久しぶりの絵本の紹介です。
絵本『おつきさま』(作・やすいすえこ/ 絵・葉祥明)

小学6年生の教室で読みたいと思い、図書館での読み聞かせ仲間からお借りしました。
北鎌倉にある「葉祥明美術館」も何度か訪れたことがありますが、美しい葉祥明さんの絵もメルヘンタッチのこちらの絵本にぴったりです。
夜空を深い青で表していて、青からの空のグラデーションもとても綺麗で。
夜空を見上げ、同じ綺麗な月を、誰か見ているかなぁと女の子。
屋根の上ではのらネコが、お月様に月夜の歌を聴いてもらっています。
喧嘩をしていた小鳥たちも、お月様を見ると優しい気持ちになって仲直り。
自分の後をずっとついて来るように見えるお月さまは、自分たちのことが大好きなんだねとネズミたち。
お月さまが見ていてくれるからと勇気が湧いてくる、畑に一人ぼっちのカカシ。
駅では、最終電車を見送った駅長さんが月を見上げ、「今日も事故が無く、いい日だった。明日もいい日でありますように。」と願っている。
ずっと続く線路の先にぽっかりと浮かぶお月さま。その線路は、まるで海の上を走っているかのようです。
海の上では、船長さんが月を見上げて、長く会ってない家族のために祈っています。
最後のページの男の子の願いは、最初のページの女の子へと繋がっているようで、その優しい気持ちにもほっこりします。


作者のやすいすえこさんの解説では…
子供の頃、夜道を一人で歩いていても、お月さまに勇気づけられた。大人になってから、月に向かって病気の友だちの回復を祈っていたとき、はっと気づいたそうです。
もしかしたら、自分が困難の波にのまれていたとき、自分の心身を案じ、誰かが月に祈っていてくれてたかも知れないと。
一人で困難を乗り越えたと思っていた私に、お月さまは「感謝」を教えてくれた。
そうした、心からの思いを届けてくれるお月さまに向かって、「お月さま、ありがとう」と結んでいます。
子どもだけでなく、大人にもぴったりで、絵からも文章からも癒される一冊です。
私も子供の頃、お月さまはずっと自分の後を付いてくるなぁ、と不思議に感じたのを覚えています。
昼間の明るい太陽と違って、暗い夜道を照らしてくれる優しい光のお月さま。
綺麗な月を見上げると、穏やかな気持ちになり、それが満月だとより願い事をしたくなりますよね。
この絵本から、以前ブログに紹介して、今も秋になると高学年の教室でときどき読んでいる、『アグネスさんとわたし』というカナダの絵本を思い出しました。
最後のページでの家と月の絵が、この『おつきさま』の表紙にも似ていたので。
この絵本の主人公は、カナダの先住民族の一つであるクリー族の少女で、クリー族では、10月の満月のことを「鳥の渡りの月」というのだそうです。
月が登場する小説では、かなり前に読んだ村上春樹の『1Q84』を思い出します。
主人公たちが迷い込んだ異世界には、月が2つ空に浮かんでいて、その情景を想像しながら読み、摩訶不思議な気分に駆られたのを覚えています。
その情景を実際この目で見てみたいと思いましたが、空に月が2つ出ていたら、その1つは絶対UFOだと思ってしまうな。
今夜の三日月、とても綺麗ですね♪
【追記】
この記事をUPした翌日である今朝、6年生の教室で読んだのですが、先週6年生は修学旅行で鎌倉に行ったので、北鎌倉にある「葉祥明美術館」を紹介するのにグッドタイミングでした。
絵本『へいわとせんそう』(作・谷川俊太郎/絵・Noritake)

谷川俊太郎さんの平和と戦争について、シンプルだけどとても考えさせられる絵本。こちらも、時間が余ったら読んでと同じ方が貸してくれました。
私も以前、書店で手に取り読んだことがあり、この絵本はご存じの方も多いのではと思います。
「へいわのぼく」「せんそうのぼく」というように、平和な状態と戦争状態を、見開きごとに対比させ、その違いを分かりやすく表しています。
とてもシンプルに表現されていて、しかも心に強く残る、さすが谷川俊太郎さんだと思える作品です。
「へいわのくも」は空にぷかぷか浮かぶ普通の雲。「せんそうのくも」は、原爆のきのこ雲。「へいわのまち」「せんそうのまち」と色々対比が続き、でも後半は、敵も味方も同じ人間であり、赤ちゃんの可愛らしさも全く同じ。そして、敵の国も自分の国も、朝になれば平等に日は昇る。
敵だろうが味方だろうが、個人個人は普通の人間であり、命の重さも同じなんだ。との思いを馳せたり、気づかせてくれる終わり方になっています。
こちらの絵本も子供・大人に限らず、幅広い年代に相応しく、子どもと一緒に戦争について考えるときにもぴったりの絵本だと思います。
「戦争が終わって、平和になるんじゃない。平和な毎日に戦争が侵入してくるんだ。」(この絵本に寄せての谷川俊太郎氏の言葉)
つい先日読んだ記事での、
「おかしいな、おかしいな、と思っているうちに戦争は始まってしまう。みんなで『だめなんだよ』と止めなければ。」との、元日本兵の言葉も心に残っています。