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地上50m手すりなしの「FUJIYAMA ウォーク」を一足早く体験してみた! 富士急ハイランドに「FUJIYAMAタワー」が7月21日オープン
2021年7月19日 12:48
- 2021年7月21日 オープン
富士急行は、富士急ハイランドに新施設「FUJIYAMAタワー」を7月21日にオープンする。
FUJIYAMAタワーは、展望台の「FUJIYAMA スカイデッキ」、吹きさらしの通路を歩く「FUJIYAMA ウォーク」、55mの高さから滑り落ちるチューブ型スライダー「FUJIYAMA スライダー」(開業日未定)で構成されており、そのオープンに先駆けて報道公開が行なわれたので、本稿では刷新されたそのほかの施設も含めてお伝えする。
デッキの解放感とFUJIYAMA ウォークのスリルを体験
FUJIYAMAタワーは1階のロッカーに手荷物を預けたらエレベーターで移動する。最上階のFUJIYAMA スカイデッキは高さ55mにあり、およそ40秒ほどで到着。エレベーターから降りると扇形をしたデッキから富士山が一望できる……はずだが、残念ながらこの日は雲に隠れていたので最高の景色はまたの機会となった。
事前に説明を受けたとおり、最大斜度を昇り切ったジェットコースター「FUJIYAMA」が眼前を通過して行き、手を振る乗客とダイナミックな景色は思っていた以上に新鮮に感じた。FUJIYAMA ウォークはデッキの真下にあるので、そちらの様子も見ることができる。
いよいよFUJIYAMA ウォークを体験する順番となったので階下に移動する。通路は壁のない吹きさらしなので、ポケットの中を含めて小物類はすべてロッカーに預ける。この日はストラップとガムテープで固定することで特別にカメラの持ち込みが許可された。
通路幅が狭く、50m以上の高さを手すりなしで歩くので(スタートから3分の1地点まではある)、安全装備はかなりしっかりとしたフルハーネスを着用する。肩と腰に加え、大腿部にもベルトを装着するので、ズボンの着用が求められる点は注意しておきたい。足元はサンダルやハイヒールなど、落下の恐れがあるものはもちろんNGだ。
スタッフが手際よくフルハーネス・命綱の装着と安全確認を行なったあと、半周先のゴールを目指してスタートする。いざ歩き始めると、雨風をしのげないスカスカな鉄柵でも周囲にあると人間は安心できるものだと思わせるほど、足元のすぐ横には高さのある景色が広がる。
しかし景色はキレイ、でも下向くと怖い、そんな思考のスイッチを繰り返しながら進んでいるとついに手すりがない状態に突入。合わせたかのように風もそれなりに感じるようになる。こ、これはこわい……。しかも。歩みを進めると、床板がない部分も現われる。「この設計必要か!?」と思いたくなるわけで、床板の間隔が広がってくるとなおさらマイナス思考に取りつかれてしまうあたりは、設計者の思惑どおりといったところか。
この日、甲信越地方は梅雨明けで、曇りだが晴れ間がのぞく天気で風もそれほど強くなかったが、少しでも天気が崩れたらどうなるのだろうかと思うと、気温が上がるなか、背筋がとてもクールになった気がする。ゴール直前はさらなる試練も待ち受けているので、スカイウォーク好きにはぜひとも挑戦してもらいたい。
戦慄迷宮は怖さと空調設備をパワーアップして登場
FUJIYAMAタワーと同じ7月21日に全面刷新して再始動するのが「戦慄迷宮~慈急総合病院~」だ。
こちらは2003年に開業して以来、大人気ホラーアトラクションとして480万人を恐怖の底に叩き落してきたが、原点である“廃病院としてのリアルさ”にこだわった仕上がりになっている。
「毎年のペースでリニューアルしてきたが、いろいろと仕掛け過ぎてとっちらかってしまった印象が拭えない」のが全面刷新にいたった理由とのことで、シンプルに五感のすべてに恐怖を訴えかける仕様に作り替えたそうだ。また、感染症対策として空調設備も従来の3倍にあたる、1時間で約3万m 3 を換気できるよう増強したことも紹介した。
実際に中に入ってみると、病院らしい消毒臭はするが、風の通りはしっかりしているように感じた。今回は頼りない明るさのペンライトを手に暗闇の中を進むわけだが、照らし出されないギリギリの部分でこれでもかと恐怖を与えてくる。言い換えれば心臓にわるい。なので、筆者は健康と時間を理由にリタイアしたが、ホラー好きにはその目でゴールを確かめてもらいたい。
スケルトンを徹底追求したお仕おき檻覧車
追加されたアトラクションとして「お仕おき檻覧車」も紹介しよう。
こちらは、以前からある高さ50mの大観覧車「シャイニング・フラワー」のゴンドラのうち2基について、すべての壁面を檻状のステンレス網で囲み、牢屋に見立てたものだ。すでにスケルトン仕様のゴンドラ「透明観覧車」が導入されているが、それをさらに上回る作りで、景色や風、周囲の音までもダイレクトに感じられるようになっている。
注意点としては手荷物は持ち込み不可なので、乗車前にロッカーに預ける必要がある。また、ペットの同伴も不可だ。乗車した感想としては、景色がよく見えるし、ほどほどの風速なら揺れよりも風が心地よく感じられる。ただし、隙間から地上がクリアに見えるので、高所恐怖症の人にはオススメしない。
ちなみに「雨が降ったり、多少の風が出たら乗車禁止になるのですか?」とスタッフに尋ねたところ、通常の大観覧車と同じ規定で運用するので、雨が降った場合はずぶ濡れ、風が吹いている場合は揺れと寒さを感じる本当のお仕置き仕様になるそうだ。
このほか、園内のフードショップにも新店舗が続々と登場する。8月29日までの期間限定でバーベキューを楽しめる「PICA BBQ TERRACE」をはじめ、韓国発のかき氷専門店「SNOWY VILLAGE」、日本一長いフード&スイーツを提供する「LONG!LONGER!!LONGEST!!!」、巨大な台湾唐揚げ専門店の「台湾キッチンCoCo」などが加わる。また、7月29日にはFUJIYAMAタワーの隣にド・ドドンパ仕様のセブン-イレブンがオープンするので、さらに便利に楽しめること間違いなしだ。
FUJIYAMAタワーは利用者と運営側の双方にメリットがある建物
FUJIYAMAタワーのオープンにあたり、富士急行 代表取締役社長の堀内光一郎氏が概要を説明した。
冒頭では、コロナ禍において大打撃を受けた業容について「私どもは絶叫の富士急ハイランドでありますが、心のなかで絶叫していた。そんな1年でした」と2020年を振り返った。そのような環境下でも「3密対策の徹底」「お客さま・スタッフの健康管理の徹底」を柱に感染症対策を行なうことで、富士急ハイランドは現在までスタッフに感染者を1人も出すことなく運営してきたこと、修学旅行先として10万人以上の学生を受け入れてきたことを紹介した。
今回オープンするFUJIYAMAタワーに関しては、7月17日で導入25周年を迎えたジェットコースターFUJIYAMAについても触れた。FUJIYAMAは1996年、4つのギネス記録を引っ提げて登場した。前代未聞の爽快感や恐怖感に加え、乗車した人のみが見れる絶景の富士山も魅力の一つだ。
しかし、ジェットコースターが嫌いな人や高齢者の方など、誰もが見れるわけではないことに関しては堀内氏の心の隅に引っかかっていたそうだ。現在においてもFUJIYAMAは一番人気のアトラクションとして君臨しており、安全管理のため毎日3人の検査スタッフが全長2045mのコースすべてを点検し、万全の状態で運営されている。そのメンテナンス作業においても、高所への資材の搬入や移動も課題の一つであったと話した。そこで計画されたのがFUJIYAMAタワーというわけだ。
最上階のFUJIYAMA スカイデッキは誰もが眼前に素晴らしい富士山を眺めることができ、約3分おきに運行されているFUJIYAMAの乗客と一瞬の触れあいも楽しめる。また、今後はウェディングやパーティ会場として、絶景ロケーションをさまざまな場面で活用していきたいと語った。ただ、これだけでは「富士急らしくない」として若手スタッフを中心に企画されたのが、FUJIYAMA ウォーク、FUJIYAMA スライダーだ。
FUJIYAMA ウォークはFUJIYAMAの検査スタッフと同じようなロケーションを体験できるのがウリであり、歩みを進めるごとに手すりがなくなったり、通路幅が狭くなるなどなかなか意地のわるい仕掛けになっている。FUJIYAMA スライダーも本来ならお目見えする予定であったが、ドイツ製のためメーカーのスーパーバイザーがコロナ禍で来日できないこと、資材の発送が遅れていることなどから、来年(2022年)3月オープンを目指して工事を進めているそうだ。このほか、現在建設中の大型ジェットコースターも登場する予定であるとし、コロナ禍においても安全・安心でもっと楽しめる施設の提供を続けていくとアピールした。