
何度か述べてきましたが、私は一歳半の子供がいる子育て世代です。近いうちに第二子が生まれる予定で、今後10年近くはあらゆる面で子供最優先の生活となり、それはファッションの面にも大きく反映されます。
一方で当ブログで掲げるトラッドスタイルは、スーツやジャケットといったドレスアイテムと強く結びついたイメージがあり、子育て世代とは縁遠い存在のように思われるかもしれません。
ただ、必ずしも「トラッド=ドレス」というわけではなく、スポーツやワーク、ミリタリーといった要素も取り入れながら、長い歳月をかけ育まれてたきた装いや文化そのものであると私は考えています。つまり、トラッドとは「きちんとした服」だけを指す言葉ではなく、歴史と実用性を伴ったスタイルの集合体ともいえるでしょう。
そう考えると、子育て世代のライフスタイルとトラッドは決して相反するものではありません。むしろ動きやすさや耐久性を備えた服装は、子供と過ごす日常の中でも自然に取り入れることができるはず。子育てとトラッドスタイルの両立は可能です。
では、子育てパパがトラッドスタイルを楽しむには、どんなアイテムを取り入れ、どういうバランスでコーディネートを考えれば良いのでしょうか。私自身の経験も踏まえながら考えてみようと思います。
なお、このテーマは【春秋編】【夏編】【冬編】の3回に分けてお届けすることにします。最近の日本の気候を考えると春夏・秋冬の区分よりも現実的でしょう。
では、どうぞご覧ください。
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この項目は季節を問わない共通事項となります。
なお、ひとえに子育てと言っても服装はシチュエーションによりけりだと思いますので、想定する場面は郊外のショッピングモールとしておきましょう。レジャー施設や近所の公園など、もっとアクティブなシーンであれば当然内容は変わってきますが、ここでは少しぐらいはお洒落しても浮かない場所と考えてください。
汚れに強い
子供が小さいうちは抱っこしている際に、よだれや履き戻し吐き戻しなどで服が汚れることは多々あります。ある程度大きくなってからもご飯を食べさせている時に様々なものが飛んでくるので油断はできません。汚れても気軽に洗える素材、若しくは多少の汚れなら弾くような素材は心強いですね。
シワに強い
我が家の場合、外出中に子供を連れて歩くのは私の役目。最近は手を繋いで自分で歩かせることも多いのですが、どうしても途中で抱っこは必要です。当たり前ですが、抱っこをし続けると腕や胸元には大きなシワが残りやすくなります。やはり上半身の服(アウター・トップス)に関してはシワが付きにくい、またはシワが様になるような素材が望ましいでしょう。いちいちシワがどうのなんて気にしてられません。
動きやすい
アクティブシーンではないにしろ、子供を連れているのといないのでは運動量は大きく変わってきます。これは実際に子供が生まれてから、私自身が身をもって実感したことでもあります。抱っこをしたり、しゃがんだり、急に走ったりと、日常の中で想像以上に体を動かす場面が多いのです。そうなると見た目の雰囲気だけで服を選ぶわけにはいきません。動きやすさやストレスの少なさといった実用面も、これまで以上に重要になってきます。
適度にカジュアル
想定場面である郊外のショッピングモールもそうなのですが、小さい子供を連れて行ける場所って結局のところTPO的にはカジュアルな空間であることがほとんどです。そうした環境の中で、あまりにもドレス感の強い装いをしてしまうと、場の空気と少しちぐはぐになってしまうこともあるでしょう。
とはいえこの記事をご覧いただいている皆さんはカジュアル一辺倒で妥協するつもりはないでしょうから、トラッドスタイルが持つ品の良さはどこかに残しておきたいところです。
革靴を活用
機能性も犠牲にしたくはないし、カジュアルな雰囲気は欲しいけど、ラフすぎる装いにはちょっと抵抗感があるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。そうした場合に活躍するのが革靴です。服装自体はカジュアルであっても、足元を革靴にするだけで全体の印象はぐっと引き締まります。スニーカーではややラフすぎると感じる場面でも、革靴であれば程よい品の良さを保つことができるはず。
・・・と最もらしい言葉を並べてみましたが、多くの方は「子育てパパに革靴なんて」と思われるのかもしれません。確かにテーマパークや公園といった活動的な場面であれば私もスニーカーを選びます。ただ、ここでの想定はショッピングモールです。子供を追いかけるために小走りするぐらいはあるでしょうが、全力で走り回るようなことはほぼないかと思います。そう考えると、必ずしもスニーカー一択というわけでもないでしょう。
履きなれた方なら分かると思いますが、適切なフィッテングを行い、しっかり足に馴染んだ革靴であれば、運動性能も捨てたものではありません。もちろんスニーカーには劣りますが、必要十分ではあるということです。
子育て世代のトラッドスタイル【春秋編】
ここ最近はすっかり期間の短くなってしまった春と秋。具体的には3月後半から5月末、10月初旬から11月末ぐらいで、ライトアウター若しくは長袖のトップス1枚で過ごせるような気候をイメージしていただければと思います。
おすすめアイテム
オックスフォードシャツ

シャツを選ぶのであれば、ガッシリと丈夫な作りで、洗いざらしのシワも様になるオックスフォード生地が良いでしょう。特にトラッドの象徴でもあるボタンダウンシャツならなお良し。多少雑に扱っても生地がへたりにくく、家庭で気軽に洗濯できるという点でも子育て世代には心強い存在です。むしろ軽くシワが入ったぐらいの方が雰囲気が出るのも、この生地ならではの魅力といえるかもしれません。
ロングスリーブポロシャツ・ラガーシャツ

同じく襟付きということであればポロシャツもトラッドを体現するのにぴったりのアイテムです。時季的には長袖のものが良いでしょう。ロングスリーブポロシャツは「おじさんくさい」と敬遠されがちなようですが、ざっくり腕まくりして着ると以外とこなれ感のある着こなしができます。デザインの近いラガーシャツも同様です。どちらもスポーツ由来(ポロシャツはポロ、じゃなくてテニス)のウェアなので機能性の面でも申し分はありません。
バスクシャツ

カットソータイプなら普通のロンTよりもバスクシャツの方がトラッドの文脈では正解です。ロンTはどうしても現代的なカジュアルウェアという印象が強く、トラッドスタイルに取り入れるとやや軽く見えてしまう可能性があります。その点バスクシャツは、フランスの漁師の作業着をルーツに持つ伝統的なアイテムなので、カジュアルでありながら背景がしっかりしており、簡単にトラッドらしい雰囲気を作ることができます。
スウェットシャツ

スエットと聞くとアメカジ若しくはストリートといったスタイルを連想する方も多いでしょう。しかし本来は伝統的なスポーツウェアであり、トラッドの系譜とも決して無縁な存在ではありません。実際にアイビースタイルでもスウェットシャツは好まれて取り入れられたアイテムの1つです。着こなしとしてはスウェットシャツ1枚というよりもインナー使いか、中にシャツを挟んだレイヤードスタイルがおすすめです。
ブルゾン

トラッドスタイルの主役はジャケットやブレザーであることには違いありませんが、子育て世代にとって、こればかりはどうしても諦めざる得ません。機能面もそうですが、小さい子供を連れてクラシカルなジャケットを着ているだけでかなり浮きます。語弊があるかもしれませんが、子供と一緒にいるだけでそこはカジュアルな場面です。
そこで代わりを努めることになるのがブルゾンです。スウィングトップのようなクラシカルなものが良いでしょう。素材はコットンギャバジンやオーセンティックな化繊混(いわゆるロクヨンクロスなど)の生地であれば、ある程度の機能性も保証されます。雑に扱えるという意味ではデニムジャケットという選択肢もあり。
リネン素材のアウター

先に挙げたブルゾンの他にシャツジャケットあたりでもそうですが、端境期のライトアウターの生地はコットンやウールだけではなく、リネンもおすすめです。理由は至ってシンプルでシワになっても気にする必要がないから。リネンはどうやっても深いシワが残りますが、それすら味と捉えられる素材なので、子育て世代の環境下に実は適しているのです。リネン特有のシワが生むリラックスした雰囲気も良い方向に働くことでしょう。
デニムジーンズ・チノパン

カジュアルパンツの大定番であるデニムジーンズとチノパンは子育て世代にとっても心強い味方です。どちらももともとワークやミリタリーといった実用的な背景を持つアイテムで、丈夫で気兼ねなく穿けるのが大きな魅力。多少汚れても過度に気にする必要がなく、日常使いのパンツとして非常に扱いやすい存在です。
また、カジュアルな印象の強いパンツではありますが、トラッドスタイルでも定番的に用いられてきたアイテムでもあります。トップスにオックスフォードシャツやポロシャツを合わせるだけでも、ラフになりすぎないバランスの取れた装いに仕上がります。チノに関してはドレスタイプのパンツを選ぶという手もありますね。ウールスラックスほどではありませんが、適度にきちんとした感じは出せるのでおすすめです。
ローファー

子育て世代における革靴の有用性については先程述べていますが、その中でも特におすすめなのがローファーです。カジュアルなコーディネートに合わせやすく、端境期にちょうどいい軽快さを持っているというファッション的な側面もさることながら、立ったまま簡単に履けるとうい実用面も見逃せません。特に子供が小さいうちは抱っこしたまま玄関を出たりするような場面も多く、そのような際にいちいち座り込んで紐を結び直す暇はありません。その点ローファーならシューホーンを使えばスムーズに足入れができるので、私自身以前より重宝するようになりました。
コーディネート例

アウター:BARACUTA(バラクータ)
カットソー:SAINT JAMES(セントジェームス)
パンツ:LEVI'S(リーバイス)
「男の名品100選」みたいな企画があれば全部載ってそうなトラッドの定番で固めた装い。クラシックブルゾンの代名詞・バラクータ G9はポリエステル混紡の機能素材が採用されており、子育て世代にも頼もしい味方です。使い勝手が良く春秋にはついつい手に取ってしまう一着です。

アウター:Jeanik(ジーニック)
ポロシャツ:BROOKS BROTHERS(ブルックスブラザーズ)
シューズ:CROKETT&JONES(クロケット&ジョーンズ)
どちらかと言えばアメカジ的な印象の強いデニムジャケットですが、色落ちの少ないクリーンな生地のものを選べば、トラッドスタイルの中にも自然と馴染みます。他のアイテムもドレス要素を含むものを合わせることで、カジュアル一辺倒にならず全体のバランスを整えました。

アウター:CORDINGS(コーディングス)
カットソー:UNIQLO(ユニクロ)
パンツ:INCOTEX(インコテックス)
シューズ:REPRODUCTION OF FOUND(リプロダクション オブ ファウンド)
トップス1枚では少し心許ないものの、ジャケットを羽織るほどでもない。そんな端境期に役立つのがシャツアウターです。中でもおすすめなのがリネン素材。通気性が良さや涼し気な見た目もさることながら、リネン特有の自然なシワも雰囲気として成立するため、気負わず扱える点もポイントです。

シャツ:BROOKS BROTHERS(ブルックスブラザーズ)
白のオックスフォードシャツにインディゴブルーのデニム。極めてベーシックな装いですが、これもトラッドの文脈では王道の組み合わせです。一見すると街中でありふれたコーディネートですが、ニュアンスのある袖のロールアップや足元のローファーなどで差別化を図れば十分に洒落感は出せるかと思います。

スウェットシャツ:SUNSPEL(サンスペル)
シャツ:BROOKS BROTHERS(ブルックスブラザーズ)
シューズ:YOAK(ヨーク)
少し前の私にとってスウェットシャツは部屋着以上の存在ではありませんでしたが、使いようによってはトラッドスタイルに落とし込めるということが実感できたコーディネート。首元からチラッとだけ覗くBDシャツが実は印象を大きく左右します。

ラガーシャツ:BARBARIAN(バーバリアン)
パンツ:GERMANO(ジェルマーノ)
シューズ:CROCKETT&JONES(クロケット&ジョーンズ)
襟付きとはいえ、印象としてはかなりスポーティーなラガーシャツ。スラックスを合わせて無理にドレス寄りにまとめるよりも、その持ち味を活かした方が自然でしょう。全体の色の系統を揃えて統一感を持たせ、足元には革靴を合わせて程よく引き締めることで、砕けすぎずトラッドらしい雰囲気も保つことができます。
まとめ
子育て世代に向けたトラッドスタイルについて、今回は春秋の装いを中心に考えてみました。
子供との日常を前提にすると、動きやすさや扱いやすさといった実用面も無視できませんが、その中でもトラッドらしい雰囲気を取り入れる余地は十分にあります。
私自身もまだまだ模索中ではありますが、少しでも同じような境遇の方の参考になれば幸いです。子供が最優先であっても簡単には妥協をしない装いを楽しみましょう。
夏や冬についても、また機会を改めて考えてみたいと思います。
今回は以上です。