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フロイトは精神科学者ではない

以前に買った,鈴木光太郎「オオカミ少女はいなかった」の感想です.
新刊書いくつか - なぜか数学者にはワイン好きが多い

非常に面白かったです.
第一章では,「"心理学の教科書にも載っている"オオカミに育てられオオカミの習性を身につけた少女たち」が,資料の分析によってウソだということを暴いています.
ただし,アマラとカマラの話が眉唾だというのは最近ではかなり広まっており,著者が言うほど「心理学上の常識」では無いように思います.例えばこの手の話はX51.ORG
X51.ORG : オクサナ・マラヤ ー 犬に育てられた少女
でも取り上げられており,アマラとカマラについては

しかし、その後の調査で疑問点が多々指摘されており、現在は「実の親にある程度まで育てられた自閉症児が捨てられたのではないか」との説が有力視されている。

と記述されています.
だいたい,上記のX51.ORGのページには犬少女オクサナの動画がありますが,「アマラとカマラの写真は信用できない」と断言する著者は,オクサナ少女の動画については参考文献も含めて一言も触れていません.


第二章では,サブリミナル効果のウソを暴いています.
著者は当時の文献やその後の論文を検証し,また

1962年,当のヴィカリーがある業界紙のインタヴューに答え,実は,あのときのデータは少なすぎてなにかがいえるようなものではなかったと漏らしている.

などの状況証拠から,サブリミナルの可能性の全否定はしないまでも,安易なサブリミナル効果はあり得ないと結論しています.
しかし,多くの研究者の調査はもっと厳しくて,例えば
Subliminal Perception Manual

Years later, Vicary himself admitted this scam was simply an attempt to save his dying advertising agency.
(適当な訳)
のちに,ヴィカリー自身が,この詐欺がとある広告代理店を救うためのでっちあげにすぎないことを認めた.

とあります.

その他にもこの面白い本の著者は私と意見が異なるところがあって,2章で

100年前に最初に「無意識」ということを言い出して概念化したのは,ジークムント・フロイトである.

と,フロイトがとても科学者じゃないと批判していますが,そもそも私が思うにフロイトは,スーザン・クランシーが言うように

フロイトは,1990年代なかば以降,かなりの批判を受けてきた.研究の手法は酷評され,結論は論理的でないと嘲笑され,理論には欠陥があるとはねつけられてきた.彼は明らかに科学者じゃなかったのだ.
だが,心理学者ではなく哲学者だったと考えれば,行動科学においてすくなくともひとつの偉大な功績を残してくれたことをありがたく思えるだろう.

彼は科学者じゃなくて哲学者,優れた思索家だったのだと思います.




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