
「逆賊」として歴史の闇に葬られた幕臣――小栗上野介忠順。
彼は幕末に遣米使節として渡米し、横須賀製鉄所の建設をはじめ日本の近代化を推し進めた幕臣です。
その一方、ライバルといわれる勝海舟や、幕末で人気の坂本龍馬・西郷隆盛らの陰に隠れがちな存在でもあります。
そこで本記事では、小栗忠順が登場したすべての大河ドラマ作品を紹介!
演じた俳優の一覧や、各作品での描かれ方をわかりやすく解説します!
- NHK大河ドラマで放送された小栗忠順の登場作品一覧(1967年〜2027年)
- 小栗忠順を演じた歴代俳優一覧【全6作品・6名】
- 小栗忠順が主人公として描かれた大河ドラマは?
- 大河ドラマの小栗忠順によくある質問(FAQ)
- まとめ|大河ドラマで描かれてきた「小栗忠順像」の変遷とその魅力
NHK大河ドラマで放送された小栗忠順の登場作品一覧(1967年〜2027年)

小栗忠順は、幕府の財政・外交・軍事を一手に担い、幕末の政局を語るうえで欠かせない幕臣です。
そんな小栗忠順が登場する、すべての大河ドラマと演じた俳優を表にまとめてみました。
多くの作品がNHKオンデマンドで見れるので、見返したい作品や気になる作品があればぜひ視聴してみてください。
※『三姉妹』は第19回のみ、『竜馬がゆく』は第16回のみ、『勝海舟』は総集編のみ配信中。それ以外は全話配信中。
| 作品タイトル | 放送年 | 演じた俳優 | 主人公 |
|---|---|---|---|
| 三姉妹 | 1967 | 尾上 菊蔵 | |
| 竜馬がゆく | 1968 | 安井 昌二 | |
| 勝海舟 | 1974 | 原 保美 | |
| 龍馬伝 | 2010 | 斎藤 洋介 | |
| 青天を衝け | 2021 | 武田 真治 | |
| 逆賊の幕臣 | 2027 | 松坂 桃李 | 〇 |
小栗忠順登場作品と演じた俳優の一覧
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小栗忠順を演じた歴代俳優一覧【全6作品・6名】
NHK大河ドラマで小栗忠順が登場した作品は、前述の表のとおり6作品。
演じた俳優も6名です。
では6作品で演じた俳優が、どのような小栗忠順像を作り上げてきたのか、見ていきましょう。
複数回、小栗忠順を演じた俳優
大河ドラマで、小栗忠順を複数回にわたって演じた俳優はいません。
6作品すべてで異なる俳優が起用されています。
大河ドラマでは、同じ俳優が同じ役を複数回演じるケースはごく稀です。
※織田信長、豊臣秀吉、石田三成くらい。
「この俳優の小栗忠順がよかった、もう一度演じてほしい」と思うことありますよね。
しかし、作品ごとに異なる俳優が演じることで、さまざまな小栗忠順像を楽しめます。
これもまた、大河ドラマの醍醐味のひとつではないでしょうか。
小栗忠順を1度だけ演じた俳優一覧
小栗忠順を1度だけ演じた各俳優の代表作や特徴を、以下にまとめてみました。
| 俳優 | 作品タイトル | 放送年 | 代表作・特徴 |
|---|---|---|---|
| 尾上 菊蔵 | 三姉妹 | 1967 | 歌舞伎俳優として活躍。 大河ドラマ初期の幕末作品に出演 |
| 安井 昌二 | 竜馬がゆく | 1968 | 映画『ビルマの竪琴』の水島上等兵役で知られる。 大河ドラマには4作品に出演 |
| 原 保美 | 勝海舟 | 1974 | テレビ草創期から活躍した俳優で、 時代劇や刑事ドラマに多数出演 |
| 斎藤 洋介 | 龍馬伝 | 2010 | 『1年B組新八先生』の教師役など出演多数の名脇役 大河ドラマは6作品に出演し、 『功名が辻』では黒田如水役を演じた |
| 武田 真治 | 青天を衝け | 2021 | サックス奏者としても活躍する多才な俳優。 俳優としては『NIGHT HEAD』で注目を集め、 映画『御法度』でブルーリボン賞助演男優賞を受賞。 NHKの『みんなで筋肉体操』でも有名? |
| 松坂 桃李 | 逆賊の幕臣 | 2027 | 『侍戦隊シンケンジャー』のシンケンレッドでデビュー。 その後『孤狼の血』シリーズや『流浪の月』など話題作に多数出演。 大河ドラマは『軍師官兵衛』で黒田長政役を演じて以来3作品に出演し、『逆賊の幕臣』で初の主演! |
小栗忠順を演じた俳優と代表作・特徴
個人的には、2021年の『青天を衝け』で小栗忠順を演じた武田真治さんが印象に残っています。
切れ長の目の武田真治さんが、小栗忠順の聡明さを彷彿させるとともに、ちょっと変わり者の幕臣として描かれていたのが好感を持てました。
2027年の『逆賊の幕臣』を見たら、松坂 桃李さんが一番になっているかもしれませんが!
ちなみに武田真治さんは、『青天を衝け』(2021年)に続き、NHKスペシャル・ドキュメンタリードラマ『新・幕末史 グローバル・ヒストリー』(2022年)でも小栗忠順を演じました。
新・幕末史 グローバル・ヒストリーを観る
幼少期・青年期で俳優が分かれるケース
小栗忠順の場合、幼少期や青年期で俳優が分かれるケースは、これまで一度もありません。
それもそのはず。
大河ドラマで登場する際、すでに幕府の要職についてからの登場なので。
ただし、2027年の『逆賊の幕臣』では主人公なので、幼少期や青年期が描かれる可能性が高いです。
今後のキャスト発表で、子役や青年期の俳優が追加されるかもしれません。
俳優ごとの起用傾向と演技スタイル

小栗忠順は、幕府の要職を歴任し、外国との交渉や財政再建を手掛けた人です。
古い慣例にとらわれることなく、西洋の技術を取り入れることにも積極的でした。
その一方で、相手が上司でも容赦なく直言する、物怖じしない性格の持ち主でもありました。
※その結果、70回罷免されるが、代わりがいないので毎回すぐに呼び戻されたらしい。
大政奉還後も徹底抗戦を主張するなど、最後まで自説を曲げない信念の人でもあります。
これらの点を踏まえると、聡明さだけでなく、ちょっとクセのある(人によっては煙たがられる)面もうまく表現してくれる――そんな俳優が選ばれるのではないでしょうか。
小栗忠順が主人公として描かれた大河ドラマは?
小栗忠順が主人公として描かれる大河ドラマは、2027年放送の『逆賊の幕臣』が初めてです。
主人公作品は『逆賊の幕臣』のみですが、個人的に印象に残った小栗忠順登場作品もあわせて紹介します。
『青天を衝け』(2021年)|一本のネジで語った近代化への情熱
『青天を衝け』は、2021年に放送されたNHK大河ドラマ第60作で、「日本資本主義の父」渋沢栄一(演:吉沢亮)を主人公とした作品です。
この作品では、武田真治さんが小栗忠順を演じました。
本作での小栗は、アメリカの造船所から持ち帰った一本のネジを、西洋との技術格差の象徴として、常に手元に置いている人物として描かれています。
そのネジを主人公・渋沢栄一に見せつけ、日本の近代化への情熱を語るシーンは、小栗忠順の先見性と信念を端的に表現した名場面でした。
パリ万博に向かう栄一にフランスからの借款交渉を託すなど、「日本経済の父」と呼ばれる栄一の人生に大きな影響を与えた存在として描かれています。
『逆賊の幕臣』(2027年)|初の小栗忠順主人公作品
『逆賊の幕臣』は、2027年に放送予定のNHK大河ドラマ第66作で、松坂桃李さんが小栗忠順を演じます。
脚本は、ドラマ『きのう何食べた?』や連続テレビ小説『おかえりモネ』で知られる安達奈緒子さん。
物語は、万延元年(1860年)に日本初の遣米使節としてアメリカに渡るところから始まります。
西洋文明を目の当たりにした小栗が近代国家づくりに邁進し、やがて明治新政府に「逆賊」として葬られるまでが描かれます。
勝海舟(演:大沢たかお)との対立と協調の関係が、物語の大きな軸になりそうです。
大河ドラマの小栗忠順によくある質問(FAQ)
大河ドラマに登場する小栗忠順に関して、よくある質問をまとめてみました。
大河ドラマ『逆賊の幕臣』(2027年)のキャストを知りたい
現時点で発表されている主なキャストは以下のとおりです。
| 登場人物 | 俳優 | 備考 |
|---|---|---|
| 小栗忠順 | 松坂 桃李 | 主人公 |
| 勝海舟 | 大沢 たかお | 小栗のライバル |
| くに(母) | 鈴木 京香 | 小栗家の太陽的存在 |
| みち(妻) | 上白石 萌音 | 記録好きのオタク気質 |
| 小栗忠高(父) | 北村 有起哉 | 温厚な婿養子 |
| 井伊直弼 | 岡部 たかし | 小栗を見出した大老 |
| 安積艮斎 | 中村 雅俊 | 小栗の儒学の師 |
NHK大河ドラマ『逆賊の幕臣』の主なキャスト一覧(2026年2月時点)
まだすべてのキャストが発表されているわけではなく、今後随時発表される見込みです。
最新情報はNHK公式サイトでチェックしてみてください。
小栗忠順は何をした人?
小栗忠順は、文政10年(1827年)に江戸・神田駿河台で生まれた幕臣です。
2,500石の名門旗本の家に生まれ、4人の将軍(家慶・家定・家茂・慶喜)に仕えました。
安政7年(1860年)、日米修好通商条約の批准のため遣米使節として渡米。
フィラデルフィアの造幣局での通貨交渉では、アメリカ政府相手に粘り強く交渉を展開し、日本人の評価を高めたと伝えられています。
帰国後は勘定奉行、江戸町奉行、外国奉行、陸軍奉行、軍艦奉行など幕府の要職を歴任。
横須賀製鉄所(のちの横須賀海軍工廠)の建設を実現し、フランスの協力を得た洋式軍隊の整備や日本初の株式会社設立など、幕府側から日本の近代化を推し進めました。
明治の政治家・大隈重信が、
「明治政府の近代化政策のほとんどは小栗の模倣だった」
と語ったとされるほどの傑物です。
小栗上野介はなぜ斬首されたのですか?
慶応4年(1868年)、大政奉還後に徹底抗戦を主張した小栗忠順。
将軍・徳川慶喜に容れられず罷免され、領地の上野国権田村(現在の群馬県高崎市倉渕町)に隠棲しました。
しかし、新政府軍から「軍資金を江戸城から持ち出して反乱を企てている」という根拠不明の嫌疑をかけられます。
小栗は恭順の意を示し、武装解除にも応じていました。
しかし、東山道総督府により捕縛され、まともな取り調べもないまま翌日に斬首されました(享年42歳)。
この不可解な処刑は「徳川埋蔵金伝説」とも絡み、現在に至るまで議論が続いています。
終焉の地には、
「偉人 小栗上野介 罪なくして此所に斬らる」
と刻まれた顕彰慰霊碑が建てられています。
小栗忠順の家紋は?
小栗家の家紋は、慶応3年の『大成武鑑』によると「丸に立浪」とされています。
小栗家は清和源氏義家流で、戦国時代に松平家から分かれ、徳川家康に仕えた古参の旗本。
代々「又一」の通称を継承し、2,500石の旗本として幕府に仕えてきた名門です。
小栗上野介の子孫は?
小栗上野介の玄孫(やしゃご=ひ孫の子)として知られているのが、漫画家の小栗かずまたさんです。
本名は小栗又一郎。代々の通称「又一」の名を受け継いでいます。
『週刊少年ジャンプ』で連載された『花さか天使テンテンくん』の作者として知られ、2005年には「よこすか開国祭」で小栗上野介をモチーフにしたキャラクター「オグリン」もデザインしています。
2027年の大河ドラマ化が発表された際には、
「ひいひいおじいちゃんが大河ドラマになるとは信じられません」
とSNSで喜びを語り、話題になりました。
また、元格闘家の武蔵さんも小栗上野介の親戚筋にあたるとされています。
小栗上野介がどんな人物かを知るのにおすすめの小説や書籍は?
小栗上野介を知るうえで、特におすすめの本は以下の3冊です。
『逆賊の幕臣』が始まるまでの予習用にぜひ。
佐藤雫『覚悟の人 小栗上野介忠順伝』(角川文庫、2026年)
直木賞作家・佐藤雅美による歴史ドキュメント小説です。
小栗自身が残した日記や家計簿をもとに、外交交渉や財政再建に奔走した幕臣の姿を精緻に描いています。
幕末の動きを「幕臣の目線」で追える点が最大の魅力で、横浜開港時の通貨問題や対米外交の実態など、薩長中心の維新史観とはまったく違う幕末の姿が見えてきます。
童門冬二『小説 小栗上野介 日本の近代化を仕掛けた男』上下巻(集英社文庫、2025年)
ペリー来航から遣米使節としての渡航、横須賀製鉄所の建設、そして権田村での悲劇的な最期まで、小栗の生涯を一気に読める歴史長編です。
2025年に上下巻として文庫化された際に、小説家・木内昇による鑑賞と榎本秋による年譜が新たに付録として加わり、大河ドラマの予習としても最適な一冊に仕上がっています。
村上泰賢『小栗上野介』(平凡社新書)
小栗家の菩提寺・東善寺の住職であり、小栗上野介研究の第一人者でもある村上泰賢氏による評伝です。
遣米使節として渡米した際の様子から、帰国後の諸改革、そして斬首に至るまでの9年間を、収集した一次資料にもとづいて丁寧に解説しています。
小栗の最期のあと、残された夫人・道子が村人に守られながら会津へ逃れたエピソードは胸を打ちます。
まとめ|大河ドラマで描かれてきた「小栗忠順像」の変遷とその魅力
小栗忠順の大河ドラマ登場は6作品。
脇役としての出番にとどまり、幕末の人気人物の陰に隠れがちな存在でした。
しかし、近年の幕府再評価の流れもあり、小栗忠順という人物の面白さが見直されつつあります。
幕末の近代化を推し進めながら、「逆賊」として命を落とした数奇な運命。
今後の大河ドラマで、どんな小栗忠順像が描かれていくのか楽しみです。
そして次の小栗忠順は、だれが演じることになるのか!?
では今回はこの辺で。
ここまで読んでいただきありがとうございました!