今回は今まで扱っていなかったキーボードの話題です。といっても別にキーボードについて色々調べるようになったのは最近のことなので大したことは言えないと思うのですが。
とりあえず、つい最近iClever G06というかなり安いメカニカルキーボードを買いました。基本スペックとしては日本語配列、テンキーレス、赤軸(リニア)という感じです。そこから分解してスイッチ交換作業をするあたりまでを書きます。
経緯(なぜ赤軸メカニカルなのか)
経緯として、まず従来はLogicoolのK835という、有名ブランドのメカニカルキーボードとしては安い部類(8000円台くらい)のもの(こちらも赤軸)を使用していました。
しかし一部キー(dとかDelとか)が反応しなかったり遅れたり2回入力されたりといういわゆるチャタリングが発生したため、買い替えが必要になりました。あと音がかなりガチャガチャとうるさかったのも不満でした。
まず家でもっと前に使っていたTK-FCM108BKという薄型メンブレン(安い)を引っ張り出してみました。キーによってはまともですがやはりスライド部分が劣化して引っかかって押しづらいキーがあり、なぜこれを使うのをやめたのかを思い出しました。
なので新しいのを買おうとなり、とりあえずELECOMのTK-FCP097というパンタグラフ型のキーボード(2000弱くらい)を買ってみました。安いものばっかりですね。
これは一部記号のキーがちょっと狭くなっていて感覚が狂いそうな気がする以外は(←ちなみにBuffaloの競合製品はこの問題はないのでそっちにすればよかった)まあそんなに悪くはないんですが、短期間に3種類のキーボードを真面目に使い比べた結果、メンブレン・パンタグラフと比べたときのメカニカル(の赤軸)の利点に気付きました。それは赤軸だと連打がしやすいということです。
パンタグラフ含むメンブレン系のもの(や、メカニカルの青軸など)にはクリック感があります。これは、キーの入力がされるくらいのタイミング(厳密には一致しない場合もありますが)でキーの負荷(重さ)が一旦弱くなるというものです。従って、同じキーを2回押すには、一度目のキーの入力が完了した時点から、もう一度入力が可能になる状態に戻すには、今まで結構な力をかけていたものをかなり弱めてからまた強く押し込むことが必要になります。またメンブレン系の場合は入力と同時に底打ちになるため、入力時の指の力が(メカニカル青軸のように)バネに蓄えられることなく振動となって逃げていってしまい、押し直しのための反発力を得ることができなくなります。
そんなわけで、なんとなくメカニカル入門として選んだだけのK835の場合と違い、今回は自分なりに明確な理由付けをもってメカニカル赤軸を新たに買うことにしました。パンタグラフは予備用にします。
あとはキーボード配列としてはあまり変なものにはしたくなくて、かつやはりスペースキーが短い日本語配列のほうが日本語入力には向いているだろうということで日本語配列を選びました。テンキーは既にテンキーレスのK835をずっと使っていて特に不満を感じなかったので無しです。音についてはレビューや動画をちょっと見た感じ、そんなにうるさくはなさそうに見えました。キー配列はOS側で変えるのでマクロ機能はどうでもいいです(レビューによるとあまり評判は良くない)。光るのも別にあってもなくてもOK。あとは値段です。赤軸と同じくリニアであるスピードシルバー軸や、ロープロファイルキーボードなども選択肢には入るのですが、まだ製品数が少なく割高なので今回はやめておきました。ホットスワップも諦めました。
ちなみにこのiCleverでは同じような価格帯(ちょっと高い)で一見似たような見た目のG01というテンキーレス赤軸メカニカルが出ていますが、よく見るとフローティングデザインになっていて別物です。
iClever G06の簡単なレビュー
音は予想通り、K835よりは小さいです。カタカタくらいの音は普通にしますがK835のような高周波のガチャガチャした感じはないです。もちろん一般的なパンタグラフやメンブレンよりは明確にうるさいです。
キーの表面は結構しっとりした感じでこれがPBT樹脂ってやつ?(こなみ)と思いましたが外してみたらなんか表面に薄いシートでコーティングされているような感じにも見えます。そのうち剥がれたりするんでしょうか。公式サイトにはPBTと書いてはありました。
いくつかのキーは端を押すと引っかかるような感じがします。右Shift、Enter、CapsLock、Escなどが、それぞれキーボードの中心から離れた角を押すと押し込みにくいです。普通は中心に近いところを押すのでそこまでストレスではないです。Spaceは問題なさそうです。
キーボードの高さが結構あるのでパームレストを導入(自作)しました。これは体感かなり快適になるので今思えばK835の時点で導入しておくべきでした。メカニカルキーボード自体の価格帯を考えると、あると良いというより必須のアイテムだと感じました。
これから述べるような一部キーの問題もありますがそれでも(執筆時点で)★5で普通に満足できる製品です。
- 追記(重要): 購入後3ヶ月ほど経ってからですが、「数分~数十分に一度、キー入力が2秒間ほど途絶える」という事象がそこそこ発生するようになりました。KVMスイッチで切り替えて事実上のつなぎ直しをするとしばらく発生しなくなります。調子のいい日は1日使っていても問題ないこともあります。★3くらいに下げても良さそうです・
スイッチを交換したい
使っていると、Minecraftのプレイ中のWキー(前進)の音が気になるようになってきました。ちょっと言葉では表現しづらい音ですが、押し込んでいる動作の途中で小さくカリカリ/カラカラというような軋み音がします。おそらくキー押下時の振動がバネに伝わって共振している音だと思います。ノック式のボールペンで押し込まれる直前あたりで小刻みに動かしていると似たような音が聴けるかもしれません。
他のキーでは感じないので個体差か、マイクラで酷使しているor押し方がおかしいので一瞬で劣化したのかもしれません。普通のタイピング中だとタイプ音がうるさいので全然気にならないのですが、マイクラだとWキーだけに指をかけて断続的に押すような場面がけっこうあるのでそのたびにカリカリとなって結構気になります。
そこでWキーのスイッチをK835のものと交換することにしました。本来なら多分ルブとかいうのをやるのが正しいんでしょう。ちなみにシリコンスプレーを雑にスライドあたりに突っ込むのはやってみましたが効果はありませんでした。
ホットスワップはないのではんだ除去・はんだ付けの作業が必要になります。
あと、それより後に気付いたので作業のタイミングとしては別なのですが、一部キーで戻り時のバネ鳴きが気になります。筐体の構造による差かとも思ったのですがキートップを外して念入りに確かめた結果、これもスイッチの個体差が原因ぽいことがわかりました。これに関しては大して押す頻度が高くないはずのキー(右Shift)で発生していたのもあり、同じG06内での他のキー(F10)とスイッチを入れ替えてみることにしました。ちなみに執筆時点でもまた別のキー(半角全角とか)のバネ鳴きがちょっと気になりますが、効果が出ること自体は既にわかっているのと気にしていたらキリがないのとそのうち慣れからの慢心で事故起こしそうなのでしばらく後回しにします。
そもそも半角全角とかEscとかSpaceみたいなキーボード端にあるキーは角を斜め下に払うような打ち方をしがちなので反動でかなりの勢いでキーが戻って大きな音が出やすいという面もあります。
分解作業
ではG06の構造と分解作業の注意点について説明します。
まず重要なのがこの上側のカバーみたいなやつです。

これは他の部分とは独立していて、上側4下側5側面1つずつ合計11個くらいのツメで底板と固定してある感じです。
それ以外の部分は全く普通の構造で(いや別にカバーも普通なのかもしれませんが)、キートップはキースイッチに固定されており、キースイッチは基盤に固定されており、基盤と底板がネジで固定されており、基盤と底板の間に薄い吸音シートがあり、という感じです。本体裏側には一切ネジはなく、隠しネジのようなものも特になさそうです。
従って分解にあたってはまずこの上側カバーを外すのが入り口、かと思いきや、注意点があります。というのも、この上側カバーを外す際に若干変形することでキートップに引っかかって外せなくなってしまう場合があるからです。このキーボードはどちらかというとキーの上側のほうが狭いようで、特に数字キーの列が一番引っかかりやすいです。対処法として、カバーを下側のツメから先に外すと良いです。こうするとカバーが上側に引っ張られるようにしながら開くことになり、キーの下側は比較的余裕があるので引っかからずにすみます。
あるいは、もっとリスクを減らしたいとか、キートップを外す予定があるなら、先にキートップを外してしまってからカバーを開けるという手もあります。カバーと下側以外の少なくとも一つの辺・角で接するキーはすべて外したほうがいいと思います。つまり上2列全て、Tab、CapsLock、Enter、左右のCtrlとShift、Del、PgDn、矢印キー、です。このようにした場合、上側のツメから先に外すことができます。ツメの数や配置、筐体の構造などから、下側のツメから外すよりもやりやすく感じます。
カバーが外れた状態でも一応フローティングデザインのキーボードとして使用が可能ですが、筐体の凹んだ箇所などが露出していてホコリがたまりそうなので長期間の使用には適しないでしょう。
次に基盤と底板を固定しているネジを外します。ネジは以下の通り、上側と下側に4つずつの8か所あります。
- F1とF2の間、F6とF7の間、F10とF11の間、Scr LkとPauseの間
- 左Ctrlと左Winの間、スペースの下、カタカナひらがなローマ字とFnの間、↓と→の間
従ってこれらのキートップはいずれにせよ取り外す必要があります。スペースの下にあるもの以外は組み立て後の状態でもキーの隙間から視認できます。この部分のネジが8個というのは多くはないですが極端に少ないわけでもなさそうです。
ネジの金属は結構柔らかく、気を抜くとすぐに頭が潰れそうなので注意しましょう。
ネジを外し終わると基盤と底板に分解できます。USBケーブルは(ちょっと力を入れるくらいでは)基盤から抜けにくそうな雰囲気でしたが、そのかわり底板には接着されておらず溝にはまっているだけなので外すことができます。
外した基盤と底板(+吸音シート)はこんな感じです。


角の白いところはLEDが透けてる部分で、このパーツは簡単に付け外しできます。
スイッチ交換
スイッチ交換作業をやったのは初めてです。
まずK835も同じように基盤が取り出せるように分解します(こちらは多分他にも記事があるので省略)。
はんだごてを使うのは10年以上ぶりくらいで、既設のはんだを除去するのは初めてです。これはかなり苦労しました。はんだごてが弱いか劣化しているか(←多分こっち)、はんだ吸い取り線が劣化しているのかわかりませんが、全然吸い取ってくれません。銅線の網目を手でむりやり広げて幅を2倍くらいにして向こう側が見えるくらいの薄さにしてやったらちょっとずつできるようになりました。あと、結構素早い感じというか、はんだごてを当てた0.1秒後に線を当ててはんだごてで0.3秒くらい押し付けて両方離して、みたいなそれくらいの忙しさでやると意外とうまくいく感があります。でも1か所除去するために吸い取り線5cmとか使ってる気がするので絶対間違ってる気がします。
あとキー下側中央のプラスチックの突起みたいなところにはんだごてが当たるとゴムの焼ける臭いがして気分が悪くなります。ダイオキシンとか出てないよね…?
PgDnなどあまり劣化してなさそうなスイッチを中心に、調子に乗って7-8個くらいは外しました。
以前はんだごてで火傷したことがありましたが今回は基盤の側を触ってちょっとアチ!となるくらいで済みました。
ちゃんと認識してなかったんですがキースイッチも(はんだとは別に)ちょっとした溝みたいなのによって基盤にハマってて、外すには多少力が要るので、2 in 1タイプのキートップ外し工具があるといいですね。
外した(iClever G06の)スイッチを押してみると、特に戻り時のバネ鳴きに関しては明らかにスイッチの個体差があることがわかります。一方でK835のスイッチは戻り時のバネ鳴きはどの個体もあまりないです。さすがにiClever G06よりはまともなスイッチなのかも。メーカーはどちらもTTCだったような気がします。
吸い取りに比べるとはんだを付ける方は楽で、一瞬で終わりました。
吸音シート
底板付近でできる防音だとマスキングテープを貼るというのが一番有名ですが、これをやってしまうとまた他のスイッチを交換するのがやりづらくなります。そこで、それはやらないかわりに、適当な梱包材のスチロールペーパーみたいなのをカットして入れてみました。
一応、作業後の様子も写真を撮っておきました。もともとあった吸音シートの下に白いシートがあるのが見えると思います。
基盤のほうも載せています。ネジ穴付近のキーと右shiftだけキートップを外してあります。

組み立て後・その他
Wキーの変な音はしなくなり、右Shiftの戻り音もなくなりました。
Wキーに関しては、K835のものに変えたため、マイクラのプレイ中、他のキー(A、Dなど)よりも深く押さないと反応しないように感じて気になったことがありましたが、最初のほう気にしすぎだっただけでその後気にならなくなりました。
スチロール吸音シートの結果はそんなにないような気がします。
あと全然関係なく、パームレストが結構高めなのをいいことにキーボードを逆向き(奥が低い)に傾けてみました。これは結構いいです。ただこれだと底が浮くためか若干バネ鳴き音などが響きやすくなる気がします。底打ちの時は柔らかいというか、ガツンと当たる感じが少し減りますが、これはこれで悪くないです。
まとめ
安物なので完璧な品質とはいえませんが、そのかわり安物なので気軽にいじりやすいのは良いところです。iClever G06、おすすめです。