映画『落下の王国』(4Kデジタルリマスター版)

以前、この映画の宣伝を観て、世界遺産がたくさん登場する圧倒的な映像美ときいて、これは観に行きたいと思っていた。それからすっかり忘れていたところ、八点鍾さんがブログに書かれていたので「あ、観たかった映画だ!」と思い出し、今月初旬観に行ってきた。
(以下、ネタバレ気味です。)
【あらすじ】
舞台は1915年。映画の撮影中に橋から落ちて大怪我を負ったスタントマンのロイは、病室のベッドで絶望の淵にあり、自暴自棄になっていた。そんな彼は、木から落ちて腕を骨折し入院していた5歳の無垢な少女アレクサンドリアと出会う。
ロイは動けない自分の代わりに、アレクサンドリアに薬剤室から自殺用の薬を持ってこさせようと考え、彼女の気を引くために即興の冒険物語を語り始める。それは、愛する者や誇りを失い、深い闇に沈んだ6人の勇者たちが力を合わせて悪に立ち向かう壮大な物語だった。
(あらすじ・画像は「映画.com 」より)
2006年に製作された作品の、4Kデジタルリマスター版。
その20年前、CGに頼らず、13の世界遺産と24カ国以上のロケーションをめぐって撮影された壮麗な映像と独創的な世界観が、当時も話題を呼んだのだそうだ。

【感想】
先ず、その13の世界遺産の場所どこもスケールが大きく、その美しさに圧倒された。それを大画面で観られただけでも、映画館へ観に行った目的は果たせた感じ。
作品冒頭、モノクロ映画撮影シーンでのスローモーションやストップモーション映像などにも、目を奪われた。
その撮影シーンで、橋からロイが川へ落下していまう。入院した病院で出会う5歳の女の子・アレクサンドリアも、オレンジの収穫中、木から落ちて腕を骨折して入院中というように、原題である「Fall(落下)」シーンが最後まで何度も登場する。
失恋して、撮影中大けがをし、自暴自棄になっていたロイが、自殺用の薬欲しさに、アレクサンドリアに思い付きの冒険物語を話して聞かせる。
アレクサンドリアはその話に夢中になり、何度も話の続きをロイにせがむ。
その復讐的冒険物語と、病院での現実とが交錯しながら話が進んでいく。
そして、そのロイが語る物語は、だんだん不穏な雰囲気になり、終盤は残酷になって来る。
この作品、「ファンタジー&アドベンチャー」と表記されていたけれど、私には「ダークファンタジー」という感じがした。
かなり前に観た『パンズ・ラビリンス』のような。

『パンズ・ラビリンス』の詳細は忘れてしまったけれど、ダークファンタジー的雰囲気が似ていると思った。
その空想物語の途中から、アレクサンドリア自身も勇者の仲間として話に介入していったのは、面白かった。

物語の中での登場人物も、病院で担当している医者だったり、看護師だったり、二人の周囲の人間が色々登場していたのに気づいたとき、昔観たジュディ・ガーランド主演の『オズの魔法使い』で、かかしやライオン、ブリキの木こりたちは、実際のドロシーの家の周囲にいる人達だったのを思い出した。
ロイのためにアレクサンドリアが、薬を取ってあげようとして、椅子から落下し、頭まで怪我してしまったのに、残酷な話の終わり方にするのは止めてと、アレクサンドリアが泣いて懇願する場面は、さすがにアレクサンドリアが可哀想で、ロイは酷いなと思った。ロイ自身、死に損なってしまったので、そんな精神状態になっていたのだろうけど。
でも最後には救いや希望があり、ロイやアレクサンドリアほか病院の皆で、コミカルな無声映画を楽しそうに観ているシーンには心が和んだ。
ラストシーンでの、コメディタッチの無声映画連続落下シーンも面白く、映画への愛やリスペクトも感じた。そして、スタントマンは今も昔も大変だな~と。
アレクサンドリアを演じた女の子は愛くるしく、まるで演技ではなく自然な喋り方だなと思ったら、映画初出演だったそうだ。
話が進むうちに、アレクサンドリアの家は、怒った人たちに焼かれてしまい、そのとき父親も喪ってしまったので、ロイに父親の面影を重ねていたのも伝わってきた。
アレクサンドリアを観ていて、空想好きだった自分の子ども時代を思い出したりもして、おとぎ話や想像力は改めて生きる力にも繋がると思った。
それから、ターセム監督が私財を投じて挑んだ自主製作映画だというのもびっくりだったけど、世界的デザイナーの石岡瑛子さんがデザインを担当した、その衣装の美しさにも目を見張るものがあった。

この、クルクル回っているシーンも、その衣装といいとっても素敵だった。
4Kリマスターではないけれど、映画のベストショットを集めたYouTube映像。映画で使われていた曲は、ベートーヴェンの「 交響曲第7番2楽章」。
☆
映画『ローリング・ストーンズ・アット・ザ・マックス』

1990年に敢行されたローリング・ストーンズの復活ツアー「スティール・ホイールズ アーバン・ジャングル・ツアー」。
その模様を映像収録した、IMAXカメラで撮影された世界初の長編ライブ映画。
ツアー35周年を記念しての限定劇場公開で、ロンドン、ウェンブリー・スタジアムでの公演を中心に記録したものだそう。
このストーンズ初来日公演は、私もこの時代、観に行くことができた唯一のコンサートだったので特に思い入れが深いコンサートだ。
当時、赤羽駅にあった「チケットぴあ」で、長蛇の列に並んでチケットをゲットしたんだった。
smokyさんのブログでこの公開情報を知り、私も観に行ってきた。
IMAXで映画を観たのは、何年ぶりだろう…
(ところでIMAXって、椅子が映像に合わせて振動したり、風を感じたりできるわけではなかったのね。あれは、ディズニーランドの3Dシアターだったか^^;)
IMAX、確かに巨大スクリーンで、ストーンズのコンサートをかぶりつきで観ているかのような臨場感を味わえた。最前列からというより、そのステージ上でのカメラワークに合わせて、ステージ上から一緒に体感しているかのようなワクワク感。
チャーリー・ワッツも健在で、ビル・ワイマンもまだいた頃のストーンズ。
チャーリーが亡くなったとき、その関連記事で、チャーリーは常にキースのギターにリズムを合わせてドラム演奏していたというのも、画面を観ていて伝わってきた。
キースもノリながら自由自在に動いて、チャーリーの真ん前に行って楽しそうに弾いていたり。チャーリーの、スネアを叩くときはハイハットを叩かない、その独特な奏法も手元までバッチリ見えた。
(セットリストはこちらのサイトから転載させてもらいました。)
●セット・リスト
1. コンチネンタル・ドリフト(オープニングBGV)
2. スタート・ミー・アップ
3. サッド・サッド・サッド
4. ダイスをころがせ
5. ルビー・チューズデイ
6. ロック・アンド・ア・ハード・プレイス
7. ホンキー・トンク・ウィメン
8. 無情の世界
9. ハッピー
10. 黒くぬれ!
11. 2000光年のかなたに
12. 悪魔を憐れむ歌
13. ストリート・ファイティング・マン
14. イッツ・オンリー・ロックン・ロール
15. ブラウン・シュガー
16.(アイ・キャント・ゲット・ノー)サティスファクション
ヒット曲満載で楽しめ、中でも「2000光年のかなたに」はかなり久しぶりに聴いたので印象的だった。
日本でのこの初来日公演は、1990年2月14日から10日間も行われ、観客動員数50万人だったとのこと。私は21日に観に行ったんだった。

チケット代が1万円って、当時びっくりしたけれど、ストーンズのこの初来日から、海外アーティストのチケット代が1万を超えたって話題になったんじゃなかったかな。
一人で観に行った東京ドームでの私の席は、1階スタンドの後方だった。その頃の東京ドームは音が割れていて、決して良い音響ではなかったけど、同じ空間に一緒にいられるだけでも幸せで、 バラード曲の「ルビー・チューズディ」で感涙だった。
高校時代は、ビートルズ、ストーンズともに私の中でロックの2大神様的存在だったので、ポール・マッカートニーの来日公演を初めて観ることができた2002年でも、同じ空間にいられるだけで夢のようだった。
過去のストーンズの記事にも書いたように思うけど、私は中でもキースのファンだった。若い頃のキースは見た目もとても可愛くて。
今では、見た目はキースが一番様変わりしたように思うけど、もちろんこの90年のツアーでもギターを弾く姿も渋くかっこよかった。
ストーンズの公演では、ギターネックに煙草を挟んで弾いているキースの姿も印象的だったけど、このツアーではネックに煙草シーンは無かったような。
それにしても、ステージセットも超巨大で、階段を駆け上がって行ったり、縦横無尽に動き回るミックのパワフル感も改めてすごいなと感じた。
ビル・ワイマンのべ―ス音がちょっとが物足りなく感じたけれど。
私がそれ以降観に行けたストーンズ来日公演は、2003年、2006年、そして最後の2014年。2014年の時はスペシャルゲストとして、ロンドンに住んでいた布袋寅泰さんが登場したんだった。
コロナ禍以降、海外アーティストのチケット代の爆上がりで、ストーンズがまた来日できたとして、その料金はいったいいくらになるのだろうか(;'∀')
今年は、リヴァプールでのビートルウイークで、思いがけずストーンズの素晴らしいトリュビートバンドを観ることができて、年末は締めくくりとして、ストーンズのライブ映画を楽しめたのもうれしかった♪
