袴田巌さん 再審で無罪判決 裁判長“時間かかり申し訳ない”
2024年9月27日 NHK
【ねつ造(1) 唯一の自白調書】
判決で1つ目に挙げたのは、過去の裁判で唯一、自白の任意性を認めていた検察官の調書です。判決では、警察による取り調べについて逮捕されてから19日間、深夜までに及ぶ1日平均12時間もの長時間の取り調べが連日続いたと認めました。
そして
▽自白しなければ長期間勾留すると告げて心理的に追い詰めたり
▽取調室に便器を持ち込んで用を足すよう促したりするなど
屈辱的で非人道的な対応をしたと指摘しました。検察官の取り調べについても「袴田さんが自白するまで警察署で警察官と交代しながら証拠の客観的状況に反する虚偽の事実を交えて犯人と決めつける取り調べを行っていた」と述べました。
こうした状況から検察官の調書について「警察官との連携により肉体的・精神的な苦痛を与えて供述を強制する非人道的な取り調べによって作成された」として実質的に捜査機関がねつ造したと判断し、証拠から排除しました。
【ねつ造(2) 5点の衣類】
2つ目は、血の付いた「5点の衣類」です。事件発生から1年2か月後に現場近くのみそタンクから見つかり、過去の裁判で有罪の決め手とされた証拠で、再審でも血痕の赤みが残っていたことが不自然かどうかが最大の争点となりました。
判決では、検察側と弁護側がそれぞれ行った実験の結果や専門家の見解などをもとに「1年以上みそに漬けられた場合、血痕の赤みが残るとは認められない。『5点の衣類』は、事件から相当な期間がたった後、袴田さん以外の者によってみそタンクに入れられた」と指摘しました。
そして、当時の裁判で袴田さんが無罪になる可能性が否定できない状況だったことから、捜査機関が有罪を決定づけるためにねつ造に及んだことが現実的に想定できると判断しました。
この「5点の衣類」は、再審を開始するかどうか決める審理でも、2度にわたりねつ造の疑いがあると裁判所から指摘されていました。
【ねつ造(3) ズボンの切れ端】
3つ目は警察が実家を捜索した際に見つかったとされる「5点の衣類」のズボンの切れ端です。この証拠は「5点の衣類」が袴田さんのものだという根拠の一つとされてきました。
判決では「捜査機関によって持ち込まれるなどした事実が推認され、捜査機関によってねつ造されたものだ」と判断しました。
理由として
▽みそなどでぬれて固くなったズボンと実家にあった切れ端が同じ生地、同じ色だと判断するのが難しいのに、警察官がその場で同じだと判断したこと
▽警察官が捜索の前に実家を訪れていたことなどをあげ
「警察官として不自然さを通り越した不合理な捜査活動だ」批判としました。