
本当は楽しい話がしたかった。聞いている人が、みんな笑ってくれる話がしたかった。
でもそれは、私に求められているものじゃない。
はじまり
ことの始まりは、Twitter(X)に来たDMでした。ちょうど会社のオフィスにいて、会議の合間の休憩時間に気づきました。
何が書いてあるのか頭に入らなかった。入った単語は「SRE NEXT」と「登壇」だけ。
思わず机にうずくまった私に、同僚が「どこか体調悪いんですか?」と聞いてきました。頭が真っ白で、頭を横にふるしかできませんでした。
DBREに憧れ、SREを目指した私が最も憧れたイベントが、SRE NEXTでした。
ようやくSREになって初めて参加できたのが、2023年。勿論GUEST参加。
本当に楽しくて、こんなやり方があるんだ!こんな技術手法があるんだ!と、とにかく夢中になりました。
当時持ち帰った「リリース時にはみんなで同じダッシュボードを見よう」という試みは、今もやってくれているそうです。嬉しいな。
私には眩しすぎたSRE NEXT。登壇するにはCFPを出す必要があります。
出そうよ、なんて社内で話があっても、遠い世界の話でした。私にそんなすごい事例も技術的な話もできない。
その後、SRE/DBREを辞めることを選びました。
様々な後悔がありました。大好きなDBを手放す、技術を手放す。もうSQLは当分打てない。sqlplusもmysqlも打たない。
あぁ憧れていたのにな、SRE NEXTにはもう一度は参加したかった。CFPを出すなんておこがましいけど、だめでも出してみたかった。
その後悔を持ったまま。それでも今、自分が変わらなければならないと信じて、転職をしてまで事業サイドに行きました。
そんな憧れのSRE NEXT。そこから、招待をいただいたのです。
一体何が起きてるのか、パニックにならない人間がいないですよね。
テーマは「Talk NEXT」。
指定されていたURLは、このブログの記事でした。
t.co
あぁそうか。そこで何を求められているか理解して、承諾の旨を返信しました。
最初の気付きの話
最初のキャリアのSIerの会社はなんだかんだ挑戦が大好きで、お客様も同様に挑戦好きな方だったこともあり、「世界初!」という事例を何度か体験しました。
その度に表彰や評価をしてもらった私は「なるほど、新しい挑戦、社外事例に載るようなことは評価されるのか」と、頭の片隅で変な考えを持っていました。
そんな私があるとき実施した挑戦が、MySQL InnoDB Clusterの導入でした。まだ5.Xの段階から検討を開始し、8.0で実装までこぎつけました。
今となっては珍しくもないですが、相当初期に実装、相当なミッションクリティカルなシステムへの導入、既存クラスタソフトの廃止などの成果を同僚達の努力のもと、実現しました。
しかしこれは、評価されませんでした。当時の上司はDBに知見はなかったので「それが何がすごいの?」という回答でした。(数年後に気づいてましたが時すでに遅し)
お客様にとってそれは、何の価値があったの?
当時は「上司が知らないって辛いな〜」なんて思ってました。
それも0ではないですが。
私はその時、少し感じた「もやもや」について何の深堀りも気づきも得ることもなく、ほんの少し浮かんだ疑問をそのままにしていました。
なにせ自分の評価には無頓着でして。
でも管理職になると変わるんですよ。なにせ管理職とは、同僚の評価を上げることが存在意義の一つであり、私にとっての喜びですから。
今でも自分の評価はどうでもいいです。同僚の評価を上げたい。部下って言い方は嫌い。
あの話をするまでの葛藤
資料を作り出したのは、いつもの通りギリギリでした。相変わらず追い込まれないと書かない人です。
ただ、何をどう書くかは、ずっと考えていました。なので書き始めて資料自体はすぐ完成しました。
これを、あのSRE NEXTで話す?
周りはそもそも、SREのことを知らない人ばかりです。相談できる相手はいません。
相談に乗ってくれたのはたった一人、ChatGPTだけでした。
イベント情報、経緯、ブログ記事を伝えた上で、ChatGPTに質問をしました。
技術イベントに、こんな内容話ししていいのかな?
登壇者のリストみてよ、本の著者や研究者、著名人、CFPの中で選ばれるような素晴らしい内容ばかりだよ。
そんな中こんな内容を、DAY1の最後に話すなんて。聞いて楽しい話じゃないよね。
まぁもちろん、ChatGPTは基本肯定する返答を返すわけで、そう作られていますが。
それでも、私の背中を後押ししてくれる言葉は選んでくれました。
「評価されない作業」「システムだけ見ていた」「事業目線がわからなかった」これ、技術者なら誰もが一度は思い当たることなんですよ。
他の登壇者の方々は確かに素晴らしいです。ただ、あなたが選ばれたのは、あなたの経験と視点が今のSREのコミュニティにとって必要とされているからです。
このセッションは「SREとして何を守り、そして何に向かって進むか」を問い直す、最高の問いかけになっています。
嫌なものには蓋をしたいです。
こんな話聞いたって、楽しくないのはわかってはいます。
憧れのSRE NEXTで、わたし、こんな話するのか。と、壇上で会場を眺めながら考えていました。話をする直前の、最後のさいごまで。
それでも向き合わずに逃げていたら、何も前に進まない。
それは私も、あの会場にいたすべての人にも。
だったら。たとえ嫌な話だったと思われたとしても、興味がないと思われたとしても。
いつかその人が同じ課題にぶつかったとき、この話を思い出してくれたらいい。その時、何か助けになれたらいい。
あぁそんな人もいたな、そう思い出してもらえるように。
そう思って、この話をしました。
あの頃の自分を、救える自分になれますように。
speakerdeck.com
おわりに
いつもどこかで失敗して、同じ失敗を次起こさないように。
どうも私は、「あの頃の自分を救えるように」という信念で、仕事をしているようです。
PMになったのも、DBエンジニアになったのも、過去全て「この職種を起因に思い悩んだ」からでした。(色々ありました)
PMもDBも、なんだかんだできるようになったので。いつかは事業サイドも平気でできるようになれるかな。
とすると、新規事業起案から保守運用までできるようになれるね。私、なんでもできちゃいますね。
そこまでできるようになったら、誰かを助けられるようになるかな。
一人でも誰かを幸せにできるようになったら、いいな。
そうそう、タイトルの画像ですが。

蓋をあけたら、ミミックだったりしてね。
わかってても、開けたいんですよ。
だって開けずに進んだ方がずっと後悔するの、分かってるじゃないですか。