
新年、明けましておめでとうございます。
さっそく去年の話をしたいと思います。
私は12月30日から31日にかけて、高知県高岡郡四万十町大正大奈路にある「やたて旅館」に泊まっていました。

スマホからひょいっと予約できるような宿ではありません。
確か12月の頭くらいだったでしょうか、電話をすると「31日は無理だけど、30日ならなんとかするわよ」と優しいおば…お姉さんが予約を受け付けてくれました。
その時の私は「年末年始は帰省のお客で混むのかな」くらいに思っていました。
着いてみると、他にお客はいないのです。
暮れと正月はお休みにしようとしていたところ、私ひとりならと受け入れてくれたのが真相でした。
考えてみれば旅館を営業するのは大変なことです。
来るまでどんなお客かわからない、来てしまえば断るわけにもいかない。
私のことも少なからず「こんな暮れになってやってくる一人客とはどんな人なんだろう」と思っていたみたいです。
やたて旅館はスナックと商店が併設です。
スナックを見学させてもらうと、おば…お姉さんは「いい音(ね)が出る機械を入れたから、窪川や須崎のほうから歌いに来る人もいるのよ」と教えてくれました。
お客さんが来るたびに世間話をする商店の営業時間は、おそらくお姉さんが起きている時間とイコールです。
食事は高知の鰹タタキに四万十の鮎の揚げ物、「今日は寒いでしょ」と玉子を落とした湯豆腐も出してくれてお腹はいっぱいです。
なにしろここはスナックでもあるのだから、生ビールを持ってきてもらい「ナマがあるんですか!」と驚いてしまったのは失礼なことでした。
食事をした和室の広間には、菅原文太さんの写真が飾られていました。
映画の撮影でやたて旅館に滞在したことがあったそうです。
「普段は笑っててかわいいのにね、カメラを向けられると怖い顔をするんだから、損な人よね」とお姉さんは笑っていました。
生まれのこと、育ちのこと、仕事のこと、家族のこと、趣味のこと、高知の友人のこと。
お姉さんとたくさんの話をした令和6年の小晦日、私は実家にも帰らず高知の山奥で親孝行をしていました。

あと、意外ですけどWi-Fiが使えますよ。
廊下と部屋の仕切りは障子一枚の旅館です。
癖のないビジネスホテルのほうがいいという人もいるでしょう。
本来そちら側の人間なんですよ、私も。
朝食はスナックの席でとらせてもらいました。
お姉さんは一度手を振ってお別れしたのに、バスを待っているともう一度呼んでくれて、コーヒーを出してくれました。
そんじゃ、令和7年もよろしくな。
以上