http://www.kokusen.go.jp/recall/data/s-20070428_1.html
このたび、小社では『世界大百科事典』の「アイヌ」の項目を全面的に改稿することといたしました。現行の同項目は、1970年代後半の編集になるもので、アイヌ民族が日本の先住民族であるとの視点にないものであり、現時点では適切なものではないばかりか、アイヌ民族に対する偏見や差別を助長しかねないとの認識にいたったためです。この改稿は本年秋に予定しております同百科事典の2007年版に反映いたしますが、2002年以降にご購入いただき、読者登録をされている皆さまには、改稿あるいは今回新規に立項します項目を小冊子「アイヌ関連項目集」にまとめ、お届けいたします。
私は言葉狩りは大嫌いですが,新たに良い物を作ることは良いことだと思います.
(例えば,これが「『世界大百科事典』の『アイヌ』の項は不適切な表現があったため,出版停止します」だったら...怒りを感じるところです)
あいにく,平凡社の辞典はないので,手元にある「広辞苑」のアイヌの項を見てみました.
手元には,書籍版第2版と,電子版第5版があります.
まず,第2版(1969年発行):
北海道・樺太に住む一種族.人類学上はヨーロッパ人種の一分派に蒙古人種の血をまじえている.言語は形態学上は抱合語.眼窩くぼみ,換骨秀で,頭髪は黒く波状または鉤状.体毛は濃い.性質温和,男女ともに耳環をつけ,特に女は入れ墨ををし,衣服はオヒョウ・ハルニレなどの皮の繊維で作ったアツシで製する.狩猟生活から農業生活に入るとともに固有の習俗を棄て,とくに明治以降は日本人との混血が進んで,人種的に純粋なアイヌはきわめてまれになった.
...そして第5版(1998年発行).
(人間の意) かつては北海道・樺太(サハリン)・千島列島に居住したが、現在は主として北海道に居住する先住民族。人種の系統は明らかでない。かつては鮭・鱒などの川漁や鹿などの狩猟、野生植物の採集を主とし、一部は海獣猟も行なった。近世以降は松前藩の苛酷な支配や明治政府の開拓政策・同化政策などにより、固有の慣習や文化の多くが失われ、人口も激減したが、近年文化の継承運動が進む。口承文学ユーカラなどを伝える。
.....あまりにも違いますねぇ.私の知る限り,明らかに後者の方が正確です.
トンデモ本の世界R()にも紹介されてしまった「差別用語の基礎知識()」(私が持っているのは,1996年改訂版)にも,第一章に「アイヌ」についての話題が載っています.
90年,アメリカ最大のシュミレーション・ゲーム・メーカー(引用者注:ママ)「アバロンヒル社」が,日本を舞台に忍者を登場させて製作,発表してアメリカでヒットし,東京の「ホビージャパン」が輸入,発売したゲーム「ランド・オブ・ニンジャ(忍びの国)」が回収され,アバロンヒル社も在庫を放棄した.
ゲームの中で,プレーヤーの役回りの身分制として「公家」「武士」「平民」「忍者」などと並べて「アイヌ」「エタ」が設けられていた.
(中略)
「アイヌ...毛深い」などの説明がなされていた.
アイヌだから毛深いというのは間違いです.日本人でも,凄く肌が白い人もいるし,浅黒い人もいます.全ての日本人の肌が黄色いわけではありません.
だからといって,回収することはないのに,というのが私の意見です.ちゃんとした知識を広めて,例え「毛深い」とあっても,「あ,これは間違ってる.なんだこりゃ.」と気付くようにしないとならないと思います.そんなことを考えていると,ちびくろ・さんぼが復刊されて良かったなぁと思います.
当時のちびくろ・さんぼ絶版を主張する根拠を読むと,いくらでも笑えます.例えば,「さんぼの家族が大量のホットケーキを食べるシーンがある.これは,黒人が大食いだという印象を与える」とか.絵本を読んで,黒人がみんなホットケーキを何百枚も食べると子供でも信じると思っていたのでしょうか.絵本を読む幼い子供じゃなくても,こんな感じだそうですが.
人類が月へ行ったことを信じない人が約2割 | スラド Linux
(他にも,「差別用語の基礎知識」には,「アイヌ民族への差別表現」という項で,中曽根当時首相の「日本は単一民族国家」発言(86年)や,アイヌが「糾弾する会」を作った話題が載っています.)