
本能寺の変で織田信長を討った明智光秀。
日本史上最大のミステリーの首謀者は、NHK大河ドラマでどのように描かれてきたのでしょうか。
冷徹な謀反人?苦悩する知将?それとも理想に燃える革命家?
時代とともに変化してきた光秀像の全貌を、作品と俳優の視点から徹底解説します!
- NHK大河ドラマで放送された明智光秀の登場作品一覧(1965年〜2026年)
- 明智光秀を演じた歴代俳優一覧【全18作品・19名】
- 明智光秀が主人公として描かれた大河ドラマは?
- 大河ドラマの明智光秀によくある質問(FAQ)
- まとめ|大河ドラマで描かれてきた「明智光秀像」の変遷とその魅力
NHK大河ドラマで放送された明智光秀の登場作品一覧(1965年〜2026年)

大河ドラマは、1965年の『太閤記』から始まり、実に60年以上にわたって続いています。
明智光秀は、長い大河ドラマの歴史のなかで数多く登場しています。
それもそのはず。
なにしろ織田信長の天下統一を阻止した「謀叛人」。
戦国時代を扱う作品なら、登場させないわけにはいかない重要人物のひとりです。
ただ、謀叛人という肩書上、主人公にはなりにくい人物でもありました、が――。
2020年の『麒麟がくる』で遂に主人公として採用されました。
主人公かどうかは別としても、明智光秀が起こした本能寺の変は、多くの説が飛び交う日本史上最大のミステリーです。
そこに至るまでどのような経緯をたどり、最終的にどのように描かれるのか。
つい注目してしまいますよね。
脚本家や当時の解釈の仕方によって様々な立場で描かれた明智光秀。
そんな明智光秀が登場する、すべての大河ドラマと演じた俳優を表にまとめてみました。
多くの作品がNHKオンデマンドで見れるので、見返したい作品や気になる作品があればぜひ視聴してみてください。
| 作品タイトル | 放送年 | 演じた俳優 | 主人公 |
|---|---|---|---|
| 太閤記 | 1965 | 佐藤 慶 | |
| 国盗り物語 | 1973 | 近藤 正臣 | |
| 黄金の日日 | 1978 | 内藤 武敏 | |
| おんな太閤記 | 1981 | 石濱 朗 | |
| 徳川家康 | 1983 | 寺田 農 | |
| 春日局 | 1989 | 五木 ひろし | |
| 信長 KING OF ZIPANGU |
1992 | マイケル 富岡 | |
| 秀吉 | 1996 | 村上 弘明 | |
| 利家とまつ 〜加賀百万石物語〜 |
2002 | 萩原 健一 | |
| 功名が辻 | 2006 | 坂東 三津五郎 | |
| 天地人 | 2009 | 鶴見 辰吾 | |
| 江〜姫たちの戦国〜 | 2011 | 市村 正親 | |
| 軍師官兵衛 | 2014 | 春風亭 小朝 | |
| 真田丸 | 2016 | 岩下 尚史 | |
| おんな城主 直虎 | 2017 | 光石 研 | |
| 麒麟がくる | 2020 | 長谷川 博己 | 〇 |
| 五十嵐 陽向(幼少期) | |||
| どうする家康 | 2023 | 酒向 芳 | |
| 豊臣兄弟! | 2026 | 要 潤 |
表1:明智光秀登場作品と演じた俳優の一覧
大河ドラマを観る
明智光秀を演じた歴代俳優一覧【全18作品・19名】
NHK大河ドラマで明智光秀が登場した作品は、全部で18作品。
NHK大河ドラマは、2027年の『逆賊の幕臣』が66作品目にあたるので、全作品の4分の1以上に明智光秀が登場していることになります!
また、明智光秀を演じた俳優は、幼少期などの子役もふくめると総勢19名です。
初代の佐藤慶さんから最新の要潤さんまで、実力派俳優から個性派、さらには歌手や落語家まで。
実に多彩な顔ぶれが光秀を演じ、特に近年では意外性のあるキャスティングも話題となりました。
それぞれの俳優がどのような光秀像を作り上げてきたのか。
出演作品とともに見ていきましょう。
複数回、明智光秀を演じた俳優
大河ドラマで明智光秀を複数回にわたって演じた俳優は、現時点では存在しません。
過去には、織田信長を高橋幸治さんが複数回演じたり、1996年の『秀吉』で豊臣秀吉を演じた竹中直人さんが、2014年の『軍師官兵衛』でも同じく秀吉役を演じたことがあります。
ただ織田信長も豊臣秀吉も、一定のイメージがすでに定着している人物で、そのイメージとピッタリな俳優さんであったからではないかと考えています。
今後、光秀も複数回起用される俳優が現れるかもしれませんが、新しい作品と過去作人登場した明智光秀が、同じような人物像で描かれている場合に限られそうです。
そう考えると、本能寺の変への経緯が諸説ある明智光秀の場合、同じ俳優さんが演じる可能性は低い気がしています。
ただし、各俳優がそれぞれ異なる解釈で光秀を演じることで、作品ごとに新鮮な光秀像が生まれているとも言えます。
これはこれで、大河ドラマの醍醐味のひとつと言えるのではないでしょうか。
明智光秀を1度だけ演じた俳優一覧
これまでに明智光秀を演じた19名の俳優は、すべて1作品のみでの起用となっています。
視聴者の印象に強く残る明智光秀として挙げられることが多いのは3人。
近藤正臣さんの「悩める光秀」(『国盗り物語』1973年)、萩原健一さんの「狂気の光秀」(『利家とまつ〜加賀百万石物語〜』2002年)、そして長谷川博己さんの「熱血漢の光秀」(『麒麟がくる』2020年)です。
また、五木ひろしさん(歌手)、春風亭小朝さん(落語家)、岩下尚史さん(歴史作家)など、俳優以外の分野から起用された例もあり、大河ドラマならではの話題性を生み出しました。
幼少期・青年期で俳優が分かれるケース
明智光秀の人生を丁寧に描く大河ドラマでは、幼少期から壮年期までを異なる俳優が演じることがあります。
『麒麟がくる』では、光秀の幼少期を五十嵐陽向さんが回想シーンで演じ、成長後の姿は長谷川博己さんが演じました。
光秀の場合、織田信長や徳川家康と異なり、前半生は不明です。
主人公にでもならない限り、幼少期から描かれることはまずありません。
『麒麟がくる』で主人公になったばかりなので、2回目の主人公は当面なさそうです。
俳優ごとの起用傾向と演技スタイル

初期の作品では、佐藤慶さんや近藤正臣さんなど、正統派の俳優が知的で冷静な光秀を演じることが多かったようです。
2000年代以降になると、萩原健一さんのような個性派俳優や、春風亭小朝さん、岩下尚史さんなど異色のキャスティングも増え、より多様な光秀像が描かれるようになりました。
また、マイケル富岡さんのようにアメリカ国籍を持つ俳優が起用されたり、五木ひろしさんのような歌手が演じたりと、話題性のあるキャスティングが多いのも明智光秀役の特徴かもしれません。
明智光秀が主人公として描かれた大河ドラマは?
明智光秀が主人公として描かれた作品は、いまのところたったひとつ。
どのような作品で、どのような家康像が描かれたのかを見ていきましょう。
『麒麟がくる』(2020年)|明智光秀初の主人公作品
『麒麟がくる』は、2020年1月19日から2021年2月7日まで放送されたNHK大河ドラマ第59作で、明智光秀の生涯を初めて主人公として描いた作品です。
長谷川博己さんが演じる光秀は、美濃の名門・土岐氏の流れをくむ明智家の若武者として登場し、斎藤道三に仕える家臣として描かれました。
回想シーンのみですが、父・光綱(演:尾関伸次)も登場し、光秀の考える天下静謐(せいひつ)に大きな影響を与えています。
従来の「謀反人」としてのイメージを覆し、平和な世を願い、理想を追求する人間味あふれる光秀像が印象的でした。
タイトルの「麒麟」は、仁政を行う王のもとに現れるとされる伝説の動物に由来し、光秀が理想とした平和な世への願いが込められています。
※光秀がときに「麒麟児」と呼ばれることにも関連していそうですが。
残念なのは、コロナ禍真っ最中の放送であったことです。
不要不急の外出を控えねばならない状況での撮影は、かなりむずかしかったはず。
放送を中断した時期もあり、未完のまま打ち切りの可能性が噂になったこともあります。
中断の影響もあり、最終回は2021年2月7日で、史上初めて2月に放送を終了した大河ドラマとなりました。
主役級の扱いを受けた作品
明智光秀は、天下の趨勢をひっくり返した人物なので、主人公ではなくとも、主役級の扱いで描かれることがあります。
たとえば『国盗り物語』(1973年)。
近藤正臣さんが光秀を演じ、前半の主人公・斎藤道三(平幹二朗)から後半の主人公・織田信長(高橋英樹)へとバトンをつなぐ重要な役割を担いました。
信長の理不尽な振る舞いに耐える冷静な人物として描かれ、この「悩める光秀像」は後の作品にも大きな影響を与えたようです。
また『秀吉』(1996年)では、村上弘明さん演じる光秀が、竹中直人さん演じる秀吉、渡哲也さん演じる信長に次ぐ準主役級の扱いを受けました。
浪人時代から登場し、信長に仕える知将として、そして最後は本能寺の変を起こすまでの苦悩が詳細に描かれました。
特に、本能寺の変へ至る経緯は、領地替えや母の死も伏線にしつつ、家康と千利休もそこに絡む説を採用しています。
本能寺の変の理由を明確にし、視聴者に納得感を与えるストーリーに仕上がっている印象です。
大河ドラマの明智光秀によくある質問(FAQ)
大河ドラマに登場する明智光秀に関して、よくある質問をまとめてみました。
明智光秀が初めて登場した大河ドラマは?
明智光秀が初めて大河ドラマに登場したのは、1965年の『太閤記』です。
大河ドラマ第3作目となるこの作品で、佐藤慶さんが光秀を演じました。
物静かで知的な雰囲気を持った人物として描かれ、初代光秀としてふさわしい役柄だったと評価されています。
現存している映像は第42回「本能寺」のみですが、期間平均視聴率31.2%という高視聴率を記録しています。
明智光秀が登場した大河ドラマの歴代最高傑作は?
視聴率の観点から見ると、1989年の『春日局』が期間平均視聴率32.4%、最高視聴率39.2%を記録し、光秀登場作品の中で最高の数字を記録しています。
五木ひろしさんが光秀を演じたこの作品は、歌手の起用という話題性もあったようです。
ただし、視聴率だけで作品の価値を判断することはできません。
『国盗り物語』(1973年)の近藤正臣さんや『麒麟がくる』(2020年)の長谷川博己さんなど、それぞれの時代で話題となった作品があります。
最高傑作は、当時の視聴者がどう思うかによって揺れるところで、一概には言えないでしょう。
個人的には、『麒麟がくる』の)推しです!
十兵衛(光秀の通称)も良かったんですが、前半の主役級扱いだった斎藤道三(演:本木雅弘)が最高すぎました!
『麒麟がくる』で川口春奈が代役になったのはなぜ?
『麒麟がくる』では当初、沢尻エリカさんが帰蝶(濃姫)役で出演予定でした。
ところが、2019年11月に薬物事件により降板。
急遽代役として川口春奈さんが起用され、撮影済みのシーンをすべて撮り直すという異例の対応がとられました。
川口春奈さんは短期間での準備にもかかわらず、気品と芯の強さを併せ持つ帰蝶を、見事に演じきり、作品に欠かせない存在に。
マイナスイメージからのスタートとなった『麒麟がくる』を、川口春奈さんの好演によりプラスに転じさせた、といっても過言ではありません。
明智光秀が登場した大河ドラマで視聴率がワーストだったのは?
明智光秀が登場した大河ドラマで最も視聴率が低かったのは、2023年の『どうする家康』で、期間平均視聴率11.2%でした。
酒向芳さんが光秀を演じたこの作品は、初回視聴率15.4%でスタートしたものの、大河ドラマ全体の中でも低視聴率の部類に入りました。
次いで『おんな城主 直虎』(2017年)が期間平均12.8%、『麒麟がくる』(2020年)が14.4%と、近年の作品が低視聴率となっています。
ただし、視聴率だけで作品の価値を判断できない時代です。
配信視聴や録画視聴が増えた現代では、数字以外の評価も重要。
SNSでの盛り上がり具合をみると、視聴率はひとつの目安でしかないと考えています。
小栗旬が大河ドラマで明智光秀役を演じたことはありますか?
小栗旬さんが大河ドラマで明智光秀を演じたことはありません。
小栗旬さんの大河ドラマ出演歴は、『天地人』(2009年)の石田三成役や『鎌倉殿の13人』(2022年)の北条義時役など、数々の重要な役柄を演じてきました。
そして2026年の『豊臣兄弟!』では、明智光秀に討たれる織田信長役を演じます。
『豊臣兄弟!』も含めると、10作品で出演歴がある小栗旬さんなので、今後明智光秀を演じることもあるかもしれません。
大河ドラマで小栗旬さんが演じた作品は、以下の記事でまとめているので、参考にどうぞ!
まとめ|大河ドラマで描かれてきた「明智光秀像」の変遷とその魅力
NHK大河ドラマでの明智光秀の描かれ方は、時代とともに変化してきました。
単なる謀叛人ではなく、「悩める知将」「狂気の光秀」「理想主義者」など人間味があふれる存在として描かれています。
明智光秀は前半生が不明なうえ、本能寺の変も、なぜ起こしたのか正確にわかっていません。
本能寺の動機をどう解釈するかで、まったく異なる人物像に仕上がります。
それが視聴者・制作者双方にとって魅力的で、物語を動かす力を持った象徴的存在になるのでしょう。
次の明智光秀は、だれが演じることになるのか!?
2026年『豊臣兄弟!』では要潤さんが光秀を演じますが、その後はどんな俳優が、どんな光秀像を見せてくれるのか楽しみです。
では今回はこの辺で。
ここまで読んでいただきありがとうございました!