ば強制された逸話を紹介し、「絶頂にあった田中先生から、派閥は永遠ではないと言われ、意外な感じがした」と振り返った。

 元首相の「日本列島改造論」に「地方創生」を重ね、「地方の潜在能力を引き出す」ことへの決意を新たにしていた。

 決して二枚目ではなく、弁舌もさわやかさとはほど遠い。 噛か んで含めるように国民の負担増の必要性なども正直に語る様子は、大衆を扇動するポピュリズムでもなければ、大衆迎合という意味でのポピュリズムでもない。人気が出るタイプではないと言われていたのに、大ブレークして5年ほどがたつ。スタイルを変えたわけではないから、時代の方が変わったのだろう。

 ただ、2012年自民党総裁選で、党員票を含む第1回投票で首位に立ったのを頂点に、存在感は少しずつ弱まっているように見える。

 「地方創生」は安倍晋三政権の金看板だが、中身が一部重複する「1億総活躍」という別の看板も登場したことで、石破氏の役割が不鮮明になった面がある。また、成果が目に見えるまで時間がかかる政策に即効性を求めれば、どうしても既存の取り組みに「地方創生」の冠を乗せただけの焼き直しになりがちだ。これも、石破氏のアイデアやリーダーシップを印象づけるうえで、マイナスに作用している。

第2次安倍内閣が発足し、就任にあたり記者会見する安倍晋三首相(首相官邸で。2012年12月26日撮影)
 「ポスト安倍」のポジショニングに失敗したとの見方もある。13年参院選後、幹事長続投を望みながら、安倍首相から入閣を求められ、周辺の「『ポスト安倍』を狙うには閣外にいるべきだ」という声を振り切って、要請に応じた。損得勘定以上に、党三役として総裁たる首相の意向に逆らうのは筋が通らないという美学ゆえの決断だったことは、「深層NEWS」で「ポスト安倍」への意欲を何度尋ねられても、首相を支えることが自民党員の務めだと繰り返す姿を見れば、想像がつく。

 今も、閣僚でなければ、もう少し自由に発信できたろう。余震が続く熊本地震への対応でも、河野太郎防災相や中谷元防衛相の名を挙げて、「担当外の私があれこれ言うべきではない」と静かだが、救難や復旧の局面を乗り越えれば、次は石破氏が深くかかわる「再生」「復興」に移るのだから、そこまで遠慮しなくていい気もする。ここもポジショニングがあだになっている。

 思い込んだら後先を考えずに動く面もある。1990年代の政治改革の熱狂の中で自民党を離党した。2009年には、農相を務めていた麻生太郎政権の末期に、閣僚として苦境に立つ麻生首相を支える立場にありながら弓を引きかけたことが、12年総裁選で逆転負けする遠因にもなった。

 安倍首相の党総裁としての任期は18年9月まで。その頃には、「ポスト安倍」にもっと若い世代が名乗りを上げる可能性がある。「水月会」(石破派)からも、12年総裁選前後に多くの議員が無派閥だった石破氏のもとに集まってきたような熱気は、伝わってこない。

 「週末はゴルフより、講演などに時間を使いたい」という。ゴルフは1日かけて一緒にラウンドする3人としか話をできないが、講演なら多数の人に考えを伝え、話を聞くことができるという説明だ。これも石破流の美学だろうが、「情」と「理」のバランスがいささか悪い。そこが弱点であり、田中元首相と違う点の一つだ。

 石破氏のためなら一肌でも二肌でも脱ぐという仲間を増やすには、少し発想を変えてもいい。(「まつりごと点描」16年4月掲載)

 




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