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JR、鉄道開業150年。全4368駅の硬券入場券セットや記念旅行商品などキャンペーン展開「貨物も含めたJRグループ全体で感謝を伝えたい」
2022年3月3日 00:00
- 2022年3月2日 実施
JRグループは3月2日、「鉄道開業150年記念キャンペーン」に関する共同記者説明会を実施した。
キャンペーンの背景
日本で初めてとなる鉄道が正式に新橋~横浜間で開業したのは1872年10月14日(営業運行は翌日から。なお、これより先に仮運行は行なわれていた)で、2022年はそれから150年目にあたる。ちなみに、このときの横浜駅とは、現在の桜木町駅(根岸線)のことである。
これを受けてJRグループでは、150周年を記念する「鉄道の利用を楽しんでいただけるキャンペーン」を実施する。その主眼は、「感謝の気持ちを伝える」ことにあるという。集客目標のような数値目標を設定するわけではなく、「キャンペーンをきっかけにして鉄道を利用してもらいたい」という考えだ。
JRグループ各社が共同で行なうキャンペーンとしては、特定の地域にフォーカスした「デスティネーションキャンペーン」(DC)がある。しかし150周年記念キャンペーンは形が異なり、「150周年」という共通の旗印を掲げて、グループ全体での取り組みと各社ごとの取り組みをミックスする形となった。
もともと、JRグループは以前から「会いたいをのせて」キャンペーンを展開している。今回のキャンペーンのキャッチコピー「会おう」は、その延長線上にあるともいえる。
アニバーサリーが集中する年
なお、2022年は「鉄道開業150年」だけでなく、さまざまなアニバーサリーが集中する年でもある。
JR東日本: 東北新幹線と上越新幹線の40周年、山形新幹線の30周年、秋田新幹線と北陸新幹線の25周年、東北新幹線八戸延長開業の20周年
JR東海: 「のぞみ」運転開始30周年
JR西日本: 山陽新幹線岡山開業50周年
JR四国: 特急「しおかぜ」「南風」運転開始50周年
さらにJR九州では、9月23日に西九州新幹線(武雄温泉~長崎間)の開業を控えている。こうしたイベントも、150周年記念キャンペーンとリンクすることになる。
全駅記念入場券セットや150周年記念旅行商品
では、「鉄道150周年記念キャンペーン」として、具体的に何が行なわれるのか。そのポータルとなるのが、「鉄道開業150年 キャンペーン特設サイト」である(4月1日からスタート)。それとは別に、交通新聞社が運営する鉄道・旅行情報サイト「トレたび」にも特設ページが開設されており、こちらはすでに稼働している。
キャンペーンで行なわれるイベントとしては、「150周年記念旅行商品の発売」「スマートフォンによるデジタル版駅スタンプ」「駅を舞台とするサウンド・ストーリーの配信」「全駅記念入場券セットの販売」を挙げている。
サウンド・ストーリーの対象になる駅は、「各社とも、これを機に訪れていただきたい場所を選んだ」とのこと。
最初に対象となる9駅は、新函館北斗(北海道、函館本線・北海道新幹線)、桜木町(神奈川県、根岸線)、軽井沢(長野県、北陸新幹線・しなの鉄道)、高山(岐阜県、高山本線)、三島(静岡県、東海道本線・東海道新幹線・伊豆箱根鉄道駿豆線)、大阪(大阪府、東海道本線)、岡山(岡山県、山陽本線・吉備線・宇野線・津山線・岡山電気軌道)、下灘(愛媛県、予讃線)、門司港(福岡県、鹿児島本線)。このうち下灘駅はいうまでもなく、近年、SNS映えするポイントとして有名になった場所である。秋に、もう9駅が加わる予定。
全駅入場券セットの価格は70万円、250セットの限定販売で、受付のためのWebサイトは4月1日に立ち上がる。ただし、申し込み受付の開始は5月中旬となっており、現時点では日付は確定していない。ネット受付のみで、電話や郵送による受付はない。申し込みが限定数を上回った場合には抽選となる。発送は、「鉄道の日」である10月14日以降となる。
各社ごとの取り組み
ここまではJRグループ全体としての共通キャンペーンだが、以下に各社ごとの取り組みについても紹介する。
JRグループ全体として感謝を伝えたい
JR東日本の宮田氏は、「鉄道の利用を楽しむという観点から、旅客会社がメインのキャンペーンになっている。しかし、貨物も含めたJRグループ全体として感謝を伝えたいというスタンスは同じ。連携して取り組みたい」と語っていた。また、同じ鉄道であるから、民鉄各社との連携も図りたいという。
なお、日本一周あるいは日本縦断のような特別列車を運行する計画はないとのこと。企画としてはおもしろいが、どの車両を使うか、そもそも物理的に運行は可能なのか、といったことを考えると、確かに意外とハードルは高そうだ。