三角関数は、有名角(たとえば )での値についてはよく知られていて、高校数学でも教わるかと思います。
今回は、高校数学ではあまり習わない
について、3通りの方法 で計算してみたいと思います。

異なる方法で計算してみることで、いろいろな視点が得られるのを楽しもうという趣旨の記事です。
1. 2倍角・3倍角公式を用いた計算
とします。
すると、 なので
が成り立ちます。両辺に を適用すると
であり、 より
が成り立ちます。
ここで2倍角・3倍角の公式より
であり、両辺 で割ると
が成り立ちます。 より
であり、両辺整理すると
となり、 が2次方程式
の解の一つであることが分かります。
2次方程式の解の公式より
が方程式の解となります。このいずれかが に一致しますが、
より
が得られました。
また、2倍角の公式により
が得られました。
倍角公式などの式を通して代数的な関係式を得ることで、具体的な値を計算によって得ることができるというわけですね。これは有名角の三角比に共通していえることかなと思います。
2. 1の原始5乗根を用いた計算
最初の解法は倍角公式によって代数的な関係式を得て、そこから計算を進めていました。純粋に代数的な解法はできないかと思って考えたのが次の解法です。
1の原始5乗根 を用いて
を計算します。
ここで です。

は1の原始5乗根であるため
を満たす。以降して因数分解すると
となりますが、 であるため
を満たします。
ここで、両辺を で割ると
より、整理すると
となります。
また、 なので、先の等式は
と置き換えることができます。
上の等式は が2次方程式
の解であることを意味しています。
2次方程式を解くと
ですが、 より
が得られます。
また
であることと、 であることを思い出すと
となり
が得られます。
3. 二等辺三角形を用いた幾何的な計算
3つめの方法は図形的な対称性を活用した解法です。
次の図のような角度72°・72°・36°を持つ二等辺三角形 を用いた計算です。

これは正五角形の1つの頂点から出る2本の対角線を結んで作られる三角形です。正五角形の一辺の長さを とし、対角線の長さを
とします。
(正五角形の対称性を利用した解法と言えますね。)

ここで、以下のように辺 上に
となるように頂点
を置きます。すると、小さい三角形
と元の三角形
は相似となります。

したがって、相似図形の辺の比から
が得られます。よって
から
が得られます。この二次方程式を解くと
となりますが、 より
です。1辺の長さが1の正五角形の対角線が「黄金比」であることを示しています。
さて、頂点 から辺
へと下ろした垂線の足を
とすると、直角三角形
が得られます。

ここで
となり
が得られました。
また、頂点 から辺
へと下ろした垂線の足を
とすると、直角三角形
が得られます。

ここで
となり
が得られました。
おわりに
今回は、 や
の値を、3通りの方法で計算してみました。
有名角の三角関数の値が、どうしてこんなにきれいな形になるのか、前から不思議に思っていました。
解析的に見ると、三角関数はテイラー展開によって無限級数で表される関数です。そんな関数の特殊値がきれいに代数的な数になるというのは、直感的にはちょっと不思議ですよね。
実際には、その裏に幾何的な対称性があって、そこから代数的な関係式が引き出されるというわけです。今回紹介した三つの方法も、どれもその構造が見える計算になっていました。
やっぱり数学は面白いなあ、と思います。
みなさんもよかったら色々考えてみてください!
それでは今日はこの辺で!