この本が好きだ。
ということを書きたいと思いながら、どう書いたら伝わるか分からずに1週間が過ぎていた。
コミティアで、買うのを楽しみにしていた本で、読んで「ああ買って良かった」と心の底から思った。
だけど、言語化すると、ほんの少しズレるような気がしてこの感覚ってなんなんだ、と思いながら手帳に好きだったシーンや印象的だった言葉なんかを書き出してみるけど、それでもやっぱりちょっと形にはならない。
だったら感想を書くのを諦めるか、というのも一つの選択だと思うけど、それが私は嫌なのだ。
この本を「面白い」と思った、読んで良かった、と思ったことは誰かに伝えたいと思う。伝えずに自分の中だけで終わらせたくない。そう思う熱量のようなものが、この「くたばれWebライター」にはある。
この漫画の作者であるたかやさん自身もWebライターではあるけど、あくまでこの物語はフィクションで特定のモデルはいない。
主人公も作者によく似た人物、とされてはいるけど、全部がイコールってわけではないんだろう。
この漫画の中で、Webライターバカヤは、Uber的なデリバリーと兼業しながら記事を書く。なかなか自分が望むような現状にはいないながら、売れていく後輩への嫉妬やその嫉妬を抱く自分に猛烈に腹を立てる、そんなシーンがある。
悔しさやいわゆるルサンチマン的なものに焼かれるような表現があるんだけど、その中でも彼は最終的にいつも自分にも腹を立てる。なんで自分の才能に気付かないんだ、と言いながら努力をしたのかと自分に問い掛けて、誰かを妬んだ自分の性根を嫌悪する。
他への負のパワーと、それ以上に自分に向く怒り。でもその根底に「面白いものを書きたい」という感情がある。
でも、ここがまた、難しくて愛おしいな、と思うところなんだけど。このことについて作中、印象的な言葉があった。
「記事を書いてウケたい」と「ウケる記事を書きたい」は似ているようでまったく違う
分かる、とも思うし、趣味でしか文を書いていない私がおいそれと分かる、と言っていいのか迷いもする。だけど、私はこの一文に強烈にああ、この本が好きだ、と思う。
自分がやりたいことがやれたらいい、じゃない。
自分の面白さを分かる人だけが分かればいいなんていう物分かりの良さそうなことでもない。
誰か、いや、たくさんの人が、自分の「面白い」を理解して欲しい、伝わって欲しい。
そうあんな熱量で思うこと、表現できることが、私はたまらなく最高に好きだったのだ。
自分は、本物じゃないかもしれない。
圧倒的な本物は世界中にごろごろいてしかもそれが、手の届かない誰かじゃなくて自分のよく知る誰かだったら。その絶望と悔しさがこの漫画の中で、物凄く描かれていたと思う。だけど、それだけ悔しいのってたぶん、伝えたいからだ。自分の書きたい、だって、書いたものだって誰かに伝わると信じたい、期待したいから、絶望するのだ。
この感想を書くために何度も読み返して、何度読み返しても、あのデリバリーのシーンになんとも言えないような気持ちになる。
伝わったら良いな、と思う。
だったら、この感情も、伝わったらいいな。
作中、Webコンテンツはいつかなくなるかもしれない、というシーンがある。そうかもしれない。
だけど、私は、何度も、そんな「なくなるかもしれない」記事で笑ってきた。笑って、ああ良かったな、と思ってきた。なんでもないくだらない時間だったけど、そのくだらないは私にとって食べ物と同じくらいに生きる糧になったのだ。
全ての燻るひとに、と書かれた紹介文にああ、そうかも、と思う。これ、Webライターの話ではあるんだけど、伝わってくれよ、と思ったことのある、そういう人には、絶対刺さると思うんだ。少なくとも私には刺さった。刺さって、大事にしたいと思ってる。
そうか、そうかも。だから、伝わるか分からなくても、感想が書きたかったんだ。
あとがきに書かれていたように荒いところもたくさんあるようにも感じた。だけど、本当に、私はこの本を初期バージョンで、しかも紙で買えて良かった、と心の底から思ってる。買えて良かったし、これからも何回も読み返すと思う。
それはそれもしてもっとブラッシュアップさせたい、という思いが表現するものも見てみたい気がするから、それが見られる日も、本当に楽しみなんだ。
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